サントリー美術館〜IMARI/伊万里展

IMARI/伊万里 ヨーロッパの宮殿を飾った日本磁器

連日のアート記事攻勢ですが、本日はサントリー美術館で来週16日まで開催されている伊万里展です。

伊万里というのは、佐賀県の有田一帯において発展した日本最初の磁器の産地。
秀吉が連れてきた朝鮮の陶工の技術をベースに、中国の景徳鎮窯を参考に発展したもので、17〜18世紀において、西洋で人気を博し数多く輸出されていきました。

伊万里というのは、その輸出された港の名がこの一帯の磁器の総称になったというわけです。

今回の展覧会は、文字通りその西洋に輸出されたものを集めたもの。あちらの人たちの趣味に合わせて、ややデコラティブに作られたものが並びます。

こちらはミッドタウン地下のベトナム料理「フォー・ナム」のランチセットです。

余談ながら「鎖国」というのは、明治時代以降に呼ばれるようになった言葉で、江戸時代は鎖国という制度を特に布いていたわけではないそうですね。

「寛永十年の例」とか「寛永十六年の令」といった、渡航禁止令のたぐいはあったそうですが、特に国を閉ざす政策はしてなかったとか。ただ、幕府の許可なく海外と貿易や取り引きをすることは禁じられていたようです。

西尾幹二先生のベストセラー「国民の歴史」によれば、特に鎖国ということが呼ばれるようになったのは、昭和の敗戦後になったからとのこと。敗戦の理由を江戸時代の鎖国のせいにする動きの一環だったとのことです(それは納得、腑に落ちます)。

そんな意味で、伊万里焼の輸出というのは日本の大切な財源だったようで、景徳鎮など、西洋で同じように人気のあった磁器との競争でかなりのバリエーションが作られたのですね。

こちらは以前、繊研新聞に掲載した記事にも書いたことですが、日本・朝鮮・中国という陶磁器東アジア御三家では、一番繊細で完成度の高いのが中国、次が朝鮮、いちばん作りが甘く大ざっぱなのが日本のものであります。

ひとえにこと磁器に関しては日本が一番後発隊ということもありますが、海外の技術をオリジナル以上に完璧なものに仕上げるのは日本のお家芸。

それをあえてしなかたのか、磁器に関しては技術が及ばなかったのかはわかりませんが、この伊万里展でも、口が曲がっていたり、蓋がきちんと閉まっていないとか、どう見ても作りの甘い仕事がけっこうありました。

芸術面で言えば、必ずしもそれがマイナスになることではありませんが、それにしても堂々と口が曲がっている作品がけっこうあったのは、ひとつには商品として売れたということもあったでしょう。

また、買う方の西洋人貴族や豪商たちも、そのことを気にしなかったのか不問にしたのか。

ある意味、大らかさも見られる伊万里展でした。

出たあとに見た、ミュージアムショップには現代作家の陶磁器が並べられていて、もちろん口が曲がっているような品は1点もありませんでしたが、やっぱり展示されてる品とは失礼ながら比較にならないなあ。

陶磁器の目利きになるには絶好の展覧会かもしれません。

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