かれーな印度カレーを召し上かれー、7番目をUPしました!

かれーな印度カレーを召し上かれー7
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昨日の昼は多摩川線沿線、武蔵新田にあるポンディバワンで南インド料理のミールスをいただきました。本格的な南インド料理に舌鼓でした♪

武蔵新田は降りるのもはじめて。”むさししんでん”と読んでましたが、実際は”むさしにった”。新田義貞の次男、義興を祀った神社があることから、この名があるようです。

本日も遅い時間のUPで、医食同源の続き。
カレー繋がりでお楽しみを・・・♪

かれーな印度カレーを召し上かれー・7
インディアン・キュイジーヌはいかが?

掲載日:2005年11月9日

 まいど、まいど、イダテンのゲンさんです!

 先日、外国人が大勢集まる東麻布のスーパーで買い物をしてきたんだが、ああいう大使館の多いところじゃ「ハラール・フード」なんてものが置かれてあるんだな~。

 玄人のみなさまはご存じかもしれないが、ハラールとはイスラムの教えに沿って、苦しませずに喉を一気に切って屠殺した肉のことだ。イスラム教では豚はもちろん、羊や鶏でもハラールの手続きをしないで屠殺した肉は許されていないからね。

 そのスーパーでは鶏や羊はもちろん、牛肉や鴨、ホロホロ鳥、七面鳥などに、アラビア語と英語の書かれたハラールのステッカーが張られて、所狭しと並べられてあった。

 さらに、入り口近くの良い場所には、スイサンドンヤ・ドットコムさんで扱っている魚介類が堂々と置かれていて、あっしはちょっくら嬉しかったな~♪ 「麻布亭うなぎ蒲焼き・略ポンカット」などの人気商品がいっぱいで、値段はスイサンドンヤさんの倍以上だが、それでも普通のスーパーに比べると、ずっと安くて美味しい食材ばかりが並べられてあった。このイダテンのゲンさんが、世界中からかき集めてきた自信の食材だよ!

 そんな自慢の食材の数々だが、スイサンドンヤ・ドットコムさんでも年末と正月を睨んだこれからの時期――ズワイカニや日本酒、カキなどのキャンペーンや、先日申し上げたマッドクラブなどの販売など、安くて嬉しい企画が目白押しだ。

 何はともあれ、みなさまのご注文をお待ちしていやすぜ!

タージマハル・ホテル物語

 さて、「かれーな印度カレーを召し上かれー」。今回はムンバイ(旧ボンベイ)のシンボル、タージマハル・ホテルから出発してみよう。なぜって、このホテルはムンバイのシンボルであり、同時にインド独立の象徴とも言える存在だからだ。

 インドに行った人なら誰でも、”TATA”というロゴマークの入った大型トラックが、もうもうと土煙を上げて爆走しているのを見ただろう。あのタータという名前こそ、インド最大の財閥のひとつ、タージ・グループの一族なんだ。日本でいえば三井、住友、三菱・・いや、それ以上の存在と言ってよい巨大コンツェルンなのさ。タージマハル・ホテルの創設は、そのタータ財閥の手によって成されたワケだが、それにはちょいとした物語がある。

 話は20世紀を迎えようとしていた植民地時代のムンバイ――地元で一番の資本家だったジャムシャトジー・タータ氏は、西洋人の友人と一緒に海沿いのフォート地区に建っていたホテルに夕食をとりに行った。

 ところが、このピルケズ・アポロ・ホテルのドアマン曰く。

「あなたの友だちはノー・プロブレム(問題ありません)ね。でも、あなたはインド人だから入れません。このホテルは白人専用ホテルですから」

 あまりに失礼なドアマンの言葉に一念発起したタータ氏は、誰でも泊まれるホテルの建造を思い立った。ヨーロッパを何度も視察したタータ氏は、発電機やエレベーター、そしてエッフェル塔に使われた鉄骨など、当時の最先端だった設備を導入し、にっくきピルケズ・アポロ・ホテルの裏にタージマハル・ホテルをぶっ建てたワケさね。

火を崇めるインド最大の財閥

 20世紀建築の傑作と称されるタージマハル・ホテルだが、タータ一族というのは、まさにインドの大金持ちを象徴する財閥だ。経済発展を続けるインドの中で、タータの存在は無視できないものがある。余談ながら、お客さんの中でインド株を持ってるお方は、ちょっくら耳を傾けておくれよ。

