少し世の中が明るくなったんで、ポリティカルな話題は近頃は控えめ。
代わりに本来のアートの話題を今日も記事にいたします。
アントニオ・ロペス・ガルシア。
ラテン系の名前をつなぎ合わしたような名前ですが、今年77歳になるスペインの巨匠は、存命の画家の中では、わたしが最も好きで尊敬する人のひとりです。
これがなんと日本で初めての個展になるそうです。
ヨーロッパには「鍋ひとつにも精霊が宿る」という言葉があるそうですが、アントニオ・ロペスの絵はまさにそれ。
俗にスペイン・リアリティと言いますが、描いてるうちに絵からオーラを発していくような、そんな作品群でした。
この人はひとつの作品を描くのに20年以上かけることで知られていて、それも未完成のままで擱筆されたものも少ないありません。
マドリードの風景画などでも、20年経つと町の様子は変わってしまいますから、それで筆を置かざるを得なくなるというわけです。
知ってはいたものの、ロペスが徹底して「見て描く」ことを貫いているのは、あらためて驚き。夕焼けの時間であれば、その時間、その場所で描くということに徹しているのですね。
映像を見る限りでは、画家ロペスの筆致は早く、その気になれば相当なスピードで作品はUPされるはず。そりゃ、あのくらいの描写力がある人で筆の遅い人はおりません。
一発で決められる画力は十二分にあるわけですが、それはあえてしないで、見て+描くことを徹底する。これは対象に対する敬意の顕われと言えましょう。
モデルや対象物を見ないと描かない点は、先のフランシス・ベーコンとは対照的。
ベーコンはモデルを絶対に目の前に立たせず、複数の写真を見ながら、そのバリエーションを描いていくタイプの画家でした。
アントニオ・ロペスやフランシス・ベーコンを引き合いにするのは畏れ多いですけど、わたしは目の前にモノを置いて描くタイプじゃありません。
ただ、昨年の展覧会で描いた「10月その時、8時32分」は、地元赤坂の風景、それも家のまわりをスケッチしました。これ、実はアントニオ・ロペスを参考にしたというワケで(笑)。
アントニオ・ロペスの制作の様子をドキュメンタリー映画にした「マルメロの陽光」では、マルメロにシルシをつけて絵を描き上げていく徹底ぶりに目を見張ったものですが、その時に描いた作品も展示されていて、すこぶる満足♡
それにしてもスペインという国、ピカソやダリのような巨匠が出る一方で、こういうリアリズムの画家が輩出されるわけですが、どちらかというと、アントニオ・ロペスはスペイン保守本流を受け継ぐ巨匠です。
スペイン人の体質とリアリズムって、あまり結びつかない気もしますが、実は本流。
一方で「勤勉で生真面目」なはずな日本人の絵は、リアリズムよりもイマジネーションに突出しているところがアートの面白いところです♪
6月16日までですね。
渋谷の街中を通る元気が出たら見に行きたいな。
こんにちわ。
>スペイン人の体質とリアリズムって、あまり結びつかない気もしますが、実は本流。
>一方で「勤勉で生真面目」なはずな日本人の絵は、リアリズムよりもイマジネーションに突出しているところがアートの面白いところです♪
おおお、面白い。
じゅん×じゅんさん、おはようございます!
その日はパンクした自転車の修理に外苑前まで行き、勢いで文化村まで歩いて行きましたが、渋谷の人ごみは息が詰まりますね。
大技ですが、井の頭線で神泉から行くか、渋谷駅でもセルリアンタワーから出ていくと、あの交差点を通らず行けますよ。
アントニオ・ロペス展は必見です。
お頭さん、おはようございます!
>おおお、面白い。
面白がってないでアントニオ・ロペス展、今日にでも見に行きましょう。
ああ、いくらなんでも今日はむりですね。
わたしは音声ガイドも借りて、タップリ1時間半堪能いたしました。
それだけの価値のある展覧会でした。