昨日は和conの美術館アテンド。楽しんでツアーが出来ました。
今回選んだのは東京都美術館で開催中の「ポンピドゥー・センター傑作展」。1906年から1977年までの70年間、その年に制作された美術作品を1年で1点選んで展示するという形式の展覧会でした。
第一次世界大戦と第二次世界大戦、そして終戦後の世界が背景ということもあり、アートも時代背景を無視しては成り立たないことがよくわかります。
ピカソのこの作品もスペイン内戦の前の年で、戦時中の作品は内面の暗さが目立ちます。ガスマスクばかり集めた現代アートもありましたが、そういう具体的な物体を扱った作品はみな終戦後でした。
戦時中でそのような表現はできなかったということでしょうね。
驚いたのがフランス以外にスペイン、イタリア、スイス、ロシア、ルーマニア、ブルガリア、ウクライナ、ナイジェリア、日本、ドイツなど、外国人のアーチストの多かったこと。ユダヤ系も数多く目立ち、収容所で亡くなった作家も大勢いたようです。
ただ、現在の移民と問題が違うのは、この当時のアーチストたちはパリに憧れてやってきたのに対して、今の移民は内戦や貧困によって逃げてきたことでしょうか。
そんなことも思いながら、 会場を巡りました。
たっぷり2時間あまり、小声で絵の解説をしながら巡りましたが、幸いというか、不謹慎というか、会場がそんなに静かでなかったのが、かえって良かったと思います。
東京都美術館では、小声で話すくらいで注意されることはありませんが、ほかの美術館などによってはかなり私語にキビしいところがあります。
もちろん美術館で騒ぐというのは論外ですが、完全に私語禁止、静かでなければいけないというのは、如何なものかと思います。
陛下や皇太子殿下が美術館をめぐる時、他の人がいない時間帯に解説の方がおつきにめぐります。陛下を引き合いにするのも何ですが、アートというのは、その時に知りたいことを聞くのもひとつの楽しみ方。
美術館によっては、警備員が私語を注意することがあります。
学芸員が言うならわかりますが、警備員に注意されると威圧感が強いし、見る方だって萎縮します。
どうも日本は何か規制があると、だんだん強くなっていく傾向がありますが、水を張ったような中で見る美術が本来の見方なのかどうか。
ちょっと考えてみる余地があるのではと思いました。