生ハムは体に良いぜ!

マンマミーア・イタリアンーと来たもんだ! 11
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六本木の元町Unionでいつもの鶏ひき肉が半額だったので、つくねカレーを作りました。
ここの鶏ひき肉を手にとった時、見ていた店のおばちゃんが「ねえ〜、このお肉美味しいでしょう♪」と、ものすごく嬉しそうに言ってくれました。

そういう店は間違いなく良い店です♪

というわけで、イタリアンなのにカレーの写真ですが、本日も「医食同源・マンマミーア・イタリアンーと来たもんだ!」その10話めをUPします。

本日は生ハム! お楽しみくださいませ!

マンマミーア・イタリアンーと来たもんだ! 11 
生ハムは体に良いぜ!
掲載日:2004年11月17日

まいど、まいど、イダテンのゲンさんです!

いやあ、新潟県中越地震からしばらく経つが、どうにも余震がおさまる気配がないな・・・。不自由な生活を送っている中越地方の方々には、本当に気の毒なことだ。大きい地震に遭った人というのは、慣れるどころか、それがトラウマになるケースが多いようで――それがどんなに恐ろしい体験かってっことだな。

ともかくも――がんばれという言葉は、災害に遭った人には良くないそうだが、ここはどうにか気張って乗り切ってほしいもんだ。

あっしも還暦を迎えてしばらく経つが、60余年の間なんてえのは、地球の長い歴史に比べりゃ屁みたいなもんだ。今までの人生になかったから、明日もないかって言えば、そんな保証は何もねえ。あっしの暮らしてる地域は人口が密集している、防災に対する気構えが必要なところなもんで、まったくもって人ごとじゃねえ。

先日、うちのババアと一緒に非常用の縄バシゴを買いに行ったんだが、防災グッズ売り場は、すげえ人だかりで売り切れさね。仕方ねえから、非常用の靴と真新しい軍手だけ買ってきた。

ともかくもお客さん、備えあれば憂いなしだ。日頃の準備と気構えは、しっかりしておきてえもんさね。

生ハムとプロシュート――違いはあるの? 

さて、今回のマンマミーア・イタリアン。

食通の地、エミリア-ロマーニャの話は、まだちょっくら続く。なぜかって、この地方の特産であり、イタリア料理の要になる食材がいくつか控えているからだ。

――え? そのひとつは生ハムだろうって?

さすがにクロートだね、お客さん。その通りさ!

生ハムといえば最近は日本でも、イタリア料理店だけでなく、デパ地下や高級スーパーでの売り場にも顔を出すようになった人気食材だ。

俗にプロシュートなんて言い方もするが、イタリア語で生ハムのことはプロシュート・クルード(Prosciutto Crudo)という。プロシュートとはハムのことで(※1)クルードとは生という意味。プロシュート・クルードってえのは、豚のモモ肉を塩漬けにした後、加熱せずに乾燥させて熟成させたものを指すのさ。

塩漬けの豚モモ肉を蒸して作る通常のハムは、プロシュート・コット(Prosciutto Cotto)とよぶ。コットは加熱したという意味で――ただのプロシュートだと、普通のハムも全部含まれちまう。つまり「生ハム」ってえのは、プロシュートの中の1カテゴリーってワケさね。

ただ、イタリアの豚肉加工品はあまりに数が多い。ここでは、特別なものを除いては「生ハム」という呼び方で総称することにいたしやしょう。

※1 プロシュートは「乾燥させる」を意味する、プロシュガーレという言葉が語源。 

加工には豚が一番でい!

こと西洋において、肉ってえのは特別な存在だ。

特に現在のドイツやベルギー、オランダにあたる地方は、昔からロクな穀物が育たなかったから、連中はみな狩りによって食べ物を得ていた。

人間が農耕を選んだり、狩猟を選んだりするのは、住む場所によって得られる食料が違うからなんだ。だからこそ、肉に対する連中の思い入れは、あっしら日本人が想像できないくらい深いものがある。

もっとも北部ヨーロッパのガリアやゲルマン人と違って、温暖な地に住んでいたローマ人は、もともと農耕民族だった。つまりローマ人にとって肉とは主食ではなく、選択肢のひとつだったのさ。だからこそ、肉はかえって高級品となったんだ。

