平岡法相+映画「悪人」「瞳の奥の秘密」


昨日の国会で、平岡法相が「なぜ速やかに死刑を執行しないか」と追求され、
追いつめられて逆ギレするという話を聞きました。

平岡法相の態度は論外だと思いますが、
この話で私は2本の映画を思いだしました。

1本は日本映画「悪人」。
カナダかどこかの映画祭で、深津絵里さんが主演女優賞をもらった作品ですね。
もう1本はアルゼンチンの映画で、アカデミー外国語映画賞を取った「瞳の奥の秘密」です。

「悪人」は深津絵里さんだけでなく、さまざまな映画賞を取っただけあって、
作品のクオリティ的には最高でした。
特に九州の地方感というのが鮮烈で、
「あーそうそう、地方行くとこういうカンジ!」という風土感が素晴らしい。

ところが私自身は、なぜか見ていて釈然としませんでした。
映画では殺人犯役の妻夫木くんより、殺人犯に疑われるホスト風のボンボン(岡田将生)の方が、
はるかに悪人で、見ていてフユカイに描かれています。

妻夫木聡演じる清水祐一が殺人を犯す場面では、
被害者の女性(満島ひかり)にもかなりの非があり、
清水は錯乱状態、魔がさして絞殺してしまうのですが・・・おやおや。
これって平岡法相の言う「殺す方にも事情があった」ってリクツじゃないの?

イケメンの妻夫木くんが見事な演技をしながらも、ガラ的に悪人に見えないのも映画のポイントで、
さらに被害者の父親が、殺人犯よりホスト風のボンボンに食ってかかるところも、
状況的に仕方ないとはいえ、何かの作為を感じます。

役者の演技も良いし、画面のクオリティも高いだけに説得力があるのですが、殺人犯は殺人犯。
殺す方にも事情があったなんて理由は如何なものでしょう。
(まあ、映画でそう言ってるわけじゃないけど、そういう風に読める)。

映画が終わりエンドタイトルを見て、出資したクライアントを見て納得。
かの大手メディアが参列してるではありませんか。
作品の質がきわめて高いだけに、かえって釈然としない思いが高まった次第です。

アルゼンチン映画「瞳の奥の秘密」、実に素晴らしい作品でした。

あらすじを書くとネタバレになってしまうので、多くは申しませんが、
物語の舞台はアルゼンチンが大恐慌に陥る直前、混乱期の1970年代。
政治が混乱し軍部と対立している時代で、裁判所がまともに判決を下せない時代だったそうです。

殺人犯とそれを追いつめようとする判事。
そして妻を殺された夫との話です。

殺人犯が容易に釈放され、しかも女性大統領の警護に任命されるという、
にわかには信じられない(あ、ネタバレ)中、
こういう社会において死刑がないというのは如何なものか、
と思いつつ最後まで見てしまいましたが、思わず納得。

「悪人」も「瞳の奥の秘密」も、どちらも一見の価値ありです。
ご興味ある方はぜひ一度ご覧くださいませ。

平岡法相+映画「悪人」「瞳の奥の秘密」” への4件のコメント

  1. ツマブキでツマヅイたら
    本当の「悪人」がキャストならここまでヒットする映画にはならなかったでしょう。イケメンだからこそです。時代を反映した親の「介護」が出てきたり、悪人裏の面が見え隠れしている作品でした。日本人は感情移入し過ぎるのではないかと思います。殺人は犯罪です。

  2. 殺す方に何の事情が?
    naoatさん・・これnaotさんの打ち間違いですよね?
    おはようございます!

    ご意見、ことごとく御意にございます。
    これが同じイケメンでも、玉木宏やイ・ビョンフォンみたいな役者が演じたら、
    だいぶニュアンスが変わってきますね。

    妻夫木くんのキャスティングは感情移入させるにはもってこいでした。

    でも殺人は立派な犯罪。
    「殺す方にも事情があった」では通じません。

  3. 映画と言えば・・・
    オレオレ!、オレオレ詐欺naotです。なりすましではありません(笑)。途中で送られてしまったようです。失礼致しました。

    「僕たちは世界を変えることができない」、略して「ボクセカ」を観ました。大学生がカンボジアに学校を建てる実話です。主人公は向井理さんです。
    いま平和の時代に生きている多くの若者見て欲しい映画です。

  4. クンボジア
    naotさん、おはようございます!

    やはり、なりすましでしたか(笑)。
    なりすましには注意しないとね。

    カンボジア、いいですね。
    お隣の人たちは、夏の暑い時期は、
    よく私と同じ究極のクールビズで部屋を闊歩してる姿をお見かけします。

    見てみっぺかな。

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