極右の画家ミュシャは日本アニメの祖だった?

話題のミュシャ展(チェコ発音はムハ)、見てきました。

巨大すぎて本国チェコでも展示できないという、「スラブ叙事詩」全20点が一堂に会す、日本でないとあり得ない企画が、六本木の新国立美術館で開催されています。

この日は草間彌生展も開催されてるとあって、平日の水曜日だというのにチケット売り場だけで長蛇の列でした。

どんなに並ぶのかドキドキしながら会場に入りましたが、作品が大き過ぎて距離を取らないと見られないため、会場は満員ながら余裕で見ることができる嬉しい状態。

↓ 撮影OKのエリアから撮ったPhotoはこんなカンジ♪

ミュシャといえば、アールヌーボーの旗手としてパリで活躍し、サラ・ベルナールなどの演劇のポスターで知られる画家です。
商業的にパリで大成功し、五十路を過ぎて本国チェコに戻ってから描きはじめたのが、この「スラブ叙事詩」シリーズ20巻というわけですね。

記事のタイトルに「極右の画家」と書きましたが、これは耽美的なミュシャのイメージとはホド遠い言葉。でも、実際にこの人が描きたかった絵はこの「スラブ叙事詩」なのでしょう(極右ではなく、正しくは民族主義とでも言いましょうか)。
パリで成功したムハですが、 長く外国に住んでいたからこそ、祖国愛というのがここまで育まれたのだと思います。

小国の運命と言いますか、ポーランドでもスイスでもヨーロッパの小さな国というのは、大抵が蹂躙された歴史をもっています。チェコもその例にもれず、数々の外国からの侵略に遭ってきたようですが、一点一点に書かれてるチェコの歴史を読むと・・・全然知らない(汗)。

スラブ民族の歴史に詳しい日本人がどれだけいるかわかりませんが、ムハの名声のなす力か、会場は超満員。そして、立ち並ぶ大作群の迫力たるや、わからないにも納得しながら見るほかありません。

迫力満点の大作ですが、イラストレーターの経歴が長かったためか、ものすごく上手いのですが、意外にタッチが軽いのが特徴で、「レイダース」や「スターウォーズ」シリーズに似たハリウッド映画の一幕を見ているような感覚を覚えました。

ナポレオンがプロパガンダのために、ジャック・ルイ・ダヴィッドやアントワーヌ=ジャン・グロに描かせた絵も、多分に映画的要素を持っていましたが、それに近い感じとでも言いましょうか。

もちろん「スラブ叙事詩」シリーズは、日本初公開ですが、その昔「明星」などの雑誌では、ミュシャのポスターを真似た表紙などが使われていそうです。
絵のタッチなどを見ても、日本アニメのルーツではないかと思われるフシが、そこかしこにあって興味津々。

それを証明するかのように普段美術館などにいない、おたくっぽい若い女子たちが大勢いて、熱心にその筆さばきを見ていました。

ミュシャはポスターも含めて、そんなに好きな画家ではないのですが、この「スラブ叙事詩」は一見の価値ありですね。

意外と軽い、なんて言いましたが、家に帰ってからいい知れぬ疲労感を覚え、そのままベッドの上で1時間ほど爆睡。
スラブ民族の死屍累々たる歴史が込められたパワーに圧倒されたのでしょうか。

どの絵も戦闘シーンや死者たちが満載なのに、ムハという画家は汚く描くことができないのでしょうね。


”アルフォンス・ミュシャ”といえば、世紀末はアールヌーボー時代のポスターが有名ですが、この展覧会をきっかけに「スラブ叙事詩」の画家”ムハ”として知られるようになるかもしれません。

本国チェコでは、この絵が展示できる会場を建ててるということで、実際に現地で見たらまた本物の雰囲気が味わえるに違いありません。観光の目玉として、日本をターゲットにしてる感、満載でした。

見終わったあとは、スメタナの「モルダウ」が頭の中をグルグルまわり、まさに「スラブ叙事詩」堪能の展覧会でした♪

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