かれーな印度カレーを召し上かれー・しょの6です!

かれーな印度カレーを召し上かれー6
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昨日は上野の科学博物館・会議室でニッコウトラベル主催の講演会。
会場は科学博物館ですが、イタリア旅行ツアーの説明会だったのでイタリア美術について話をしました。感触は上々。ただツアーは2月なので、それまで参加者が増えてくれるといいなあ。

写真は講演前にいただいた「つばめグリル」のハンバーグステーキ。
有名なメニューだそうですが、私は初めていただきました。ハンバーグにビーフシチューがかかっていて、トロトロになった牛肉がゴロッと入っていて食べごたえもあり、講演前に気合いを入れるには丁度良い一皿でした♪

さて、そんなワケで今日も「医食同源」のカレーエピソードのUP。

なんか調子に乗ってきましたが、お読みいただければ嬉しいところです(笑)。

かれーな印度カレーを召し上かれー6
マッドクラブのカレーはいかが?

掲載日:2005年10月26日

 まいど、まいど、イダテンのゲンさんです!

毎回、口上を述べるたびに思うんだが、たかだか半月くらいの間に世間じゃあ色々なことが起こるもんだ。先日のパキスタン北部の大地震にしてもそうだけど、実は日本にはけっこうな人数のパキスタン人が住んでいる。

たとえば日本にあるインド料理店は、意外にパキスタン人やバングラデシュ人、ネパール人が多く、看板のインド人はさほどいなかったりする。あっしの知り合いにもパキスタン人のインド料理店経営者がいて、こないだの地震で早々に帰国したんだが――家族は無事なのは良かったが、被害に遭った人のことを考えると手放しでは喜べないと言っていたよ。

さてさて、こちとらゲンさんは雨にも負けず風にも負けずで、日本と世界をかけめぐっている。今の時期、あっしも年末と正月商戦に備えて余念がないわけだが、最近のイチオシは何と言っても10種類揃えたカキの特集だ。

究極の志摩ガキを筆頭に、広島産、宮城産、岩手産、シアトル産、韓国産と、西麻布あたりのオイスターバーも顔負けの品揃えさね。これからの大切な時期をひかえて、なにとぞスイサンドンヤ・ドットコムさんのキャンペーンをよろしく頼みますぜ!

ムンバイは女神ムンバ・デヴィの島だった

さて、「かれーな印度カレーを召し上かれー」。今回もゲンさんのムンバイ(旧ボンベイ)発、インド料理・最新情報からはじめてみよう。

日本でも横浜や神戸がそうであるように、大きな港町ってえのは、はじめは小さな漁村だったところが、あっと言う間にデカくなったケースが多い。

インドで言えば、それがムンバイでありコルカタ(旧カルカッタ)で――どちらも300年ほど前、イギリス東インド会社が植民地政策の拠点として、漁村の島々を切り開いたことにはじまる。

4000年の歴史を誇るインドにとって、300年の都なんざあ、新参者もいいところなんだが、よそ者の集まりだった街だけに、どちらも新しいものを受け入れる気質が高い。

ムンバイの場合、漁師と土地の女神ムンバ・デヴィさまが住んでいた、ごくごく小さな島だったんだが、イギリス人が大勢のよそ者をかり出して、島と陸との間を埋立てたことからその歴史がはじまる。地形的に良港の要素を備えていたムンバ・デヴィの島は、陸続きになってから瞬く間に世界有数の大都市にノシ上がったというわけさ。

食い物についても事情は同じ。横浜が日本におけるアイスクリームやビール発祥の地だったようなもんだね~。近頃のムンバイでは中華やフレンチはもちろん、イタリア料理や日本料理の店も増えていて、そんな中からインド料理と融合したインディアン・キュイジーヌなるものまで生み出されている。

また、ムンバイはもと漁港ということもあるんだろう。高級店ではエビやカニを筆頭に、軒並み新鮮な魚介類を使った新しいインド料理がもてはやされている。これも豊かになりつつある一部のインドを象徴しているんだろう。

 「カニのガーリック蒸し」はいかがカニ~?

