おすもうエンジェルの部屋

ようこそ、おすもうエンジェルの部屋へ
どすこい    どすこい

ここは重力が常に変化する部屋
この部屋ではおすもうも戦車もトラックも寺院も
重さがいつも変わります
でも ここではみんなけっこう幸せ
仲良く毎日暮らしています


大仏建立 

力士は五穀豊穣 天下太平のシンボルです

みなが平和に暮らせる美しい世界を願い
おすもうエンジェルたちは
このストゥーパ(仏塔)に眠っている大仏さまを起こすべく
柏手(かしわて)をパパン、パパンと打つのです

ここで大仏建立のプロセスをお見せいたしましょう!

よい、八卦よい!

この絵は拙著「シエスタおじさん」に描かれた
ウランバーナの塔の原画にあたる作品です

ところでこの絵は、いつもバベルの塔と間違えられるため、
このたびクリスチャンの顧客から聖書に関する絵を依頼されたのを機会に
本物のバベルの塔を描くことにしました。

途中経過はこちら。年内(2013年)完成予定です。


 大仏建立 秋

ストゥーパの中におわす大仏さまは
だんだんお姿を現わします
大仏建立のシリーズは夏を起点に
春夏秋冬 4点ありますが
大仏さまが1 年なんて短期間にできるわけありません
長い時間が 絵と絵のあいだに横たわっているのです
長い年月の間 ストゥーパには大勢のおすもうたちが住みついてしまいました


  大仏建立 冬

大仏さまは冬の寒さにじっとガマン
春の建立をひっそりと待ちます
それにしても おすもうエンジェルたちは大変です
風邪などひいて本場所に差し支えたらどうしよう
冬きたりなば 春遠からじ


   大仏建立 春

 とうとう阿弥陀如来さまが建立されました
おすもうエンジェルはもちろん ゾウもシカもブタもウシもラクダもニワトリも
大仏さまのお姿があらわれ
金色にお化粧直しされたことを祝福します
よい、八卦よい!

 


大家族

「大家族」というのはシュルレアリズムの巨匠
ルネ・マグリットの同名の作品からタイトルだけを取ったものです

小学校6年の時にマグリット展を初めて見た時
鳥の姿をかたどった不思議な空がずっと目に焼き付いていました

この絵を描いている時には
まったくマグリットのことは考えていなかったのですが
完成した時にふと その記憶がよみがえってきたというわけです

水と空気と重力に区別のない世界を
おすもうエンジェルが自由に行き交います

よい、ハッケヨイ!


なにわ涅槃図

おすもうエンジェルたちが大阪は新世界に出没しました
荒れる春場所、大阪場所もなんのその
寝仏さまをかこんで
今日もみんなで 八卦よい のこったのこった
のーこった のこったのこった!

この原画は3号と意外に小さめです

 


ウランバーナの薬師

ウランバーナ(ullambana)とはペルシャ語経由のサンスクリット語で
それが漢訳され盂蘭盆(うらぼんえ)となり
日本にきて「お盆」になりました


祖先を死後の苦しみから救済するという意味があるそうですが
もとは中国生まれの思想だそうで
実はお釈迦さまが説いた仏教とは何の関係もありません
モンゴルの首都・ウランバートルとよく似た発音なので
もしかすると語源は近いのかもしれません
ともあれ世の人々の無病息災を願い
おすもうエンジェルたちは盆踊り大会を開きます

どどんがどん どどんがどんどん


ウランバーナの千手観音

観世さまには世間の出来事や、救いを求める者の心に応じて
千変万化するという性質があるそうです

33の化身をもつといわれ
千手観音はその化身のひとつ
西国三十三所の観音霊場はそのひとつです

千本の手はもちろん人々を救うためのものですが
実際に千本手があるのは唐招提寺の千手観音さまくらい

49本に省略するのが一般的です
この千手観音はお手が何本?

