木場にある、東京都現代美術館で開催中の『デイヴィット・ホックニー展』を見てきました。箱物を絵に描いたようなミュージアムですが、実に素晴らしい展覧会でした。
私は展覧会を見るまで、ホックニーをアメリカ人だと思っていたのですが、北イングランド出身のイギリス人だったのに少々びっくり。
現在80代のホックニーですが、1964年からカルフォルニアに移住したそうで、その時期の作品がイメージにあって、そのように思い込んでいたようです。
個人的な感想ですが、ホックニーの作品スタイルを一言でいうば「これでいいのだ」だと思いました。
アーチストには徹底的に作品の完成度を追求する完璧主義者も多いのですが、ホックニーはそうでもありません。
もちろん初期の肖像画には12回、顔を描き直したという作品もあるので、どのラインまでを完璧主義者というのかは見方によって変わってきますが、ともあれ筆を置くタイミングが絶妙な画家だと思いました。
デジタルが大好きで、iPadで描いた絵をプリントアウトした絵巻物は最高!
とてもブログでは紹介しきれないので、興味のある方はぜひ展覧会に足をお運びくださいませ。
絵を描き重ねる動画もあって興味津々です。
ピカソの言葉に「一枚の絵が出来上がる過程をすべて見ることができたら、どんなに面白いだろう」ということを実現しているのですね。
ピカソに傾倒していたホックニーが、この言葉を実践しようとしたのかはわかりませんが、今はそんなことが可能な時代になったのですね。
印刷の世界には「出なり」という言葉がありますが、これは「特別な調整をしなくてもいいよ、出たままの色でオッケー」という意味ですが、ホックニーのデジタル作品はそんな感じかな。
いわばバカボンのパパではありませんが、「これでいいのだ」と言うことでしょうか。キャンバス80枚をつなぎあわた、横10数mはあろうかという圧倒的な大作が、実に軽やかなのも素晴らしい。
作品も本人も、実にお洒落なおじいちゃんなデイヴィッド・ホックニー。
「これでいいのだ」が、実に心地良い展覧会でした。
デイヴィッド・ホックニー展は11月5日(日)まで。 ぜひ足をお運びくださいませ!