ムンバイの中心地プリンス・オブ・ウエールズ博物館の近くに、「トリシュナ」というシーフードで有名なレストランがある。ここはニューヨークの権威あるグルメ誌で絶賛されて以来、欧米人のお客さんが大挙して押しかけるようになった店だ。

観光客が大勢集まる店は、わりと口ほどにもないトコが多いんだが、トリシュナに関しては看板にいつわりなしだ。1947年創業というから、ムンバイの中では老舗に当たる。

ここの名物は何と言っても「カニのガーリック蒸し」だろう。

インドでカニかに~? などと言うなかれ。カニと言ってもズワイガニやタラバガニ(※1)のように寒いところで採れる種類じゃない。

店では「カニ」とだけうたってるが、こいつはマッドクラブ(Mud Crab/泥蟹)と呼ばれるワタリガニの仲間だ。日本ではノコギリガザミと呼ばれ、房総半島以南、オーストラリアからタイやベトナム、インド洋西部にわたって広く生息しているカニだ。

トリシュナでは文字通り、こいつを塩とガーリックソースだけでシンプルに蒸し上げたものを、殻ごと出して、ロブスタークラッカーで割って食べる。殻が厚く、ちょっと力を入れて割ると、ほかの客席までカニの欠片が飛び散るもんで、とてもお上品に食べていられないが、こいつをむしゃぶりついて食う味は格別だ。

ガザミ――ワタリガニの仲間ってえのは、比較的身が少ないもんだが、マッドクラブに関しちゃ、そんなことはねえ。ハサミにも足にも甲の部分にも、ホコホコした身肉がたっぷりと詰まっていて、そいつにガーリックソースの濃厚な味が加わって、おおおお・・・!

なに、そんな旨いカニなら、ぜひ一度マッドクラブを食べてみたいって?

へっへっへ。お客さんは幸せな人だね~。実はスイサンドンヤ・ドットコムさんでは、11月中旬ごろよりベトナムフェアを行う予定なんだが・・・その中で「マッドクラブ」を新商品として取り扱うつもりなんだ。

このカニを食わずして、カニさんを語るなかれ! どうぞ楽しみにしておくんなせえ。

※1 タラバガニは市場的にはカニとして扱われるが、分類的にはヤドカリの仲間である。詳細は、『冬はカニだぜ。カニ、カニ、カニ、カニでえ! 』の巻を参照。

マッドクラブのカレーはいかが?

このマッドクラブは、実はあの「美味しんぼ」で一躍名が知られるようになった食材で、マンガにもあるようにオーストラリアのものが有名だ。ケアンズ州では、採れたてのものを生きたまま火にくべ、船の上で食べるクラブ・キャッチング・ツアーが人気で、この地の大切な観光資源なっている。

マッドクラブはタイを中心にした東南アジアでも高級食材として人気で、スパイスとの相性が良いのも特徴だ。濃厚な身肉がスパイスの強さに負けないんだな。

美味しんぼのカレー対決では、究極のカレーとしてマッドクラブが用いられたが、雁屋哲先生はこのカニの特性を、よーくご存じだってワケさね(ワタリガニでも大丈夫だそうだ)。

マンガではターメリックやクミン、コリアンダー、カルダモン、レッドペッパーなどと一緒に、カツオブシを砕いて入れる場面が印象的だ。そいつの元ネタがカツオブシによく似たモルジブ・フィッシュを使ったスリランカ風のカレーだってえのは、みなさま先刻ご承知のことだろう。

だが、美味しんぼ風マッドクラブ・カレーのレシピで、あっしが注目したいのはレモングラスやカレーリーフなど、インドではあまり使われない(南部を除く)スパイスが使われていることだ。

これら乾燥ハーブ類は、インドというよりはタイやベトナム、インドネシア、マレーシアなどで好んで使われるスパイスで、トムヤムクンなどの魚介類を使った料理と相性が良いのが特徴だ。そのあたり、うわべだけで料理を捉えていないのも、このマンガが30年近くもの間ずっと続いている理由のひとつに違いない。

ベースになるスパイスをご紹介!

