珍しく連日、アートの話題が続きますが、「フランシス・ベーコン展」見てまいりました。
いや、素晴らしかった!
まさに脱帽です。
フランシス・ベーコンといえば、わたしたちの時代、学生時代はまさにマイ・アイドル。ポスターには「ピカソと並ぶ」とありますが、わたしの学生時代はまだ第一線でバリバリ活躍していましたから、もっと身近でいながら、畏敬をもって見上げる存在でありました。
そんなベーコンの存命している時の回顧展が行われたのは、何と30年前に同じ近代美術館で開催されたのですね。
年がバレますが、見に行きましたです。はい♪
その時には、もっとドロドロした情念のようなものを感じたのですが、30年経過した今、ベーコンの作品を目にすると、意外に洗練されスッキリしているなあという印象でした。
これは、ベーコンがもともとインテリア・デザイナー出身ということもあるのでしょう。作品を引き算することを、よく心得た作家だと感じました。
興味深かったのが、フランシス・ベーコンは作品を額装する際、ガラスを入れることを好んだということです。
通常、絵を売る場合は作品の保護のために、ガラスかアクリルを入れることをしますが、美術館で展覧会をする場合は、販促目的ではないので、ガラスはジャマになります。
実際にベーコンの大きな作品、それも背景が黒い絵を見ると、まるで鏡のように自分を含めた目の前に立っている人たちの姿が映ります。
作品とギャラリーとの間に壁ができるわけですが、それこそがベーコンが望んだことなんだそうです。
絵の前に自分の姿が映り込んでいるのは、何とも不思議な感じ。
作品と自分の間に壁ができる、というよりは作品に自分の姿が取り込まれたような奇妙な感覚におそわれました。
ポスターの絵は、ベーコンの恋人を描いたものだそうで、ええっとタイトルを見ると「ジョージ・ダイアの肖像」。
ジョージ?
ああ、美術館の解説には何も書いてないけど、ベーコン先生、ホモセクシャルだったのね。それは前回の展覧会では気づかなかったなあ。
フランシス・ベーコンはアイルランドの出身だといいますが、聖パトリックを尊崇するアイルランド国教がホモセクシャルに寛容とは、とても思えません。
ロンドンを拠点に活躍していたというのも、都会はそういったことに寛容(というか無関心)ということもあるのでしょう。
たしかに裸婦など女性の肖像より、男性を描いた作品の方が生き生きしていたのも興味深いところです。
土方巽(ひじかた たつみ)など、さまざまな舞踏家がベーコンのオマージュを踊っている映像が流れているのも印象的。
平日の昼とあって、美大生らしき若者の姿が多く見られました。
一見の価値アリです。一度ぜひご覧あれ!