ルーヴル美術館展〜ヨーロッパ王様はサッカー選手のファンタジスタ?

先週の日曜日、六本木の新国立美術館で開催中の「ルーヴル美術館展」に行ってきました。

何度となくわが国で繰り返し開催されるルーヴル美術館展ですが、いつも思うことが、その度にほとんどの作品が現地で見たという記憶がないものがほとんどということでしょうか(笑)。

手前味噌になりますが、私も拙著「堪能ルーヴル」の取材で何日にもわたってルーヴル美術館をくまなく見た方ですが、いかんせん収蔵作品が多すぎることに加え、大半の作品がバックヤードに眠っているので、記憶がない作品が多いというのは至極当然のことかもしれません。

逆に言えば、日本にいながら巨大すぎるルーヴルの至宝をピックアップしてくれる展覧会は有り難いと言えましょう。

そんな中、本展は肖像画に焦点を当てた展覧会になっており、ポートレート画の面白さを余すところなく見ることができるものです。

肖像画の面白さのひとつに、実際の歴史上の人物を目の当たりに出来ることがあります。本展で言えば、目玉にもなっているナポレオンの肖像。それにルイ十四世、フランソワ一世、それからアレクサンドロス大王といった、歴史上のスター軍団が勢ぞろいしているのが楽しいところです。

アレクサンドロス大王(BC356〜BC323)……英語表記ではアレキサンダー大王、正しくはアレクサンドロス三世は若干20歳でマケドニア王に即位。ペルシャ帝国を撃破し、インドからエジプトという広範囲に一大帝国を築いた希代の英雄です。

展覧会の案内によれば、大王は自分の肖像を3人の彫刻家にしか許さなかったと言います。本展の彫刻はどうやらその1人による、ご本人を目の当たりにした貴重な一点です。

本展のアレクサンドロス大王の肖像彫刻こちら

面長なようで、横のボリュームもあるこの顔。
どこかで見たような……そうだ! 元ブラジル代表、元日本代表監督のジーコ氏にどことなく似た骨格です(本物の彫刻を見るともっと似てますよ)。

現在、W杯開催中ということもあって、勝手にそう見えるだけかもしれませんが、ヨーロッパの王様の顔の中には、国家を代表して戦っているサッカー選手を彷彿させる顔が多々見られました。

2mを超える長身だったというフランソワ一世は、ゴールキーパーにいそうな風貌ですし、本展の目玉になっているナポレオンはまさしく、破壊力抜群のファンタジスタといった感じでした。

ナポレオンに関して言えばデスマスクも展示されているので、肖像画と比べてどんな感じだったかも見ることが出来るのが楽しい♪
グロが20歳の時に描いた「アレコル橋を渡るボナパルト」 に比べ、後年のぽっちゃりしたナポレオンを比較して見るのも面白いです。

印象的だったのは、クレオパトラの娘クレオパトラ二世の顔の怖いこと!

まさしく「怖い絵展」のはるか上を行くコワさです。
wikiを見ても、この方がどんな生涯を送ったかはわかりませんでしたが、きっと苛烈な生涯だったんでしょう。

対照的に穏やかなのが、下写真の一番左下。
アングルが描いた肖像画。この方は31歳で惜しまれつつ亡くなったそうですが、この肖像画を見ながら皆、胡人を偲んだことでしょう。

ルーヴル美術館展は9月3日まで。まだ余裕ですので、興味おありの方は今のうちに足をお運びくださいませ。

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