3日連続で「星の王子さま」ですが、ご興味ある方だけお付き合いを。
今更ながら、翻訳の違いでエラく違うことがわかり、いったい原文はどうなっているんだろうと、ぐぐって見たところ「100分de名著」の中でフランス語の先生が、解説していると知りました。
フランス語はまったくわからないのですが、この本の中では「apprivoiser(アプリポワゼ)」という単語が重要で、「飼いならす」「馴染みになる」「絆を作る」といった意味があるのだとか。
早速、昨日4回に分かれた100分de名著「星の王子さま」を通して見てみました。
ふーむ。
結論から言わせてもらうと、参考にはなったけど、なんだか原作者に失礼な感じがしました。
つまり、番組の作り手が「結論」や「答え」を用意していて、それに合わせて番組を作っていた感じがしました。例えて言うなら、国語の試験に出てくるような「作者は何を言いたかったのか?」に対して、「正解」を用意しているようなものでしょうか。
「星の王子さま」くらいの作品では、どのフレーズについて、ひとつの正解で語られるものではありません。
「星の王子さま」を語っているのに、番組の作り手が “数字を聞くと納得する大人”と同じになっているではありませんか。
以下、本文からの引用(倉橋由美子訳)
私がこんな風にB-612の星の話をして、番号にこだわるのは、実は大人のためなのだ。大人は数字が好きだ。新しくできた友人のことを話すとき、大人はほんとに大切なことを訊かない。「どんな声の人?」「一番好きな遊びは何?」「蝶のコレクションをする人?」などとは絶対に訊かない。「その人はいくつ?」「兄弟は何人?」「体重は?」「お父さんの収入は?」などと訊く。それでどんな人かわかったつもりになる。
「赤レンガでできていて、窓のゼラニウムの鉢がおいてあって、屋根には鳩がいる、きれいな家を見たよ……」といったって、大人は何も想像できない。大人には 「十万フランもする家を見たよ」といわなければならない。そしたら大人は大声をあげて、「なんて立派な家だ」という。
こうした番組に限らず、メディアの取材というのは、自分の期待する答えに合わせたことが多いのですが、それと同じものを感じて少々失望した次第です。
「テグジュペリは何を言いたかったのか」と言いながら、「十万フランもする家を見たよ」みたいな、著者の意図勝手にを作ってしまう、番組の作りは感心しないなあ。
正解を一言で済ませるのは簡単ですが、まずは原作に目を通すのが必要かな。
▼こちらは大学時代の友人、イラストレーターのご主人、中里研さんの作品。
15年ほど前に鎌倉の画廊で購入したものですが、昨日はじめて「わがままなバラ」だったことに気づきました(笑)。