海賊とよばれた男、読了しました!

「海賊とよばれた男」読了しました。

単純に面白かった、一気に読んでしまいました。

百田尚樹(ひゃくた・なおき)氏はツイッターでフォローしていて、この人の個人的意見には必ずしも与みできないのですが、 やはり作品は圧倒的に読ませますね。
百田さん。梶原一騎、司馬遼太郎以来の講談師ですわ。

この小説が出光興産の創業者・出光佐三をモデル(小説内では国岡鐵造)にしているなどは、様々なところで述べられてますし、石油に関しては門外漢なので、そのことについては他の記事なり、何より実際に本を手にとって読むのが一番です。

なにしろ出光佐三こと、小説内の国岡鐵造はこんな人物が日本人にいたのかという人物です。

正しいと思ったことは、何があっても邁進する。既存の勢力がかじりついて離さない既得権益とも徹底的に戦うし、戦後のGHQにも一歩も引かない。
今は絶滅したかのような、昔の日本人・・・。

こんな日本人は本当に絶滅したのでしょうか?

いや、そうでもないと思います。

戦後、たしかに日本人は脆弱になりましたが、日本の歴史を眺めていくと、戦の時代と平和な時代とで、勇猛果敢な日本人と花鳥風月を愛でる日本人が交錯してきました。

その中で、この主人公の姿というのは、海賊というよりも、室町後期から戦国時代のいわゆる「野伏せり」の姿が重なりました。

野伏せりとは、普段は百姓をして農耕作業にいそしみながら、いざ戦があると鎧兜を着けて戦場に赴く人たちですね。江戸時代になって士農工商に分けられるまでは、こうした層はけっこう人口として多かったようです。

ちょうど黒澤明の「七人の侍」の菊千代みたいな人が、束にたっていたような感じでしょうか。

これは小説内でも出て来る社訓「士魂商才」にも重なるところがあります(野伏せりは生活のためにやっていたのでしょうが)。

主人公国岡が就職する時に、まわり卒業生が海運会社や商社に就職するのに、この人は神戸で小麦粉と石油を扱う酒井商店に「丁稚」として入店。学友から「お前は気違いだ。学校のつらよごしだ」と非難されたそうですが、このあたりはまさに野伏せりです。

会社でも人使いが荒く、勤労意欲の高い山賊集団みたいな会社は(ブラック企業とは違います。お間違えなきよう)、やりたいことができて、やりがいがあるところが多いようですが、まさにそういうリーダーだったのでしょう。

それにしても満鉄時代、中国人のテロに対して石油会社には警備をつけず、隣りにあった国有地の空き地に警官を配備したという当時の官僚のエピソードがありましたが、このあたりは戦前戦後とまったく変わりがないようです。

とりとめのない文章になってしまいましたが、先の大東亜戦争が石油に終止した戦争だったのを再確認できたこと。パーレビー国王の前のイラン政権の話など、再確認と知らないことがいっぱい書かれてありました。

それにしても、正論には風当たりが強くなるのを地でいったような生涯には頭が下がります。

近いうち出光翁が収集したコレクションが集まる出光美術館、また行ってみるかな。
収集物は大変な目利きですが、出光翁はそのものの本質に切り込む才があったのですね。そういう人が集めたものは、ブランド価値でものを見ないだけ間違いなかったように思えます。

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