「まな板弥勒」の他力本願

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米国人クライアントに依頼された「まな板弥勒」ですが、ようやく本チャンの板に下絵を描きはじめました。

ところがこのまな板、包丁の跡がはげしく残っていて、かなり描きにくい。下描きは鉛筆で描きますが、芯の先に包丁の跡がひっかかって滑らかに筆が走りません。

もちろん描きにくいから作品にマイナスになるわけでもなく、写真を見てもおわかりのように、クローズアップにするとなんだか石窟の壁画みたいです。

米国人クライアントは、フリマでこのまな板を見つけた途端、私に描いてもらおうと思ったそうですが、実は私・・・包丁の跡がいっぱいのまな板に筆を起こそうという気が起りませんで、下描きを完成させてからしばらく放置していました。

ところが、実際に下絵をまな板へ移してみると、これが良い頃合いのアジが出てきてる。これは描き手より依頼主のインスピレーションの方が勝っていたということでしょうね。
包丁の跡が、弥勒菩薩の姿によく合いそうです。

想像もしてなかったことで、これぞまさに他力本願。

他力本願とは、他人に依存するという意味ではありません。自分の力の及ばぬところで、世の中は成り立っているということでしょうねー。

とはいえ、このまな板。
そのままでは作品の支持体になるのには不十分です。

故宮博物院の「豚肉」は、自然のままの石ではなく、実はかなり加工と着色を施しているのですが、このまな板もそのままでは作品になりません。
まな板の下地を生かして、微妙な着色と加工が必要かな。

↓ こちらは すでに完成してある、別のまな板弥勒。
これをマリナ・リナルディの展示会で見た米国人クライアントが、ご自分で見つけたまな板を持って依頼してきたというわけです。

このまな板。
私が横浜は綱島に住んでいた時に13年間使っていたものですが、見ての通り包丁のあとはそれほど目立ちません。

私が切れない包丁を使っていたのか、それとも使い方が穏やかだったのかわかりませんが、クライアントが持ってきたまな板の持ち主。

いったいどういう人が使っていたんでしょうねえ?

 

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