フォアグラの道もローマに通ず

マンマミーア・イタリアンーと来たもんだ! 6 
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本日も山形イタリアン、アル・ケッチァーノのコース料理であります♪

本日は日曜日の遅い時間のUPということもあって、久々の「医食同源・マンマミーア・イタリアンーと来たもんだ! 」の6話目を公開いたします。

それではお楽しみのほどを♪

マンマミーア・イタリアンーと来たもんだ! 6
フォアグラの道もローマに通ず
掲載日:2004年9月8日

 まいど、まいど、イダテンのゲンさんです!

いや~。凄かったね、今回のアテネ・オリンピックは~♪ 正直言って開会前まで、あっしは大して期待してなかったんだが、かつてないメダルラッシュとあって、こいつは嬉しい誤算だったよな。

オリンピックによる経済効果も1兆円とかで――ここ何年もそんな景気の良い数字を聞いたことなかったが、これからのあっしら売り上げに弾みがつくってもんさね。

もっとも、新橋の飲み屋さんなんぞは、中年のおじさま方が揃って家に直行するもんで、猛暑だったにもかかわらず、イマイチ客足が伸びねえって言ってたな。

けど、すでにあっしのとこには、個人商店のお客さんからの注文がガンガン来はじめている。オリンピックで家に帰っていたお客さんも、すぐに帰ってくるハズさ。これからの巻き返しに期待さね!

さて、あっしらも金メダルに続けとばかり、スイサンドンヤ・ドットコムさんの新カタログ「食材仕入事典」をブチ上げた。

今や「食のサイト」では、日本最大級の規模にノシ上がったスイサンドンヤさんだが、まだまだ売りたいものは沢山ある。商売人としちゃあ、「花」まで売るのは実に楽しいが、それはまだまだほんの小手調べだ。

あっし、イダテンのゲンさんもメダリストたちのように、世界中を駆け巡り、最高の食材を最低の価格でご奉仕できるよう、今後とも精進いたしやすぜ!

アルバ産の白トリュフはいかが?(ピエモンテ州)

 

さーて。前回に引き続いて、北イタリアから郷土料理のお話だ。

特に北イタリアの郷土料理というのは――ピエモンテ州のバーニャ・カウダのように、貧しい農民などの生活から生まれたものが多いのは、前回申し上げた通りだ。

だが、今回はその反対に高級食材を取り上げてみたい。なぜならイタリアンは貧乏人の料理と貴族の料理の両方が、ほどよく融合されている。これは重要なことなんだ。

つまり貧乏人の料理にとって、食というのは生活のため、生きるためにある。

一方、貴族や王様の食事というのは、生きるためだけの目的ではない。食は贅のため、楽しむため、ステータスのためにでもあるのさ。

両者がバランスよく融合したイタリア料理は、味の点からも、医食同源の意味からも、おのずと優れたものに完成されていった。いわば生きるための料理と、楽しむための料理が合体したわけさ。

そのイタリアンで高級食材の代表格といえば、知る人ぞ知るアルバ産の白トリュフをおいて他にはないだろう。

なに? トリュフならフランス料理だろうって?

お客さん、そら間違いじゃないけど、イタリアのトリュフも素晴らしいんだよ。それにトリュフはフランス料理ってイメージがあるけど、実際に世界のトリュフの約70%はイタリアで産出されるのさ(※1)

トリュフといえば、言わずと知れた世界の3大珍味のひとつ、万人が認める高級食材だ(あとの2つはキャビアとフォアグラ)。その中でもアルバ産の白トリュフは、何でも自分の国が最高というフランス人でさえ、足を運んで食べにくるほどのものなんだ。

フランスにはペリゴール産の黒トリュフという、いわば東の横綱にあたるブランドがあるが、それに対してピエモンテ・アルバ産の白トリュフは西の横綱と呼んでも良い存在で、これを使った一皿がピエモンテ料理にある。

ご存じのかもしれないが、トリュフは胞子が形成される頃になると、独特の強い芳香を放つ。この香りこそがトリュフの身上なんだが、ピエモンテの食べ方は至ってシンプル――タリオリーニというパスタに和えて食べるだけだ。

「何だ、パスタか」などと、野暮なことは言うなかれ。あっしら日本人に当てはめて言えば、最高級のマグロに寿司飯が合うのと同じ理屈さね。

タリオリーニは卵を練り込んだ手打ちの生パスタで、ちょっと細めのきしめんって感じだ。溶かしバターで和えた、茹でたてのタリオリーニに、白トリュフをタップリ削ってのせる。うう・・・トリュフの芳香が、ああ!