さて、いきなり美味しんぼ風マッドクラブ・カレーをご紹介したが、そのレシピはちょっくらスパイス上級者編に当たる。実は一般的なインド料理に使われる「基本的なスパイス」というのは、それほど多くない。スパイスの種類は多ければ多いほど良いわけじゃなく、理にかなった使い方をしないと意味がないんだ。やはり基本形が大切ということさ。

一般家庭の場合だとレッドペッパー、コリアンダー、クミン、ターメリックの4種類があれば十分、インドカレーの形は出来上がる(※2)。

まあ、あくまで基本ベースの話ではあるけどね。

スパイスには「辛味」「味つけ」「臭い消し」「香りづけ」「色づけ」という、5つの主な要素が、種類によって分担されているんだが――それは、今申し上げた4つのスパイスで網羅されるって寸法さ。

つまり辛味はレッドペッパー。味つけと臭い消しにはコリアンダー。香りづけにはクミン。色づけにはターメリックといった具合だ。まあ、クミンにも微妙な辛味があったり、レッドペッパーにも着色の要素があったりと、これらの役割は簡単に区分けできるほど単純ではないが、ざっくり4種類もあればそのベースはできるってことさね。

ただし、こいつはあくまで基本ベースの話で――高級な店に行けば行くほど、スパイスの調合は複雑になる傾向がある。

インドでスパイスは、日本に比べて安価とはいえ、4人家族で使う量が1か月で何kgという単位の消費量だ。種類が増えて調合がややこしくなればれば、それだけお金も手間も増えるってわけさね。

※2 通常はこの4種類にガラムマサラが加わるが、これは複雑なミックススパイスなので別の機会に述べることにする。

コリアンダーはインドスパイスの王様でい!

レッドペッパーについては前回、簡単にお話ししたので、今回はインド料理で量的にいちばん多く使われるスパイス、コリアンダーを紹介しよう。実はコリアンダーこそ、インドカレーをインドカレーたらしめるスパイスなんだ。

基本的な家庭料理の場合、4人分のカレーにレッドペッパー、ターメリック、クミンが小さじ1杯前後なのに対し、コリアンダーは6~7杯も使う。

こいつは先程も言ったように、香りというより臭い消しと味つけを担ったスパイスだ。それに加えてとろみを出す役割もあるんだが、長い時間煮込まないと味わいが出てこない。短時間で切り上げちまうと、逆に不味くなるんで、短時間で料理する時は使う量を減らしたりといった工夫をする。

コリアンダーはおもに完熟シードと青葉が分けて用いられ、カレーパウダーとして使われるのは、もちろん前者の完熟シードだ。青葉のフレッシュコリアンダーは、香菜(シャンツァイ)、あるいはパクチーと呼ばれ、台湾料理を中心とした中華やタイ料理に使われているのでご存じの方も多いだろう。

パクチーは独特の青くささがあるんで、昔から日本人には好き嫌いが分かれると言われていたんだが、最近は海外旅行などで慣れてしまい、好んで食べる人が多くなってきたようだ。もちろんパクチーはカレーに入れても美味しく、特にマトンカレーのような香りの強いものによく合うと言われている。

青葉と完熟シードでは、同じ植物とは思えないほど芳香が違うのもコリアンダーの特徴だ。もちろん使いやすいのは、匂いの少ないコリアンダーシードの方で、それはインド料理に使われる圧倒的な量を見ればおわかりと思う。

甘い香りのスパイスと相性が良く、カルダモンやクローブ、シナモン、ナツメグといった、インド料理で好まれる香辛料との相性は抜群だ。

意外なことにコリアンダーは地中海を中心とした南ヨーロッパが原産地で、聖書やアラビアンナイトにも、強壮剤や媚薬として登場する歴史あるスパイスだ。古代ギリシャの医学の父、ヒポクラテスも胃薬や眠り薬としてその薬効をたたえている。ま、そんな薬になるスパイスをたくさん入れるインド料理が、体にわるいワケはねえってことさね。

さーて、時間が来やがった。

それじゃ、お客さん。次回をお楽しみに!

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かれーな印度カレーを召し上かれー・しょの6です!” への2件のコメント

  1. こんにちわ。

    ますます絶好調。

    1995年に英語での公式名称がボンベイ から、
    現地語での名称にもとづくムンバイへと変更された。
    とウィキにありますが、当然ですね。
    日本の地名も元に戻したいなあ。

    と、いつもの大脱線、失礼しました。

  2. お頭さん、おはようございます!

    >現地語での名称にもとづくムンバイへと変更された。

    ところが意外なことにムンバイもコルカタも名前変更を喜ばないインド市民が多いのですよ。

    英語への抵抗がまったくないインド人。しくこくてくどいくせに、意外とアッサリしてたりして???

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