箱根ポーラ美術館〜黒田清輝の《野辺》

箱根2日めは天皇誕生日でした。

エンペラーウェザーの晴天の中、美術館巡り好きな家内と星の王子さまミュージアムとポーラ美術館に行って参りました。昨今の地方美術館の充実ぶりには、目を見張るものがありますが、箱根のミュージアムは、その中でも粒ぞろいですね。

ポーラ美術館は「100点の名画でめぐる100年の旅」という企画展示。

ルノアールやモネ、ピカソはもちろん、岸田劉生や黒田清輝などの名画を一堂に会した大コレクションは圧巻。
これがすべて自前のコレクションだというのですから、大変なものであります。

そういえば上野や六本木で開催された、ダリ展、ルノアール展、ゴッホ展、モネ展などを見ると「ポーラ美術館蔵」という但し書きを必ず目にしますが、バックヤードの所蔵品は大変なものなのでしょうね。

↓ その中で、今回の一枚をあえて選ぶとするとこちら。

黒田清輝《野辺》 1907年(明治40) 、画像はWikipediaより。

いや、明治時代に大胆な構図です。

「草の上に横たわっていて、寒くないのかな」という家内に、
「 いや、脳内CGで合成したんだろう。絵だからね」と答えた私ですが、なんとも意味深な印象を受ける裸婦であります。

黒田清輝といえば、何と言っても「湖畔」が有名(こちらも画像はWikipediaより)。

いや、「野辺」を見て思ったのですが、「湖畔」もなにやら意味深な絵であります。
ある意味、裸婦の「野辺」よりこちらの方が、そそられる絵と言いましょうか。

何と言いますか、上村松園だったらぜったい描かないような、男性の描いた女性像という面持ちですね。

気丈そうなこの女性は黒田清輝の妻となる、結婚前の照子夫人だそうです。
湖畔に座っていた照子夫人を見て、「おお」と言って(ウソです)いきなり下絵も描かずに描いたものだそうで(ホントです)、なにやら続きの物語がありそうな……。

「野辺」は「湖畔」の約10年後に描かれた作品で、当時23歳だったという照子夫人をモデルにしたものか、わかりません(多分、違うモデルでしょう)。

家内に言わせると“野辺“の構図は、「男子の妄想」だそうですが、黒田清輝画伯は薩摩藩黒田家のご出身。正鵠を射るとは申しませんが、当たらずしも遠からずといったところでしょうか。

そういえば、ハリウッド映画も主人公の男性に美女がなぜかゾッコンになり、最後は男と男のコブシのぶつかる合い……これまた男子の妄想か(笑)。

男女を問わず、アートというのは妄想で出来上がっている部分もあるので、良いともわるいともいえませんが、ともかくも「野辺」を見て、はじめて「湖畔」の色っぽさがわかりました。

子供の頃から、切手や美術図鑑でお馴染みの絵ではありましたが、この歳になってそんなことを感じた次第。

そんな意味かどうかは別にして、いや、まさしくポーラ美術館のコレクションは鉄板です!

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