 このタータ一族はパールスィー教という、インドでは人口の0.04%ほどの少数派に属し、そのほとんどがムンバイでコミュニティーを作っている。日本ではゾロアスター教(※1)、あるいは火を神聖視するので、拝火教という名で知られている。弘法大師の時代には唐の国で「顕教」と呼ばれていた古い教えだ。

 ほら、「陰陽師」などの時代劇を見ていると、火をくべて祈祷したり、呪をかける場面が出てくるだろう。あれは密教の護摩壇といって、パールスィを起源とする祈りの一種なんだ。実際には火だけでなく、水・土・風(空気)を加えた四元素を崇拝するんだが、彼らにとっては火がいちばんランクが高いそうだ。

 それだけ聞くとパールスィーが未開の原始信仰みたいに聞こえるが、実情はまったく正反対だ。歴史的な理由から、ムンバイに住むパールスィーはスーツを着たビジネスマンがほとんどで、経済力が豊かで社会的地位が高い人が多い。

 パールスィーとは「ペルシャの」という意味で、もともとは現在のイランに居を構えていた。それが7世紀末にイスラム教徒の侵略に遭い、命からがらインドに辿り着いたのが彼らの祖先だってわけさね。

 はじめは細々と商売や農業に従事していたパールスィーだが、16世紀に入ってムンバイに侵入してきたポルトガル人が、彼らを自分たちに近い種族と見て目をつけた(※2)。そしてインド人との仲介を頼みこんだことをきっかけに、見る見る財を成していったのさ。

 ムンバイの統治がポルトガルからイギリスに移譲されてからは、インド最後の王朝ムガール帝国との仲介や、植民地政策の手助けなどで、巨万の富を築いていった。常にスーツを着用しているというのも、イギリスとの取り引きをしていた名残りなんだろう。

 侵略者の手助けで財を成したパールスィーだったが、その後、反対に莫大な資金援助をしてインドを独立に導いた。タージマハル・ホテルの創設も、その一環と言えるかもしれない。

※1 ゾロアスターは開祖の名前で、またの名をツァラトゥストラと呼ぶ。映画「2001年宇宙の旅」のテーマ曲で有名な「ツァラトゥストラはこう語った」は、作曲家リヒャルト・シュトラウスが、同名のニーチェの哲学書に啓発されて作曲した作品。

※2 現在はパールスィー以外のインド人と比べても、見た目の違いはない。

インディアン・キュイジーヌはいかが?

 前置きが長くなって真っ平御免の助だが、このタージマハル・ホテルには「マサラ・クラフト」という、2003年にオープンされた新しいレストランがある。タージマハル・ホテルの回廊には、鉄人・森本の和食レストランやイタリアンまで揃っているんだが、このマサラ・クラフトはインディアン・キュイジーヌとも言えるモダン・インド料理を出す店だ。

 創作料理、無国籍料理というのは、当たり外れがあることが多いんだが、マサラ・クラフトで出されるインディアン・キュイジーヌは、当然ながらそんなことはない。

 あっしがここで食べて驚いたのは、大ぶりなエビを使ったプロウン・カレーさね。

 エビは天然のシラサエビ――ブラウンプロウンの一種だろう。シラサエビはクルマエビ科に属すエビで、その中で味も見た目もシバエビに近い。シラサエビはさほど大きくはならないが、このプロウン・カレーに使われていたのは体長15cmほどの大ぶりのやつで、食感は限りなくシバエビに近い。

 おそらくは、ムンバイの魚市場「サスーンドック」や、100kmほど離れた漁港から水揚げされたばかりのもののに違いない(前回のマッドクラブも同じところで水揚げされる)。

 そもそも中華にもエビのチリソース炒めがあるくらい、エビと辛味のスパイスってえのは相性がいい。スパイスソースがタップリ絡んだ大ぶりのシラサエビが、口の中でプリプリはじける食感ときたら、そらたまらねえ。

 インドのエビカレーってえのは、ヨーグルトかココナッツ・ミルクにカシューナッツを加えてマイルドにするのが主流だが、マサラ・クラフトのそれは、シラサエビがスパイスの強い味に負けない存在感があるため、ソースの味つけ&香りづけが肉のカレーに近いものがある。いわば素材の味を生かしつつ、カレーのソースとシラサエビをケンカさせて強調させる手法の料理だな。カレーというよりは、エビを使ったスパイス料理といった風合いだ。

エビとザクロのカレーって?

