エメイ山を従え東方の旅立ちに身支度をするカーリーを讃える祝典序曲
ホームページをリニューアルしてから約1年経ちましたが、おかげさまでけっこうな反響がありました。
いちばん効果があったのは、 わたしが絵描きだということを認識してもらったということで(笑)、それまでツイッターなどではただのダジャレbotで、人間じゃないと思っていた人もいたようです(ウソです)♪
1周年を記念して、というわけではありませんが、昨年末の展覧会でおこなったギャラリートークをブログにて再現しようと思います。
で、今回は上の作品。
作者自身もタイトルを言えないという作品ですが、長いタイトルの作品というのは、たとえば映画「マルキ・ド・サドの演出によるシャラントン精神病院の患者たちによって演じられたジャン・ポール・マラーの迫害と暗殺」みたいに、内容そのまんまというものが多く、これもそのまんまです。
エメイ山というのは架空の山ですが、仙人伝説で有名な中国四川省の峨眉山をモデルにしており、あちらの読み方では 「エメイ」という発音になることでこの名をつけました。
目のついた山の上には峨眉山の山頂にあった建物をモデルにしています(峨眉山山頂は、おそろしいほど観光化されてましたが)。
カーリーはもちろん右に大きく描かれた女性。
血を好む激烈なインドの女神ですが、ここでは少女風に描きました。
お! お寿司が飛んでますな。
わたしの大好きなマグロのヅケです。
マグロ本体も羽が生えてますが、飛んでいます。
どんな意味かって?
絵画は論文じゃないので、すべてを言葉で語ることはできませんが、おおむねを申し上げると、俗世間の 営みも、宇宙の営みの一部だということですね。
かの弘法大師こと空海は、宇宙の真理を知ろうと真言密教を極めましたが、空海が本当に力を入れたことは、満濃池の修繕をしたりと、「民衆に飯を食わせる」俗事に力を入れました。
「飯を食う」「生活費を稼ぐ」ことも、これまた宇宙の営み。
空海が広めた真言密教が、宇宙の真理をきわめようとした 一方で、現世利益(げんぜりやく)を重視したというのは、弘法大師がそのことをよくわかっていたのですね。
さて、おすもうエンジェルは、時にキャラクターだったり、五穀豊穣のシンボルになったりと描かれてる絵によって、その性格は変化します。
この絵に限って言うと、おすもうエンジェルの正体は何と「素粒子」であります。
それはニュートリノさながら、どんな物質も平気でスリ抜ける素粒子です。
彼らはカーリーがエネルギーを放出する時に生まれたもの。
名づけて「おすもう素粒子」!
大気を激しく乱舞します。
エメイ山の上には仏教寺院。
左にはキリスト教の教会。
右にはイスラム建築の黒いタージマハル。
異なる宗教の建物が一枚の絵の中にあるのは、別にみんな仲良くしましょう、ということではありません。どうせ仲良くなんてできないんだから(笑)。
それはこの宇宙の中には、違う宗教が同時に存在してるという意味であります。
同じ町内にはお寺もあるし、教会もあり、最近は外国人のためにモスクもある世の中。町中には、寺も教会もモスクもあるのですから、一枚の絵の中にみんなそれらが描かれていても良いじゃないか、というのがわたしのスタンスです。