金曜日に「みちのくの仏像展」見に行きました。
東京国立博物館で仏像展は何度も開催されてますが、東北地方の仏像のみを一堂に会する展覧会は珍しい。
いや、京都や鎌倉の仏像とはまったく違う世界にびっくり。
予想していた以上に素朴でありながら、力強い仏像が並んでおりました。
たおやかな京の仏像に比べ、荒々しい鑿の跡が残る、何やら太古の叫び声が聞こえてきそうな仏像は、東北地方というのが違う文化圏だったことを想像させてくれます。
こちら円空作の釈迦如来立像をご覧ください ↑
円空初期の仏像で、平べったい顔と細い目はほかのみちのくの仏像にも共通した顔だちです。
比べて中心の十一面観音菩薩立像もご覧あれ ↑
みちのく仏像は、円空仏のような平らな顔とは真逆な、彫りの深い西洋人に近い顔だちも混在していて、ロシアの方から渡って来た人たちと現地の人たちが混血を繰り返していたのではと、想像をかき立ててしまいます。
俗に秋田美人は混血のためだなんて言いますが、真偽のほどは別にして、みちのく仏像・・・素朴な作りは共通にせよ、顔立ちのコントラストが興味深いところです。
一方で、上のパンフ写真上にある十二神将立像は山形の中部・置賜にある本山慈恩寺に収蔵されている仏像ですが、これは完全に京や鎌倉と同じスタイルの仏像です。
明らかに都で修行をした仏師が彫ったもので、フォルムも実際の人体に近い実に高度なテクニックをともなった作品。
ほかのみちのく仏像に玉眼(ガラスに着色して内側から眼を入れたもの)がないのに比べ、こちらは精巧な玉眼が入っています。
山形は庄内・羽黒山にある五重塔を見てもわかる通り、東北地方と言っても朝廷文化のお膝元ですから、おそらくは都の仏師が彫ったものに違いありません。時代が鎌倉時代ですから、運慶快慶の流れを組むものかもしれませんね。
みちのくの仏像展は4月5日まで。
平成館ではなく、本館特別5室という比較的小規模な展覧会ですが、見応えは十分。
入場料も1000円と比較的安めです。
見終わったあとは、常設展示もご覧になっては如何でしょう。
ここ、実は台湾の故宮博物院に負けないほどの見応えです。