ただこれだけの調理法で、レシピともいえないような一皿だが、これがいちばん白トリュフの香りが生きる食べ方なんだ。

いかにもシンプル・イズ・ベストを旨とするイタリアンの一皿さね。

※1 イタリアの黒トリュフは、トスカーナからウンブリア州にかけてのノルチャ産が有名。

黒いダイヤに白いダイヤ

ところで知ってるかい? お客さん。

俗にトリュフは「黒いダイヤ」なんて呼ばれるけど、一般にトリュフは、黒より白の方がはるかに高いんだ(ペリゴール産は別格)。白トリュフの方が収穫量も少ないってえのが、その理由だが、白トリュフは黒トリュフの3倍以上もするんだぜ。

なんせピエモンテ地方のリストランテで、さきほどの「白トリュフのタリオリーニ」を注文すると、店のオーナーが直々に出てきてトリュフを削ってくれるくらいだ。1キロ200ユーロ以上、日本円で5万~6万円もする食材のダイヤは、子分に触らせてもらえないってコトなんだろうな。

もともとトリュフってえのは根も茎もなく、カシやナラなど近く地下20~30cmの深さに自生する。人工栽培がきわめて難かしい上、もちろん地表から見えないので、訓練された犬やブタを使って採取するのさ(ブタがトリュフを取る話は有名だが、現在は犬を使って採取するのが主流)。

希少価値に加わり、採取に手間とお金がかかるもんで、トリュフはどうしても高くなるわけだね。

おトリュフさまは人まかせにできない?

余談になるけど、実はあっし。一度、トリュフでしくじったことがある。

10年ちょい前のバブル全盛の頃――あっしはトリュフの買い付けに凝っていた。その時はキロ/6万もするようなトリュフが面白いように売れ、産地のフランスやイタリア、スペインなんぞに足しげく通ったものだ。

買い付けに関しちゃ、なるべく自分で行くことにしてるイダテンのゲンさんだったが――その時はどうしても外せない用事があったもんで――語学に長けた新入社員に「トリュフ100kgばかし買い付けてこい」というミッションを与えて、イタリアに送り込んだのさ。

ところが語学と商売は別物だ。そいつは到着したその日に、ローマの地下鉄でスリに大金を盗られちまった。もっとも不幸中の幸いか、全部やられたわけじゃないらしく、カードのいくばくかの現金は手もとにあったらしい。

国際電話をかけてきて、

「どうしましょう?」ってぬかすヤローにあっしは、

「どうします、じゃねえだろう。体が無事だったから良かったようなもんだけど・・・

おめえ持ち金、あといくらあるんだ? トリュフ100kgも買えるのかよ?」

って聞いたのさ。

そしたら「何とか大丈夫です」って、意外に涼しい声で答えたのさ。

ずいぶん大金持って出かけたんだな・・・金を盗られたのはマヌケだが、わりと度胸も据わってやがる、と感心してたところ、何日か後にそいつは無事、帰国した。

ちゃんと商談も成立したって言うんで、あっしもひとまずホッとしたんだがね・・・。

ところが、イタリアから送られてきた荷物を開けて、驚いた、驚いた!

トリュフはトリュフでも、中に入ってたのはチョコレートのトリュフさね。

あっしは怒るより呆れ返って、問いただしたんだが、その時はあとの祭り。ヤロー、鳩が豆鉄砲くらったように、キョトンとした顔で、

「え? トリュフってチョコレートじゃなかったんですか?」だと。

そらトリュフのチョコは安くもないが、本物のトリュフと比べればケタが違う。どうりで、持ち金で買えたはずさね。

あとで聞いたら、そいつは大の甘党でトリュフチョコが大好物。そのオリジナルがキノコのトリュフであることはもちろん、存在すら知らなかったんだと。

まったくモノを知らねえってのは、おそろしいもんさね。

え? そのトリュフと社員はどうなったかって?

