昨日は猛暑の銀座で、花風社の浅見社長とランチミーティングでした。新刊の打ち合わせも含め、サイクリングの話や家庭の話などで楽しいひとときでした。
さて、新刊に向けて勧められて読んだのがこの本、三木成夫の『生命とリズム』でした。三木成夫先生は養老孟司氏の師にあたる方で、62歳で亡くなったため、生前の著書は2冊だったものの、死後に評価されてきた人だったそうです。
この本の肝のひとつは、生命の進化数十億年が、胎児の成長の中に凝縮されているということですね。
人間がまだ他の生き物だった時代に遡り、魚類から陸に上がり爬虫類となり、哺乳類となり、そこから人間の姿に変貌していくという、まことに壮大でドラマチックな世界を垣間見せてくれます。
▼こちらが拙著「神様のレッスン」の冒頭部、なにやら共通した世界を感じます。
浅見社長とは、人間が魚だった時代から引き継いで、エラはヒトのどの部位に変わっていったのか(正解は後日!)…などという話を聞きながら、「進化の過程を絵にするとなると、これはムズカシイ仕事になるぞ」と、ちょっとワクワクしてきた次第です。
三木先生は弟子の養老先生がそうであるように、現在は解剖学者としてより、ひとつの思想家として評価されているそうです。
そのひとつの理由としては、「イッキ飲み」や「朝寝坊」「ツボ」「お喋り」といった瑣末な現象も、宇宙の創生にたちかえって分析することでしょうか。
これを追求した先人の一人として、かのゲーテがいるわけですが、彼の『ファウスト・第二部』などが何度か引用されていたのが印象的でした。
個人的には三木先生のカタカナを使った文体が、夢野久作の文体に重なると感じました。
夢野久作の代表作『ドグラ・マグラ』は「天下の奇書」として名高い作品ですが、実は胎児の中に生命の進化が凝縮されていることをうたった、ユング的世界を再現した書物です。この期に、三木先生の『内臓とこころ』を読み、夢野久作の『ドグラ・マグラ』を再読しようと思ってます。
ともあれ花風社さんの新刊、かつてない凄い本ができるでしょう。
みなさまお楽しみにお待ちくださいませ!