「風立ちぬ」〜思想は反戦、体質は好戦

タイトルで誤解しないでください。
映画は実に素晴らしかった!

さすがは宮崎駿監督です。

ネット上では鈴木プロデューサーの護憲発言や、宮崎監督の「慰安婦に謝罪すべき」という発言に対する攻撃が喧しく、見る前は色眼鏡で映画に接しそうでした。
それが実際に映画を見てみると、反戦思想を打ち出してる映画でも、戦争を肯定してる映画でもなく、単純に飛行機作りに情熱を燃やす技術者の物語でした。

特に背景の美しさは筆舌につくしがたい表現・・・

ただ、この人の作品。
破壊する場面や戦闘シーン、カタストロフィの表現が凄まじいんですよね。

インタビューで言ってることは完全に左巻き思想なんですけど、実際の映画に接すると、この人は戦争肯定者だと思われかねないほどであります。

宮崎監督はよく言われるように「矛盾の人」と呼ばれますが、たしかに普段言ってることと、作品があまりに違いすぎる。


すみません、自分では宮崎作品の背景に匹敵すると自負してる山形山水図です。特に雲の遠近。

宮崎監督はインタビューで、戦前に生まれていたら軍国少年になっていたろうと自分でも言っています。

だから最初は、左翼や右翼の中でリバーシブルになってる人がいるようなもの?
そう思っていましたが、作品を見ながら思ったことは巨匠宮崎駿はそんなレベルではないようです。

と言うか、そもそもアート、芸術作品というのは、最初に本人の体質ありきで(才能とは少し違うもの)、思想や学習にあまり左右されないものがある。
今回の「風立ちぬ」を見て、そんなことを強く感じました。

それは遺伝子のようなもので、どのようにしても変えることのできないもの。
元から持っている顔かたちや血液のようなものとでも言いましょうか。

みっともない手前味噌ですが「千と千尋の・・」のはるか前、1991年に描いた銭湯絵画「ドゥルガの奇跡」。この続編として、もののけの銭湯を描こうとして先を越されてしまいました(笑)。

作品と本人というのは、当然ながらリンクする部分が多いものですが、個人差はあるものの、必ずしももそうではありません。

小心者で人の意見に左右されながら改訂を続けていったブルックナーが、あの壮大な大伽藍のようなシンフォニーを作ったりすることもあれば、ベートーベンのように曲と本人のギャップが少ない人もいます。

宮崎駿の場合、矛盾をそなえた典型的なアーチストですね。

この人の言ってる思想というのは、まったく与でできないのですが、作品は本当に素晴らしい。

ただ、72歳になった宮崎翁の仕事を見てさらに思ったことに、キャラクターと背景画の乖離を強く感じました。
キャラと背景が合ってないというのではありません。

背景の実在感、存在感が圧倒的なのに対して、キャラの薄さが際立つ感じでした。

難を言えば声優でしょうか。

主人公の堀越次郎の吹き替え。あまりに下手な棒読みにいったい誰かと思ってクレジットを見たら、エヴァンゲリオンの庵野監督。大物だけど声優は素人ね。

ほかにもプロの声優じゃなく、風間杜夫、國村隼、大竹しのぶなど、みんなプロですが役者さんを使っていて、いつものジブリなんだけど、声優使った方がいいのになと思いました。

ともかくもこの映画、必見です。まだの方はぜひご覧あれ。

「風立ちぬ」〜思想は反戦、体質は好戦” への4件のコメント

  1. >インタビューで言ってることは完全に左巻き思想なんですけど、実際の映画に接すると、この人は戦争肯定者だと思われかねないほどであります。

    この方、プロペラ飛行機大好きだそうです。
    蚊トンボから輸送機までありますが、プロペラ機の最高峰はゼロ戦。
    駿さん、きっと心の底では大好きだと思われます。
    でも、作品には出て来ません。
    反戦だから出さない出せないんでしょう。
    「永遠のゼロ」はお好きかなあ???

    一筋の青年は、飛行機を優先した。
    女性はここに違和感を感じるのでしょうか?
    野郎共はいつの世もここで、悩む?
    今悩まん奴ばかりか???

    声は、知らない声優(失礼)が好いですね。
    顔が浮かんじゃうと、銀幕に集中出来へん。

  2. お頭さん、おはようございます!

    >蚊トンボから輸送機までありますが、プロペラ機の最高峰はゼロ戦。

    大好きに決まってますな。
    矛盾の人と言われる所以です。

    >顔が浮かんじゃうと、銀幕に集中出来へん。

    それ以前に素人に声優させちゃいけません。
    ジブリ作品、どうしてもそこが気になります。

  3. 「日本禁煙学会」というのが在るそうで、
    其処がこの作品の喫煙シーンの数々にクレームを立てているそうです。
    アッシもタバコは御幼少の昔っから大嫌いでやんすが、
    この作品で、否、この作品、ジブリ以外でも実写でも、
    昔のシーンで喫煙を認めないと、物事は成り立ちませんな。
    一切タバコが出ない作品は、それこそ歴史の捏造、って大袈裟ですか?
    昔の新聞社編集室内とか、煙で向こうが良く見えない、ってなもんです。
    時代劇だと、長火鉢にキセルをコンと叩いて火を落とすとか、無くすの?

    一寸前に(?)排煙運動(?)が始まったころ、
    昔の国防婦人団体みたいな勢いのオバタリアン達が
    地下鉄のホームで紫煙を燻らす人を魔女狩りの様に詰め寄って糾弾する、
    って現実のシーンを赤坂駅で目撃したことあります。
    もうちょっと余裕の有る心持でないと、
    それこそ、欲しがりません勝つまでは、の世界に成っちゃいそうで、こわい。

    駿ちゃん、どうせそう成るんだったら零戦入れときゃよかったね。

  4. お頭さん、おはようございます!

    >「日本禁煙学会」というのが在るそうで、

    これって論外ですな。
    本日のちほど、ブログにUPする予定です。

    またお越しくださいませ!

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