昨日の日曜日は、サントリー美術館ではじまったばかりの『没後120年 エミール・ガレ〜憧憬のパリ』展に行ってきました。
サントリー美術館でガレの展覧会が開催されるのは、およそ9年ぶり。その時は生誕170年を記念して開催されたものですが、今回の展覧会は没後120年の節目に企画されたものなんですね。
サントリー美術館にとって、ガレは重要なコレクションであることを伺わせてくれました。
前回の企画はこちら。
グロかった エミール・ガレ展!
タイトルにもあるように、この時の展示作品はアプリカッションと呼ばれる、立体的な装飾をほどこす技法が多かったのか、生々しい作品が多かったのですが、今回の展示は真反対のものでした。
前回のものはオルセー美術館に収蔵されていたものが中心だったようで、フランス人の趣味の違いみたいなものがあったのでしょうか。
ガレは当時のアーチストの例にもれずジャポニズムの影響を大きく受けていましたが、その消化の仕方も洒脱そのもの。
▼こちらは若冲の落ちていくムクドリを思わせる、落ちていくトンボ!
日本趣味が高じて作った指物もあったのにびっくり!
器用な人だったんですね〜。
今回の展覧会はパリ万博など、19世紀から20世紀にかけての世相も反映して展示がなされていたのが面白いところです。
ユダヤ人差別から冤罪をかけられる、あのドレフィス事件が取り上げているのも興味ふかいところ。
ドレフィス事件はマルセル・プルーストが『失われた時を求めて』の中で、随所に取り上げている当時の一大事件ですが、ガレはプルーストやゾラなど、ドレフィスを擁護する作家たちとも親交があったようです。
そのため、地元ナンシーの反ユダヤの人たちから反発されていたそうです。地元の名士だと思っていた人が、意外にお膝元で反発されるのは人の世の常ですね。
ドレフィス事件は、その後のイスラエル建国の機運にも影響を与えたそうですから、芸術との不思議な関係に頷くことしきりでした。
はじまったばかりのガレ展ですが、けっこうな人が見にきていました。
これは後半混みそう!
素晴らしい展覧会なので、ぜひ足をお運びすることをお勧めします。