昨日は好天の中、「フィリップス・コレクション展」に行って参りました。
入館料1700円のところ、家内の会社の福利厚生で1500まんえんのお値引き♪
あ、かえって高くなったか?・・・なんて、ウフッ♪
こちら鉄鋼王を祖父に持つダンカン・フィリップのコレクションということですが、たしかに一代では到底築くことのできない壮大なコレクションでした。
全員巨匠の看板にいつわりなし!
展示されている作品すべてが紛うことなき傑作ぞろいには驚きです。
モネ、マネ、セザンヌ、ゴッホ、ゴーギャン、ボナール、スーラ、ドガ、ドーミエ、ピカソ、ブラック、マティスなど、近代の巨匠たちはもちろん、ゴヤやアングルなどの作品もズラリと一同に介しており、欧米のミュージアムさながらです。
ダンカン・フィリップの妻、マージョリー・アッカーは画家だったと言いますが、それだけでは測れない高い審美眼には脱帽です。
画商はフィリップ家にしばらくの間に絵を預け、気に入ったものだけを購入してもらったと言いますから、その信用もすごい。
そのため、どの絵を見ても飽きのこない作品ばかりで、美術館を見るときの疲労感もそれだけ少ないものでした。
そう。
美術館というのは、オーナーや学芸員の嗜好が反映されることはもちろんですが、必ずしも、家に置いて落ち着く作品ばかりを入手するわけではありません。
その点、フィリップス・コレクションは実際に家に置くための作品ばかりですから、高い幸福感を感じさせるものばかりを集めているわけですね。
フィリップが中でも愛した画家がブラックだそうですが、確かにどの作品も粒選り!
私にとって、あまり興味のなかった画家がブラックですが、今回の展覧会で初めて「良いな」と思ったかもしれません。
食べ物と一緒で、絵の嗜好というのも年齢とともに変わるものですが、そういえば昔はあまり好きだとは思ってなかったセザンヌやマティス、ビュッフェなどの作品が、今回の展覧会では、妙に良く感じました。
フィリップス・コレクションを見ていて強く感じたのは、芸術というのは基本、人に奉仕する仕事だろうなということです。
アートに正解はありませんが、若い頃は自己表現こそ一番大事だと思っていたのが、最近では、自己表現は後からついてくるものに思えてきました。
やっぱり見る人が幸福になったり(逆もアリですが)、満足してもらえることが、一番大切なのではないか。
それにしても、これだけのコレクションを一族の財産で集めて来られたアメリカの財力たるや大変なもの。
そう思った瞬間、日本にある5000ものミュージアムの存在を思い出しました。
私が学生の時分など、地方の美術館などチープなものばかりでしたが、ここ10年20年でその位置付けはずいぶん変わったものです。
ポーラ美術館などを筆頭に、その収蔵作品はどこも大変なもの。
バブル期をきっかけに落ちていった日本経済ですが、少なくともアートを見る限り、そのクオリティたるや大したもの。
さほど遠くない将来、自分の作品がそれらの仲間入りをできたら良いななどと、図々しく思った次第です(笑)。
「フィリップス・コレクション展」は会期残り9日間。
この機会をぜひ、お見逃しなく!