正月二日目は、サントリー美術館の年間会員が二人まで入れて、年間6000円で見放題と聞き、早速入会して「聖徳太子 日出づる処の天子」展を見て参りました。
サントリー美術館の企画にハズレなし、というのが私の持論ですが、この展覧会も実に素晴らしいコレクションの連続でした。
聖徳太子の展覧会は、「聖徳太子と法隆寺」として夏にもトーハクで行われましたが、こちらは太子が生きた白鳳時代、飛鳥時代のものが多く展示されていたのに対して、今回のサントリー美術館のものは、鎌倉から昭和にかけての作品がほとんどでした。
それはどういうことかと言えば、聖徳太子が生きた時代は西暦574〜622年。
一方で鎌倉時代は1185年〜1333年ですから、600年から700年の隔たりがあります。
600年から700年という期間というのは、ちょうど鎌倉時代のはじまり(1185年)から明治維新(1868年)にあたります。現代の令和の時代から見ると、鎌倉末期から室町時代に至る昔が700年前です。
つまり鎌倉時代の人たちから見ても、聖徳太子というのは大昔の人だったわけで、それだけに神格化された存在と言えるでしょう。
神格化された太子の生涯を描いた屏風がいくつも並んでいて、富士山まで飛んでいったとか、太子の前世とか、透視ができたなど、太子の起こした奇跡が、これでもかとてんこ盛りに描かれています。
そんな意味では、聖徳太子ファンタジー展と言えるかもしれません。
もちろん良い意味で、です。
それはもう「見たんか?」と言いたくなるほどで、なるほど「聖徳太子は存在しなかった」説が出てきても不思議ないかもしれませんね。
そんな意味で、山岸涼子先生の「日出処の天子」の原画も、同格に並べられていたのですが、その絵の素晴らしいこと!
実際の聖徳太子を知らずに描いたという点では、鎌倉時代の屏風も、昭和時代のマンガも同じですが、この展覧会…私にとっては、この原画がベストだったなあ。
「聖徳太子 日出づる処の天子」は10日まで。
まだ見ぬ方はお急ぎを!