100分 de 名著~「マキャベリの君主論」


昨日、BSをつけたら「100分 de 名著」をやっていて、お題はマキャベリの「君主論」でした。

昨日見たのは第1回で、マキャベリの有名な言葉として、

「愛される君主と恐れられる君主を比較するならば、
 愛されるより恐れられるほうがはるかに安全である」

が取り上げられていました。
(徹底した現実論ですね)。

この言葉ひとつとってみても、
あまりわが国のメディアと相性の良さそうな書物ではないのですが、
この番組では、ニーチェの「ツァラトウストラ」を取り上げたり、
(超人思想と言う、戦後民主主義とは明らかに背反する書物)
NHKは時々こういう番組を作りますね。

ただ、ちょっと驚いたのは司会の堀尾キャスターが、番組の最後の方で、
「つまりマキャベリは自分自身のことよりも、国家のためになることを選んだのですね」
と、感心したことでしょうか。

君主論の著者が、自分を含めた個人より国家を選ぶのは当たり前の話です。
別に感心するようなことではありません。

堀尾さんはNHKのキャスター出身としてやってきた人であり、
メディアのトップランナーとすると、”最初に個人ありき”の思考回路があるのでしょう。
これは当然の言葉かもしれません。
(かくいう私も会社員時代には、
 当時の社長が口にした「滅私暴行」という言葉に大いに反発した人間です)。

マキャベリの「君主論」は、徹底した現実論に思いますが、
現実論を見ないで通ろうというのは、戦後民主主義の弱点にも思えます。

昨日取り上げた、ケビン・メア氏の「決断できない日本」にしても、
沖縄問題というのは、騒音や米兵の少女強姦など許されざる問題点も多い一方で、
日米という国家全体を考えると、中国や北朝鮮への抑止として必要不可欠です。

しかしながら、メア氏を追いつめた平和主義の人たちや、一部の左翼系の人たちは
「北朝鮮や中国が攻めてくることなんて、あり得ない」というところから話を出発しています。
これでは話が噛み合うはずはないのだけど、
「君主論」に書かれていることは、「攻めてくることなんてあり得ない、なんてあり得ない」
といったことを出発点にした良い教訓の書です。

それにしても、語るに落ちたというと失礼ですが、
メディアがなぜ偏向報道をするのか、少しわかったような気がします。
故意に記事を流す場合もあるだろうけど、無意識にやってることも多いのね。

写真は先日の法事で撮った吉祥寺内の塔頭。
先の震災で倒れたままになっているものが多く見られました。

100分 de 名著~「マキャベリの君主論」” への7件のコメント

  1. 真実単純、事実複雑
    >故意に記事を流す場合もあるだろうけど、無意識にやってることも多いのね。

    これは洗脳の結果です。
    親がゴキブリを見て恐怖すれば、子は自然に刷り込まれます。
    敵、事実現実の敵は沢山(複雑)居てよく分かりませんが、
    敵はアクドク日本人を洗脳しています。

    個人とか個性とか言いますが、個心でしょう、
    と言ったのは養老先生です。
    そのレベルが下がった、故意に下げられたのが今の日本です。
    アクドク洗脳されて。

    >、”最初に個人ありき”の思考回路があるのでしょう。

    多分、無人島では成り立たない能書きです。

    すべからく、みんなで、もっと悩みましょう。
    本当の本物の本格の自己中心主義者に成られますように。

  2. 失礼しました
    >>多分、無人島では成り立たない能書きです。

    厭な言い回しです、ごめんなさい。

  3. Welcome back again
    お頭さん、おはようございます!

    いや~、しばらくお見えにならないので、どうしたかと思いました。
    お出かけでしたでしょうか。
    お戻り歓迎いたします。

    >多分、無人島では成り立たない能書きです。

    うーむ。
    歓迎と言いつつ、このあたりって、いまいち意味がよくわからないのですが、
    厭な言い回しって注釈を入れてるところを見ると、
    文中にある「本当の本物の本格の自己中心主義者に成られますように」を強調した意味でしょうか。

    また、無人島は今の世の中ではあり得ないシチュエーション。
    真意のほどを伺えれば幸いです。

    お頭さん節健在で嬉しいですが、時々意味がわからないので、よろしくご教示のほどを。

  4. エラソーでスイマセン
    >「来る日も来る日もこれが人生最後の日と思って生きるとしよう」

    それには、自己中心に成って見ると、
    お互い様が見えてくるかな、
    そうするってぇと、世間が明るく見直せる、
    ということほどであります。

    >お頭さん節健在で

    とても恐縮です。
    然し、動物は突然死ぬこともあります。
    それは、今年に入り、多面的に感じさせられてます。

    皆様のご健康を祈ります。
    あれっ、弱気かな???

  5. 水戸名物
    お頭さん、おはようございます!

    ああ、なるほど。
    たしかに、まずは自分を中心に考えないと世間は見えませんものね。
    それは水戸名物、納豆食う、納得にございます♪

    でも弱気はいけませんやね。
    それに野生動物は突然死にますが、
    (弱みを見せると食われるからぎりぎりまでガマンするそうです)
    人間はそーはいきません。

    なんて、エンギでもねえ。
    弱気なんてふっとばしちゃえ!

  6. intellectual equality
    日本人が英米人と対等になるには

    我が国が序列判断で万事がとりしきられていた時代には、日本人にそれほどの迷いはなかった。
    だが、戦後は、占領下の社会の混乱とともに、国民の頭の中の混乱も起こった。
    それは、理性判断を要求されるようになったからである。そして、日本人は、判断の切り替えが容易に出来ないでいる。五里霧中である。
    その精神の混乱はまだ続いていて、当分収まりそうにない。

    日本人は、未来の内容が考えられない。日本語に時制がないからである。
    日本人は、未来のことは分からない。それをしいて述べようとすれば、絵空事になる。
    だから、皆は未来に関する発言を信用していない。計画的なことは出来ない。

    英語の脳であれば、現在の世界にある全ての事物は未来構文の中で述べることが出来る。
    だから、未来の世界は、現在の世界のごとく細かに考察することが可能になる。
    そして、聞き手も辻褄の合うその内容を信用できる。

    未来に関する事柄について、信用できない日本人と、信用できる英米人の話し合いは一方的なものにならざるを得ない。
    日本人は、英米人に主導権を握られることを好まない。が、こと未来に関しては仕方がない。

    我が国のインテリにも英語で考える力が必要である。
    国策による英語圏への留学を含めた英語教育の強化が必要である。
    さすれば、国際社会に通用する人間もできる。

    http://www11.ocn.ne.jp/~noga1213/
    http://page.cafe.ocn.ne.jp/profile/terasima/diary/200812

  7. Unknown
    nogaさん、おはようございます!

    言語と思考回路に関するご高説、賜わりました。
    今のところ、私の中でそうかなと思うところと、難解なところがあり、
    きちんと答えられないのが、自分の非力なところであります。

    ともあれコメント、ありがとうございます。

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