ううむ…わからん
 チベットの鬼たちの飛行物体に加え
飛鳥時代のヘア-スタイルをした力士たちが 観音さまを讃えています
でも髪型が大銀杏をしていないと ただのデブなんだなあ


建立 摩利支天
摩利支天(まりしてん)という仏さまの名は
はじめて聞く方も多いかと思います

正しくは仏さまというより
インドからやってきた神さまですね

猪に乗り天女の姿で描かれることが多かったと言われますが
現在でも摩利支天を祀っている社寺は
上野アメ横近くの徳大寺くらいとたいへん少ないようです

しかし ひとたび摩利支天が加勢すれば向かうところ敵なし
勝利の女神として戦国時代には人気があり
あの楠木正成も尊崇していたといわれます

この作品の摩利支天のモデルは
鎌倉は材木座近くにある五所神社のもの

司馬遼太郎の『梟の城』に
摩利支天洞玄という忍者が登場しますので
そちらでご存知の方もいらっしゃるかもしれませんね

 


チャンドラとヘリオスをパトリオットで出迎える
歓喜のカーリー
長いタイトルですみません
「歓喜のカーリー」でけっこうです
タイトルはこの絵に描かれたコンテンツを
そのまま表記したもの
カーリーとは東インドで信仰されてる女神で
アスラ(悪鬼)を倒しては血を吸い
戦利品の首や手足をアクセサリーにするという激烈な神さまです

 ↓ はい、クローズアップいたしましょう

これがカーリーです!

カーリーは神か悪魔かわからないような存在ですが
彼女はとてつもないスーパーパワーを持ってます

夫はあのシヴァ神ですが
興奮するとシヴァを踏み付けても気付きません

何と素晴らしいスーパーパワー!
そのためか 東インド・ベンガル地方では絶大な人気を誇っています

ベジタリアンの多いインドですが
カーリーを信仰する人は 牛肉以外の食べ物の禁忌はありません

ま、血を好む女神ですからね~
ちなみにカーリーに供える花は
赤い赤いハイビスカスです
 

↑ さて みなさんから見てカーリーの右にあるのが
パトリオット・ミサイルの発射台です

チャンドラは太陽に乗っている女性で
ヒンディー語で「月」を意味します
ヘリオスは太陽くん
ギリシャの太陽神の名ですね

 え?

何で インドの神さまじゃなく ギリシャ神なのかって?
(太陽はヒンディー語でスーリア)
それは「ヘリオス」の名が元素・ヘリウムの語源だからです

太陽は二つの水素が高圧で結合しヘリウムに変わる
「核融合」によってエネルギーを放出しています

「核」といっても原子爆弾や原発のような「核分裂」とは反対

地上で実現すればクリーンで理想的なエネルギーと言われてます
(でも実際のところは放射線が出るみたいですけどね)

ともあれ そんなヘリオスくんを
パトリオット・ミサイルで出迎えようなんて 何と不粋な話でしょう。
でも ご安心あれ

鬼のように見えるカーリーですが
彼女の力によって、この世界は平和な方向に向かうはず
戦車もカーリーのスーパーパワーの前には無力なのです


エメイ山を従え
東方の旅立ちに身支度をするカーリーを讃える
祝典序曲 

この絵のタイトルも長くて失礼いたします

エメイ山というのは架空の山ですが
仙人伝説で有名な中国四川省の峨眉山は
あちらの読み方では 「エメイ」という発音になることで
この名をつけました

目のついた山の上には峨眉山の山頂にあった建物をモデルにしています
(おそろしいほど観光化されてましたが)

おすもうエンジェルは絵によって変化します

この絵に限っておすもうエンジェルの正体を言うと
彼らは何と「素粒子」だったのです

それはニュートリノさながら
どんな物質も平気でスリ抜ける素粒子です

 彼らははカーリーがエネルギーを放出する時に生まれたもの

名づけて「おすもう素粒子」!
大気を激しく乱舞します
この絵の主人公も おすもうエンジェルではなくカーリーです
「歓喜のカーリー」の1年後に描いたものですが
このカーリーは少女風ですね