飯山陽「イスラム2.0 SNSが変えた1400年の宗教観」〜日本人の思う平和、イスラム教の唱える平和の違いとは?

飯山陽「イスラム2.0  SNSが変えた1400年の宗教観」を読了しました。
いや、おそるべき一冊。必読です。

以前、私はブログで「メディアは「イスラム国」と呼ぶのを止めるべし」という記事を書いたのですが、何もイスラム教について理解してなかったことを痛感させられてしまいました。

領土を持っていようと、持ってなかろうと、イスラム教徒にとって従うべきは 、その国の法律ではなく、コーランであり、イスラムの教えです。そんな意味で「イスラム国」という呼び方はムスリムの価値観からすれば正しいのですね。

コーランは神の言葉ですから、一字一句変えることはできない。
ごく最近まで、いや今でもコーランと西欧文明との折衷点はイスラム法学者によって探れたのですが、今はSNSでアラビア語のコーランが簡単に翻訳できます。

そこには、イスラム教徒は異教徒と戦え、といった文言が明記されていて、それを見てしまった、一部のムスリムが過激派となったりしてるのだから、さあ大変!
「言葉通り取るな」と言ったって、神の言葉なんだから仕方ありません。

あとがきにもありますが、著者が本の中で繰り返し語っていることに、以下の言葉があります(あとがき原文ママ)。

日本におけるイスラム教についての言説には、決まったパターンがあります。
「日本人はイスラム教を危険だ、怖いと思っている。しかし、それは“誤解”であり、本当は平和な宗教なのだ」といったものです。本書は、この言説自体が、“誤解”であること、この言説を繰り返している限り決してイスラム教を理解することなどできず、それは将来的に日本や日本人にとって大きな不利益を生むことになりかねない……(以下略)。

私も長いこと「イスラム教は本当は平和な宗教」であると信じてきました。
でも、それは彼らにとっては「イスラム教の中での平和」のことであり、異教徒にとっての平和とは異なる価値観なのですね。

異文化交流とか多様性の価値観とは、近頃よく聞く耳触りの良い言葉です。
しかし、私たちがいくら上辺だけ理解した気になったところで、イスラム教徒にとって自分たちの価値観を変える気などハナからない。なぜなら、彼らの価値観は「神の下した価値観」ですから、それを変えることは神に背く大罪だからです。

絶対に変わることのない相手の価値観に対して、西欧の民主主義や人権を論じたところで意味はありません。

基本、単一民族の私たちは、とかく「以心伝心」であるとか「話せばわかる」と考えがちですが、同じ地球上に、それがまったく通用しない人たちがいることを、つい最近まで知りませんでした。

私が子供の時分にイスラムは「回教徒」と呼ばれていました。
これは中国少数民族の回族(ホイぞく)の居住区をを経由したことから、誤解してつけられた言葉ですが、わが父はよく「ホントに回教徒ってえのは、わかんねえよな」とか「中近東はわからん」と言ってました。

まさか、こんなに早く身近にムスリムがいる時代になるとは思わなかったのですがねえ。

今となっては、父の言った「イスラムはわからん」というのが、日本人にとって一番正しい認識でないかと思います。ただ、身近にいるようになった以上、知らぬでは済まされないわけでして。

歴史的にイスラム教は爆発的に布教が広まる時代を繰り返してきましたが、今まさに、そういった時代を迎えています。

「この神以外は信じるな」ということを、何より嫌がる日本人が、これから増えていくだろうイスラム教徒と、どう接していくのかは難しい課題も多いでしょう。
少なくとも「話せばわかる」とか、「世界を救うのは八百万の神々の多神教だ」といった、相手に対する期待は禁物です。

彼らに日本の法を遵守してもらうのは当然ですが、給食のメニューを彼らに合わせて、ハラールに変えてしまう安易な妥協も禁物でしょう。また布でスッポリ覆われて、誰が入っているか、わからないチャドルも学校などで認めるのも危険です。ムスリム女性以外の人間が入ってることだって可能なわけですから。
学校関係者は、そのあたり簡単に妥協しそうなのが不安なところです。

学校側って「イスラム教が怖いというの“誤解”であり、本当は平和な宗教なのだ」という誤解を一番しそうな人たちだものね。しかも「怖い」が先行して、言いなりになりそう(学校関係のみなさま、誤解があったらごめんなさい)。

それから、これからハラール食品を扱かおうという会社の方も、本書を読んだ方が良いですね。

SNSで神の言葉を読めるようになったのは、まさに大変な時代だと思いましたが、本書によって、それを知ってしまった日本人がこれから、こうした異文化とどう向き合うか、考えてみたいと思いました。

繰り返しますが、これからの日本人に必読の書です。

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