ローマ人は家畜を放牧して飼育し、つぶした牛や豚をさらに保存する智恵を持っていた。その日暮らしの狩猟民族ではなかったわけだ。

ガリア&ゲルマン人のような北の蛮族にとって、肉とは生命の源ではあるものの、どこかに行って捕まえてくるモノに過ぎなかった。

一方、ローマ人にとって肉とは、いちど収穫された穀物を食べさせて育てる、一種の財産だったわけさね。そんな貴重なものなら、当然、手をかけて洗練されたものに発展していっても不思議はない。

一説によると、紀元前5世紀のローマでは、保存食として塩漬けの肉がすでに作られていたそうで――そこには、すでにプロシュート・クルードの原型があったといわれている。

食い意地の張ったローマ帝国の連中は、牛、馬、イノシシ、ロバ、ガチョウと、さまざまなケモノを肉製品に加工してきた。だが、肉質の面から加工品において、豚の右に出るものはなく、現在のような生ハム類に発展していったという寸法さ。

プロシュート・クルード 説明は本文中。
クラテッロ 説明は本文中。
モルタデッラ 豚肉を細かく挽いたものに、サイコロ状の脂身を混ぜて腸詰めにした、ボローニャ式ソーセージ。
コッパ 首(コッパ)の部分をスパイス、ハーブ、塩などをまぶして熟成させたもの。不規則な模様をした赤身肉を使う。
ラルド 文字通りラードだが、豚の背油を塩とスパイスで漬け込んで熟成させたもの。舌の上でとろける食感は、通常の脂身とは別物。
コテキーノ ほほ肉を腸詰めにしたもの。ザンポーネの姉妹品だが、詰める入れ物が異なる。パーティーなどに喜ばれる。
パンチェッタ 豚のバラ肉(パンチャ)を用いたイタリア式ベーコンだが、基本的には生ハムでスモークはしない。丸いものと平らなものがあり、平らなタイプは燻製にすることもある。カルボナーラのお共に欠かせない。
ザンポーネ ほほ肉などを豚の足に詰たもの。コテキーノの姉妹品だが、詰める入れ物が異なる。コテキーノと共にクリスマス料理の定番。

パルマの生ハムをご賞味あれ!

そんな豚肉加工品が最高に進化した姿は、やはりプロシュートに尽きる。

そしてイタリアのみならず、ヨーロッパをはじめとする世界中で高い評価を得ているのが、パルマの生ハム――プロシュート・クルード・ディ・パルマだろう。

イタリアには「パルマの生ハム」のように、ブランドに原産地の名をつける場合、DOP(保護原産地呼称)と呼ばれる規制があり、その厳しい規正をクリアしないといけない。

パルマの生ハムの場合も、使う豚はポー川沿いの州で生まれ育った1歳ものと決まっているそうだ。イタリア人は鶏でも豚でも、柔らかいなどの理由で去勢された肉を好むが、パルマの生ハムも去勢豚が高級とされている。

その中でも、さらに良いとされるものは、チーズの副産物ホエイ(乳清)を混ぜた餌で育てられたモンだそうだ。まあ、薩摩の黒豚にサツマイモを与えて育てるように、肉も食べるエサによって味がまったく変化するからな。

ちなみにこのホエイは、同じ地方の特産品「パルミジャーノ・レッジャーノ」の上澄みでできたものだそうで、同じ牧場や地域内でやりくりしているケースが多いそうだ。

選別した豚のモモ肉には、肉と同じ重さの岩塩がもみこまれる。岩塩は生ハムに用いられる唯一の調味料で、このあたりがシンプル好きのイタリア人の気質をあらわしている。

一定の期間、置かれた肉は、ぬるま湯で洗ったのちに、長~い熟成工程に移される。この熟成期間のなかで、モモ肉は徐々にパルマの生ハムへと生まれ変わってゆくんだ。

 

生ハムは体に良いぜ!

高カロリーって感じのする生ハムだが、実はヘルシーな健康食品だ。

脂肪分が少なく――その脂肪分もオリーブオイルと同じオレイン酸ってことで、動脈硬化や心臓病、老化防止の効果があるといわれている。肉で気になるコレステロールも、問題にならない量だし、豚肉に多く含まれてるビタミンB1も豊富だ。

