ガンが治る! 陽子線治療と命の値段


昨日は知り合いのつきあいで、
まったく専門外ではありますが、ガンの放射線治療のシンポジウムに行きました。
(正式には”筑波大学 陽子線医学利用研究センター 設立10周年記念講演会”)

私の父も亡くなる前にガンを2回、胃ガンと直腸ガンを患いました。
胃ガンは内視鏡による摘出で、術後に手を振るほどの元気ぶりで、
直腸ガンは放射線治療で、ほぼ治癒しました。
(亡くなったのは誤嚥による肺炎だったので、ガンではいちおう克服したことになります)。

今ではガンは治る病。
黒澤明監督の「生きる」の時代と違い、本人だけが知らない時代ではありません。

昨日聞きに行ったのは、この放射線治療の中でも先端を行く、「陽子線治療」という方法です。
(以下の説明、シロートゆえ不正確。ご容赦を)。

陽子線治療は「加速器」という、とてつもなく大規模な装置を使った医療です。

加速器というのは、原子の中から陽子のみを取り出し、
何キロもある長いトンネルの中で、
その陽子をぶつけるという物理実験を目的にした装置をベースにしています。
(拙著”マンガでわかる物理のしくみ”による、イラスト参照)。

何キロも先にあるところから陽子を発射する巨大な装置ゆえ、東京では設置できず、
日本では全国で8箇所のみ。
設置に80億とか120億かかるバケモノみたいな装置ですね。

 

陽子線治療は、放射線治療の一種ですが、
通常の放射線治療は(光子線治療という)、ガンに照射されてからもスリ抜けて、
うしろにある正常な臓器も傷つけるのに対し、
陽子線は、原子のツブツブを拾い出して当てるため(粒子線治療)、
ガン細胞にぶつかって、それ以上うしろに行かないというメリットがあります。

簡単に言うと、正確にピンポイントでガン細胞を殺せるちゅうわけですね。

国立ガンセンターや虎ノ門病院の肝臓や小児ガンの専門家の先生や、
患者の会の代表の方など集まり、3時間半。
シロートにもわかりやすくお話をしてくれました。

ただ、陽子線治療は120億もかかる装置に加え、
保険が効かないこともあって治療費は数100万単位とまだ高価。
(それでもまったくモトはとれないそうです)。

タイトルに”命の値段”とありますが、それは当然のことですね。

早く保険が適応できるようになると良いですが、
尽力をつして役所にはたらきかけてる先生もいて、その話にも感動しました。

最後につくばの副学長さんがご挨拶をし、
「放射線というと、福島原発で恐ろしいものだと思われていますが、
 利用の仕方次第では、医療として大勢の人を救い、これからもその可能性を広げていくものです」
とおっしゃっておりました。

ランダムに照射される放射線は、正常な細胞を破壊するので危険ですが、
放射線治療は悪い細胞をピンポイントで殺します。
(よく、医療の放射線と原発の放射線は違うと言う人もおりますが、それは不正確です)。

ともかくも有意義な講演会。
つくば国際会議場の立派さ、広さにもただただびっくりでした。

ガンが治る! 陽子線治療と命の値段” への6件のコメント

  1. 馬鹿と鋏
    >(よく、医療の放射線と原発の放射線は違うと言う人もおりますが、それは不正確です)。

    ある意味、全て放射線ですね。
    この液晶からも放射線が出ています。
    まあ波長が、量が、違うだけです?

    大槻教授から同じ話を聴きました。
    3次元測定で狙いを付けるんですね。
    軍事技術からの転用かも知れません?????
    とっくに、癌は治る。
    でも、治療費が無い!

    あとは、例えば心臓の筋肉は蘇生しませんが、
    ips細胞を心臓に打ち込めば、蘇生するかも知れない、
    という人体実験を大阪でやってまんがな。
    1/70億人のおっちゃん(後期高齢者)がモルモットです。
    保険治療には、どんなに早くてもあと10年後だそうです。

    こうした医術の進歩は、不死は無理でも、不老は有りかも??
    でも食料が追い付かないから、宇宙に進出ですね。
    そうすると、300歳くらい生きないと、新天地、惑星≒新地球に辿り着けない。

    想像が追いつきません。
    宗教も、神道と仏教以外は、ポシャル???

  2. 軍事転用の何がわるい
    お頭さん、おはようございます!

    >軍事技術からの転用かも知れません?????

    石破さんがどこかに書いてました。

    他の国では軍事目的で作られた技術が民間に委譲される。
    それが日本では逆。
    軍事というのは何でも天井知らずの巨費をかけて作るので、
    民間ではできない技術ができる。
    (宇宙開発も同様)。

    技術開発としては手順が間違っているということですね。

    加速器がどうかは知りませんが、
    最初は米国スタンフォード大学かどこかで開発されたものと記憶しています。
    当然、軍事目的も考えられますが、
    それを「悪」と考えてしまうのも問題ですね。

    陽子線治療の素晴らしいところは、小児ガンに有効なことだそうです。
    小児ガンは肝臓ガン、肺ガンといった部位によるガンではなく、
    多岐にわたる臓器(あるいは骨)に巣くうケースが多いそうで、
    摘出手術がきわめて難しいのだそうです。

    小児ガンを克服しても、別の病気が成人して再発したり、
    なかなか性質がわるいらしく、
    親御さんの講演などは心を打つものがありました。

    ところでお頭さん、あのURLは何でしょう?

  3. そうそう
    X線治療と陽子治療を、
    ヤマトとイージス艦に例えていた先生がいましたよ。

    スライドつき。

    本人は「こんな比較をするとヒンシュクを買うかもしれませんが・・」と前置きしてましたが、
    きっとお好きなんでしょうね。

  4. スイマセン
    マスオさん、あれは有栖川宮公園の先のスーパーマーケット、
    ナショナルの一時閉店(?)のお知らせでした。
    アメリカかぶれとしては、懐かしい???のでした。

  5. 再開は?
    お頭さん、おはようございます!

    ああ、あそこの閉鎖ですか。
    滅多に行きませんが、雰囲気のある良いお店でしたよね。

    ジムのプールでも話題になりました。
    だいたい建て直しだと、違う店になっちゃいますよね。

    再開を望む声も多いようですが。

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