日曜美術館「渡辺省亭(わたなべせいてい)― 欧米を魅了した花鳥画 ―」を見ました。藝大美術館で開催していたのが、例の緊急なんちゃらで見られません。
パチンコ屋がやってるのに美術館がダメなんて、どう考えておかしな話ですが、やってないもの仕方ないので、日美で我慢しましたが、ますます本物が見られないことに残念な気持ちになりました。
こんな凄い絵描きが明治の世にいたのですね!
世の中、美術展も流行り廃りがありまして、今は伊藤若冲や川鍋暁斎のような、いわゆる奇想の画家が全盛の時代です。
そんな中、 渡辺省亭は日本画の平面的なスタイルを踏襲した、超絶技巧の画家ですから、今の流行りではなく、企画をした藝大美術館も、どんな反応か不安だったようですね。
蓋を開けてみれば大変な評判で、現在は閉館という残念なことになっていながら、市井の人々から評価を受けた形になったというわけです。
面白かったのが、鳥類学者の先生の解説ですね。
渡辺省亭さん、鳥が好き!…なんてもんじゃなく、鳥が大好きだったことを学者の目からお話をされていました。
たとえば、ミミズクなどは大抵の画家は正面からしか描かないそうですが、渡辺省亭はミミズクの横顔を描いています。
ここに出典の絵は、どれもWikiからなのでお見せできないのですが、そう言えばミミズクの横顔ってどうだったかな? 絵はもちろんだけど、写真や図鑑も横顔のミミズクを載せてるところ、見たことがないよね。
見れば納得、飼ってる人でもないと見たことのないミミズクの横顔です。
また、注目すべきは鳥の目ですね。
実際の鳥の目は、ご存知のように怖いものです。
あの極真空手の大山倍達館長すらも、「キミたち、ニワトリの目はコワいよ〜」とおっしゃっていたほど、怖いのが鳥の目です。
たとえば若冲が描いた鶏の目は、怖い目と日本語を喋る目の二局化なのにたいして、省亭さんの鳥の目は、鳥の目なのに怖くない。
これは若冲とは違ったアプローチの愛情だったのかもしれません。
どちらも鳥好きですが、若冲は擬人化するけど、省亭はあくま鳥…といったところでしょうか。
アーティゾンや山種のように、 自粛をやめる美術館もありますが、藝大美術館の立ち位置だと難しいだろうな。
重ね重ねも無意味な緊急事態宣言が残念でたまりません。