また、亜鉛や鉄分、ビタミンB2などのミネラルも、熟成させて水分が抜けていくうちに凝縮され、豊富になっていくという利点もあるのさ。

まあ何となく旨いモンてえのは体にわるくって、粗食の方が体に良いイメージがあるけど――生ハムは低カロリーでヘルシー、しかも美味しいという素晴らしい食品なんだな。

ちなみにスイサンドンヤ・ドットコムさんでも、「パルマの生ハム」は手に入るよ! プロシュート・クルード・ディ・パルマじゃあ、商品名としちゃあまりに長いんで、シンプルに「パルマプロシュート」。掛け値なしに世界の最高級品といわれるパルマの生ハムだ。カルパッチョ、野菜サンドはもちろん、メロンやイチジクなどに巻いて食べると、最高の前菜としてお客さまに喜んでいただけるよ。

また、安価なもので「プロシュート・ディ・イタリア」もオススメ。パルマのものより熟成期間は短いが、それでも8か月かけている。値段も味のうちって言うけど、満足していただけるお品になってるはずさ。どうぞ試しておくんなせえ。

豚肉加工の最上級、クラテッロ

生ハム通常、半年から1年寝かせたものが普通だが、プロシュートと呼ばれるパルマ産の生ハムは10か月~1年熟成させたものが多く、中には3年寝かしたなんてものもある。

こいつは「3年もののプロシュート」と呼ばれ、熟成に重ね、ほどよく水分が抜けているんで、肉の旨味がタップリ凝縮されている。

ここまでの品ってえのは、なかなか現地に行かないと手に入らないんだ。

 

ところが、さらにエミリア-ロマーニャ地方には、クラテッロという幻の生ハムがある(現地価格は100gで1400円ほど。プロシュートの約3倍)。

正確に言うと、クラテッロは生ハムではなくサラミの一種。食品衛生法の関係で、日本に入ってくることは極めて稀なようだ。

こいつはプロシュートに用いる最高級のモモ肉から、お尻の部分をプライムカットして、豚の膀胱(あるいは腸)に詰めて、岩塩とスパイスを摺り込んで熟成させたシロモノなんだ。

これは、いかにも肉文化の極地といえるようなもので――実はイタリア本国でも、昔ながらの製法による一部のクラテッロは、市場の流通に流すことができない。

日本では醤油や日本酒などで、蔵自体に独特の菌や麹がついているところで、熟成をさせる場合があるが――イタリアって国は官僚制度が行き過ぎて、そういう場所で熟成させることは法にひっかかるそうなんだ。

まあ、イタリア人ってえのは大かなようで計算高いとか、列車は遅れるのに、役所の規制は多いとか(昔より鉄道は遅れなくなったそうだがね)、共産主義が強いとか・・・まあ何だかよくわからない矛盾が多い国みてえだ。

ともかくも、こいつはパルマ近郊のズィベッロという小さな町を中心に、イタリアでもほんの数カ所でしか作られていない貴重品だ。

あっしはボローニャの展示会で、一度だけご馳走になったことがあるが、ねっとりとして口の中でとけてしまうような・・・おおお! まあ、一度イタリアに行ったら食べてみな。

肉文化とはこれ!・・・ってえのがよくわかると思うよ。

さて、時間が来ちまった。

次回は最近人気のバルサミコ酢と、その使い方の話でもいたしやしょう。

それじゃ、お客さん。次回をお楽しみに!

マンマミーア・イタリアンーと来たもんだ!
全29話バックナンバー

1 マンマミーア・イタリアンと来たもんだ!

2 貧しさから生まれたイタリア料理

3 パスタは体に良いぜ! 

4 ショートパスタは究極の外道? 

5 体にやさしいマンマの味

6 フォアグラの道もローマに通ず

7 ちょっくらヴェネチア物語を一席

8 カルパッチオは1963年生まれ?

9 どこが違う?〜ミートソースとボロネーゼ

10 パルミジャーノはチーズ界のホンマグロでい!

11 生ハムは体に良いぜ!

12 トスカーナ〜進化した貧者の豆スープ

13 野趣溢れるイノシシはいかが?

14 永遠の都・ローマ料理って?

15 アナゴのエサになったローマの奴隷

16 宇宙に飛び立つユダヤ料理?

17 PIZZAはどこから来た?

18 世界を制覇したナポリのトマト

19 王様の舌はマカロニの舌

20 「地中海式ダイエット」はイタリアの医食同源!

21 オリーブは体に良いぜ!

22 イタリア三色国旗は健康の源

23 地中海式ダイエットって?

24 良いワインは良い血を作る!

25 シチリアの郷土料理 クスクスはいかが?

26 ゲーテも愛したシチリアの大地

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