こちらの作品「浮舟」は何度も描きかえて完成した作品です。
発表したのは20年ほど前になりましょうか。
「ユングの部屋」にある作品は一様にそうなのですが、発表した当初は「ワケがわからん」「何じゃ、これは」と言われたものです。
それが不思議なもので、最近は絵をあまり見ない人たちにもすんなり受け入れられるようになりました。
制作のはじめの段階では、ガンジス川をイメージした大河を描いていたように記憶しています。
↓ この写真で確認できるかわかりませんが、もともと廊下と畳の部分は川でして、廊下の部分には川の流れの筆跡が残っています。
舟の上の女性は源氏物語の宇治十帖に登場する、浮舟と薫大将。
絵と直接の関係はありませんが、面積の割に、一番目を惹くポイントに配置しました。
20年経過し、しかも引っ越しの時にキャンバスから外し、丸めて保存していたので、何箇所か剥落していたため、展覧会用に自分で修復(描きかえ)し、加筆しました。
サインは書家の母と開催した展覧会をきっかけに、すべて日本画のサインと同じ、日本語と落款を押印することにしました(小品はものによって、落款風の朱で手描き)。
これだけで作品の雰囲気がガラリと変わります。