色彩談義PART2:DICカラーガイドの成り立ち


先日、色見本帳の話題を取り上げたら、
ツイッターやfacebookを含めて意外な反響があってびっくりしました。

特に自閉っ子やその親御さん関連に色見本帳のファンが多いのにびっくり。
みんなうっとりして色見本帳を眺めているんだそうですね。

DICカラーガイド関連の仕事はあくまで黒子なので、今まであまり公開してこなかったのですが、
”小暮満寿雄Art Blog”と銘打っている上、色彩は得意分野なので、
これから少しづつ色彩についてブログアップしていこうかと思います。

DICカラーガイドシリーズのパート1(1~3巻)は印刷インキの色見本帳として、
今から40年以上も前に、故・田中一光さんらが中心になって作られたものです。

当時は今のようにカラーが当たり前の時代と違い、
映画も「総天然色」と呼ばれるカラー作品が全盛になりつつあり、
モノクロテレビからカラーテレビへ以降する時代でした。

そんな中、田中一光さんが選んだ色というのは本当に感覚的なものでした。
印刷インキを使って色を選ぶという手段をとらず、
流木の破片やら、街角で見かけた布地、顔料の原料になる石などの鉱物などをかき集め、
色選びをしました。
印刷会社にはそれと同じ色を出せというオーダーをしたわけですね。

さすがに印刷会社の熟練調肉師(インキを練り合わせて色を作る職人)も、
これには閉口したそうですが、
苦心惨憺の上に作られたのが、今のDICカラーガイドpart1です。

また通常の4色印刷では、4回印刷機を通せばおしまいですが、
DICカラーガイドの場合、part1なら654色ありますから、
単純に最低でも654回印刷機を通さないといけません。

654枚、別々の色が刷られた紙の束を断裁して、
最後は近所のパートさんが手で組み立てますから、制作費も億単位。
ただし大量複製ができるので、1コ8000円から10000円程度で済むのです。

意外かもしれませんが、DICカラーガイドはもっとも安価な色見本帳のひとつです。
建築のペンキや壁の見本などは実は実費で言うと、もっと高額です。
タダで配ってますが、建築業界は動くお金も大きいので元がとれるわけですね。
(DICカラーガイドも印刷会社には文字通り、見本として配ってます)。

さて、part1の場合は1番~654番まで、数字の番号がふられているだけですが、
DICカラーガイドシリーズには「伝統色シリーズ」という、
美しい色名とその由来がついたものがあります。

次回はその伝統色についてお話いたしましょう。
ところでU氏さんに質問です。

問題:
みんなが帰省し、空気が澄んだ東京の元旦・明け方の空をDICナンバーで答えなさい。
また、同じく帰省で澄んだ東京お盆の昼間の空の色を答えなさい。

正解はありませんが、U氏さんのセンスが問われますね(挑戦的)♪

写真は色彩にまったく関係ない、稽古総見の稀勢の里です。

色彩談義PART2:DICカラーガイドの成り立ち” への5件のコメント

  1. 日本の伝統色
    おお、日本の伝統色の色見本帳はしょっちゅう眺めてます。
    着物地をストックする際の覚書に使ってます。
    日本の着物は非常に微妙な色があり、
    赤系で緋褪色、減赤などはどちちらに近いか迷う時があります。
    弁柄色などインドのベンガル地方の赤土の色だったりと、
    眺めているだけで想像の世界に入っていけて時間が経つのをを忘れてしまいますます。

    そのような訳でストックの覚書作りは時間のかかる作業になってしまうのです。

    マスオさんの色あてクイズはおもしろいですね。
    わたしは日本の伝統色で参戦しようかしら。

  2. 鉄分
    すずめさん、おはよ大相撲です!

    おお!
    服飾デザイナーのすずめさんのことですから、
    さぞ重宝されていることでしょう。

    弁柄色とはよく言ったもので、インドのコルカタあたりはまさにその地域なのですが、
    土はもとより、写真で撮影しても全体が弁柄色っぽくなる地域です。

    伝統色の話とは離れますが、あの色は酸化した鉄分が含まれてるからだと思われますが、
    青磁の青も鉄分だそうで、酸欠状態にして高温で焼くとあんな色になるそうです。
    酸欠で高温は矛盾した技法なので困難を伴うそうですが、
    鉄という宇宙でもっとも安定した物質がそのように変化するとは興味深いことであります。

  3. 参戦大歓迎です♪
    おお!

    言いわすれましたが、もちろん参戦大歓迎です♪

    U氏さんには挑発メール出しておきました。
    合わせてよろしくお願いいたします。

  4. いろいろと
    DICのカラーガイドはわたしも持っています。主に建物の案内各種看板(サインと呼んでます)の色を決める時に使いますが、その生い立ちは知りませんでした。建築には他に塗装を決める色見本帳があり必ず現場で決める時にそれを持ち出して使っています。あぁ、日本の伝統色もあったような。それとマンセル記号はまず使いません。

    昔はプラモデルの雑誌で色見本帳を出したことがありました。アメリカ海軍機はガルグレー、ちゃんとプラモデル用のペンキで塗ったシートが付いていて当時かなり高かった覚えがあります。

    色を選ぶ行為ですが、大面積になると明るくなるのでツートーンくらい落として現場で見本を作りあわせて決めていきます。

  5. ガルグレー?
    正ちゃん帽さん、おはよ大相撲です!

    建築現場の塗料見本は知ってましたが、
    建築の世界ではDICカラーガイドをそうやって使うのですね。

    >アメリカ海軍機はガルグレー

    ガルグレー?
    その色名は存じませんが、どんな色でしょうか。
    ご教示いただければ幸いです。

    おそらくプラモデル業界内の名称だと思いますが、
    合わせて教えていただければ幸いです。

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