トリュフ・チョコレート100kgは、みんなに配って喜ばれたよ。その社員はさんざんどやしつけてやったが・・・考えてみれば、あちらのリストランテではオーナー自らが削ってお出しする、おトリュフさまだ。自分で買い付けしなかった、あっしの責任さね。

そいつは意外に根性があったから、ずっとうちで続いてるよ・・・最近ようやくモノになってきたところさね。ともかくもまあ、笑い話になってくれて良かった次第さね(脚注・とある食品会社の実話です)

フォアグラの起源はイタリアにあり?
(フリウリ-ヴェネチア・ジューリア州)

トリュフが出たところで、ついでにもう一丁、今度はフォアグラの話でもしてみよう。

もっともフォアグラというと、世界的にはどうしてもフランスやハンガリーが有名だ。

(スイサンドンヤ・ドットコムさんのフォアグラも、フランス産! 歩留まり100%の素晴らしい品だ。1人前のポーションになっており、手軽に無駄なく使えとても便利、どうか試しておくんなせえ)。

だが、イタリアのフォアグラというと、あまり聞いたことがない人も多いかもしれない。

それもそのはずで、最近まではイタリア人ですら、国産フォアグラの存在を知らなかったそうで、イタリア全国区で見てもマイナーな存在だった。

フリウリ-ヴェネチア・ジューリア州(以下フリウリ州)は、地勢を見てもわかるように、オーストリアに接している。いわば、あのハプスブルグ家のお膝元に近く、そのためフリウリはオーストリアやハンガリー料理の影響が色濃く根付いている。

グラーシュ(グヤーシュともいう)と呼ばれる、牛などをパプリカで煮込んだスープは、ハンガリーのオリジナルだが、フリウリの郷土料理に同化している。エスプレッソに生クリームを入れる習慣も、ウインナ・コーヒー・・・ウィーン経由のものかもしれない。

また、このフォアグラも然り・・・ハンガリー、オーストリア経由でやってきたものと思いきや、どうやら逆にイタリア半島がオリジナルなんだそうだ。 

フォアグラの道もローマに通ず

なんとフォアグラの起源は、生パスタと同様、古代ローマに遡る。

飽食をきわめ、満腹になるとガチョウの羽で吐いてもどし、さらに別の料理を食べたという古代ローマ人・・・彼らはそのガチョウにイチジクを無理矢理食べさせ、肥大した肝臓――フォアグラを作っていたといわれている。

それがローマ帝国崩壊後、ヘブライ人――つまりユダヤ人の祖先たちがフォアグラ作り方を引き継いで、ハンガリーからオーストリア、フランスへと伝えたというんだ。

もちろんフリウリのフォアグラも、ハンガリールートで伝わったものなんだが――最近の研究で、BC100年くらいのフリウリ州がフォアグラの名産地だったことがわかってきたそうだ。

当時は首都ローマからも注文があったほど、フリウリのフォアグラは有名だったらしく、最近は町起こしの一環として、ガチョウ料理やフォアグラを売り出すようになってきたそうだ。

フォアグラ・・・つまり肝臓以外の部位使った料理が多いのもフリウリ料理の特徴で、胸肉の燻製やハム、ミートソースや、ポレンタとの付け合わせなど、バリエーションはさまざま。ただ残念ながら、日本ではフォアグラ以外の部位はなかなか食べられないようで、あちらに行った時に、食べてみたいもののひとつかな。

さて、普段なら話したものを食べたくなるのが、いつものパターンだが、今日の場合はちょっくら高級な食材だ。だが・・・やっぱり、あっしは食べるよ!

西麻布のラ・ボンバンスのトリュフにするか(時期により出る出ないアリ)、竹橋の毎日新聞社のビルに入ってる「アラスカ」のフォアグラにするか・・・。

どちらもイタリアンじゃねえが、今日は気張って高いモンをいただくとするかな。

すまねえな、お客さん! 一人で旨いもん食べちまってよ。

それじゃあ次回をお楽しみに!

マンマミーア・イタリアンーと来たもんだ! 
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