白鵬・うさぎ・ゴルゴ13

昨日はジムのルームランナーで大相撲観戦。
稀勢の里が鶴竜を押し出した相撲に声を上げ、まわりのヒンシュクを買いましたが、つづく白鵬vs日馬富士の相撲で、わたくしの今場所は終わりました。

きせが良い相撲取ってくれればそれで良いと思ってましたが、決定戦が見られなかったのは、やっぱり口惜しいなあ。
返す返すも十二日目の稀勢の里vs白鵬の相撲が惜しまれるよなあ・・・

と、思った次の瞬間・・・ゴルゴ13の有名なセリフが脳裏をよぎりました。

「 利き腕を相手にあずけるほど俺は自信家じゃない。
 俺がこの世界で今まで生きて来られたのは、兎のように臆病だからだ」

白鵬の相撲の本質。
それはゴルゴ13のそのセリフにあるような気がしました。

それは十二日目のきせ戦にあるような、肝心な時に勝負を避ける臆病さ、ちきんぶりにあるのだと思いましたし、その強さはそこにあるのだと思いました。
(たしかこのことは『白鵬のメンタル』とかいう本にもあるそうですが、未読です)

このブログの読者はおわかりの方が多いと思うのですが、これはほめてるんじゃありません。

ゴルゴ13はテロリストなので手段を選びません。
あくまで任務の遂行がプライオリティで、任務の成功率が99.8%(だっけ?)という数字も、その信頼を勝ち得る裏付けになっている。

ですが、大相撲はそうじゃありません。
大相撲は神事であり、興行であり、その上での格闘技なのです。

ゴルゴの生きる殺し合いの世界なら、手段がどんなに卑怯であっても許されるだろうし、またそうでないと任務は遂行できません。

しかし、大相撲は殺し合いではありません。

また柔道や剣道、レスリングなどにしても、「はじめ!」という一斉の合図ではじまるのではなく、「立ち合い」という互いの呼吸を合わせてはじめる、極めて特殊な格闘技ですが、この立ち合いには相手に対する尊敬の念というものが含まれています。

立ち合いに関して、詳しくはこちら甚之介さんのブログをお読みくださいませ。

しつこいようですが、今場所の大一番、稀勢の里vs白鵬の相撲、横綱にそれがあったでしょうか。
もちろん格闘技なので、相手がどんなに卑怯で汚い手を使おうと、負けた方、ひっかかった方がいけないのです。まんまとあの駆け引きに引っかかった稀勢の里に、その責があるでしょう。

でも、横綱と大関が優勝を占う、あの大一番であれはねえ。

白鵬が星を落とした豪栄道の一番は、翌日の稀勢の里の一番を意識するあまりの相撲だったと思います。
あれで星を落とさなければ、翌日のキセ戦も、もっとまともな相撲を取っていたかもしれませんが、あの敗戦で白鵬は立ち合いの駆け引きをする決心をしたのでしょう。

稀勢の里に勝った翌日、横綱は得意満面だったといいますが、もしかしたら一番気がついているのは自分自身かもしれませんね。

でなきゃ、あんな汗かいたりしないもんね。

困ったことに、あの駆け引き相撲を、マスコミが「白鵬完勝」と報道する・・・それはフシ穴だから仕方ないけど、わかっているはずの相撲界の誰もが言い出さないことでしょうね。

まあ力士は格闘家だから、「負けるヤツがわるい」という頭があるのでしょうが、立ち合いの本質があ「相手を尊敬する」意味があることも忘れないでいただきたい。

あと、今場所はマゲ反則の相撲が目立ちましたけど、あれは勝昭さんの言うように「取り直し」にした方が良いのではないかと思いました。
ルールだからと杓子定規に言って、相撲をつまらなくしては興行として成り立ちませんしねえ。

ともあれ、千秋楽のきせ関は自分のすべき仕事をしました。

少しづつですが前に進んできてますね。
稀勢の里クラスタ、みんなガマン強いですから、来場所もしっかり応援したいと思います。

来月は、あまり見たくないけど見てしまうW杯がありますね。
落ち着かない2014年中盤、まだまだ続きます。

女子サッカー、アジアカップ優勝おめでとうございます!
これで弾みがつくと良いんだけどなあ。

 

白鵬・うさぎ・ゴルゴ13” への2件のコメント

  1. 一日遅れですがコメントを、、、。
    12日目の拙ブログの記事、来訪数もいつもより多いのですが、検索キーワードが「立ち合い 変」とか「立ち合い 横綱」とかで訪れる人が結構いました。
    「稀勢の里 立ち合い」「白鵬 稀勢の里 たちあい」ももちろんいました。
    テレビや新聞の報道で変だなあって思ってる人多いんじゃないかなと…。
    私は解説や報道がこんなに「白鵬より」でなければ、ここまでむかっ腹たたないだろうし、白鵬きらいにならずに済んでるかもなあと思ったりしたのでした。

    でも、サンデースポーツを(私は動画を探して昨日)見たのですが、デーモン閣下が優勝力士インタビューで白鵬に12日目の立ち合いについて突っ込み入れてまして、「合わせようとした結果ああなった」みたいなこと言ってるだけでなく「自分の立ち合いに合わせてくれない」とか言ってて再噴火。なんで対戦相手が横綱の呼吸に合わせなあかんの?!

    ってなわけで、そこにいたのはやっぱり嫌いな「へいせいの大横綱」でした。

  2. じゅんじゅんさん、こんにちは!

    この記事でも書きましたが、もちろん「食らう人間がいちばんわるい」のです。格闘技ですから、反則技であっても「やはり食らう人間がわるかろう」ということですね。

    昔、柔道の斉藤仁さんが韓国の選手に反則技で腕を折られた時(反則勝ちだったけど、決勝に進めなかった)、柔道関係者は「あの技は完全に反則だったが、「やはり格闘技なんだから食らってはいかんだろう」ということで落ち着きました。

    それに比べて、白鵬の立ち合いは反則でも何でもない、相撲の範囲で許された駆け引きですが、それ差し引いても彼のあの相撲は「卑怯」というに十分だったでしょう。
    その理由は拙ブログでも書いた通りで、じゅんじゅんさんもおっしゃっているのとまったく同じです。

    >私は解説や報道がこんなに「白鵬より」でなければ、
    >ここまでむかっ腹たたないだろうし

    まさしく白鵬側を一方的にアゲる報道ですね。
    あれを相手の力を封じる技量として良いものか。

    デーモン閣下もどこをどう見て言っているのか。わかって言っているような気もしないではありません。
    ただ、じゅんじゅんさんや私のように、一般の相撲ファンで声を上げる人は多いようですね。

    もしかしたら白鵬の耳にそれが届いているのかもしれません。
    ホントはズルして勝って、しかも相手のせいにしてることは、横綱自身が一番知っていること。
    得意満面になっていたというのは、だからこそそれを隠すアピールだったかもしれません。

    でも白鵬の相撲はもう変わらんだろうな。
    次回、稀勢の里がガチンコで白鵬を撃破するところを楽しみにしています

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