日曜は赤坂アカデミーの校舎見学をした流れで、サントリー美術館の「歌枕」に行って来ました。
「歌枕」。
わかったようで、わからない言葉ですが、「古来、和歌に読み継がれてきた日本の名所、心の風景」のことを言うそうです。
みなさん、「歌枕」の意味をご存知でしたか?
私は恥ずかしながら、今回初めて知りました。
今のように気軽に旅ができたり、写真や動画を好きなように見られる時代と違い、かつての日本の名所は目に見える実際の風景よりも、和歌のイメージによって伝えられたものだったそうです。
▲過去からやってくる「恐れ」、未来からやってくる「不安」。
そこから脱却する知恵がこの本には詰まっています▲
いわば脳内に描かれた日本の名所と言うべきでしょうか。
天橋立、宇治、富士、石山寺など、古来より画題として描かれた場所が数多く展示されているのですが、脳内で描かれた場所なので、実際には行ってないだろうという感じでした。
その土地のリアリティを描くのではなく、和歌を通じた土地への憧れとでも申しましょうか。
ところでサントリー美術館の案内には、こんなことが書かれています。
こうして言わば日本人の心の風景となった歌枕は、その後美術とも深い関わりをもって展開します。実景以上に歌枕の詩的なイメージで描かれてきた名所絵や、歌枕の意匠で飾られたさまざまな工芸品などからは、歌枕が日本美術の内容を実に豊かにしてきたものである事に気づかされます。
しかし、和歌や古典が生活の中に根付いていない現代を生きる私たちにとって、歌枕はもはや共感することが難しいのではないでしょうか。この展覧会では、かつては誰もが思い浮かべることのできた日本人の心の風景、歌枕の世界をご紹介し、日本美術に込められたさまざまな思いを再び皆さまと共有することを試みます。
うーむ。
歌枕は共感することが難しいと、自らが書くとは悲観的な感じもしますが、たしかに私自身もこの言葉の意味を知らなかったし…ともかくもひとつの試みとして企画したのでしょうね。
この展覧会を見ても馴染みのある和歌というのは、私にとっては百人一首くらいのもので、古今和歌集も西行法師もあまりよく知りません。
「ちはやぶる神代も聞かず竜田川 からくれなゐに水くくるとは」
落語でおなじみのこの歌は「龍田川」を通じていくつも展示されていていますが、一番好きなのは、尾形乾山のお皿。
個人的には絵より工芸品に惹かれた展覧会でした。