 以前にも話したと思うけど、インドのたいていのカレーってえのは、具材が1種類・・・多くても2種類までと決まっている。それはエビならエビ、チキンならチキンと、その素材に合わせた最適のスパイス調合が決まっているからだ。

 ところがマサラ・クラフトのエビカレーには、タマネギベースのソースの中に、ピーマンやトマトなど、大きめに切られたの野菜が入っていて・・・おおお、この噛むとプチッとはじけるほのかな酸味が、エビの食感と渾然一体となって口の中に広がる!

 ほう。この透明でルビーのような赤い実が、酸味の正体か。こ・・この実はいったい?

・・・ザ、ザクロ? ザクロだ! カレーの中にザクロが入っているんだ!

 なーんてよ。マンガの料理対決じゃないが、種をひとつひとつ丁寧に取ったザクロが、文字通り宝石のガーネットのように、カレーソースの中でキラキラと光っている。たぶんザクロは火を止める直前に入れてあるんだろう。もともとザクロの色素はペルシャ絨毯の染色に使われるくらい強いものなんだが、あまり加熱すると色素が実の外に流れてしまい光沢が消えてしまう。見た目も味も丁度良くなるよう入れてあるんだな。

 また野菜やフルーツの酸味ってえのは、エビに合う。トマトもピーマンもまるで果実のように甘酸っぱいものを選んでいて、シラサエビの味を引き立てているんだ。

 それにしてもエビのカレーにザクロとは、まさに料理の鉄人かグルメマンガさながらだが、なかなかにバランスよく完成されているんで感心した次第だ。

 創作意欲に溢れた、ここのシェフの心意気ってやつを、あっしは評価してやりてえな~。

 

インド創作料理の秘密

 玄人のみなさんにはシャカに説法だろうが、良質なレストランで出される伝統的料理のレシピってえのは、完成されているだけになかなか崩せないところがある。長い間、その国や風土で培ってきた食材と調理法には、栄養学的にも味的にも理由があるからだ。

 食材の選び方。その材料の旬。調味料やスパイスとの相性。火の通し方など、さまざまな条件をクリアして、料理というのは完成する。伝統料理のレシピにはそれ相応の理由があり、インド料理のようにスパイスのオーダーが完成されているものに、ほかの食材を加えるには、かなり勇気がいる。特にインド人はスパイスにうるさいため、日本のカレーのように、具材に何を入れてもOKとはしてくれないんだよ(もちろん上流階級の人だけだがね)。

 創作料理の難かしさは、そんな完成されたものに工夫して何かを加え、新しいものに作り変えることにある。人間の味覚ってえのは「慣れ」というものがあるから、同じようなものを食べ比べれば、食べ慣れたものに旗を上げるのが人情だ。

 だが今、ムンバイでは美味しくヘルシーなモダン・インド料理を出す店が、軒並み増えている。それも経済発展を遂げるインドの象徴ってわけだろうね。

パールスィー料理ってヤツもある

 ところで、伝統料理がすべて美味しいかって言えば、そんなことはなく、味よりも栄養や保存を重視した地域の料理だと(言っちゃ悪いが、イギリスあたりの食事はそうかな・・)、新たに創作した方が旨いってこともある。その辺は何とも言えないところだがね。

 タージ・グループってえのはホテルやレストラン、ジェットエアなど国内線の機内食でも、食事のクオリティーが高いことで知られているんだが、どういうわけかパールスィーの伝統料理ってえのは、あっしの知る範囲では大して旨いもんでもない。

 有名なのは肉をダル豆のスープで煮込んだダンサークというものだ。基本は豆とナス、ジャガイモ、タマネギなどを煮込んだ野菜スープだが、レストランで出される時は肉が使われることが多い。そいつをブラウンシュガーで色づけした米と一緒に食べるんだが、どうもちょっとね~・・・。

 あっしが食べたパールスィー料理がたまたまハズレだったのか、それともある日、連中が旨いものに目覚めたのかは定かじゃないが、タージ・グループの食事が美味しいってえのは、どうにもインドの不思議て感じさね。

 ただしパールスィーは食の禁忌がないため、使われる食材は自由だ。禁忌がないことが、欧米人とつきあう上で有利になったとも言われているらしい。ある意味、食の自由度が大財閥を築いたってことになるかもしれねえやな。

 さーて、時間が来やがった。

 それじゃ、お客さん。次回をお楽しみに!

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