火事場の「淡々力」


昨日、ブログアップした話はコメントやらDMなどで色々反響がありましたが、
私はそのわりに友人のことは心配していません。

というか、彼のうろたえない態度にかえって感心いたしました。
普段はへらへらした、軽いノリのおじさん(失礼)なんですが、
意外に度胸がすわってるというか・・・
つとめて明るくふるまっているというわけでもなく、淡々とした様子はなかなかのもの。
いや、立派です。

3.11の震災があった時、東北人の淡々とした様子は世界中を驚かせたようですが、
どうやら、その彼にも日本人のもつ「淡々力」とやらがあるのかもしれません。

小津安二郎の名作「東京物語」では、長年連れ添った奥さんを亡くした葬儀のあとで、
笠智衆(りゅうちしゅう)扮する夫に、こんな会話の場面がありました。

「どうも、このたびはたいへんでしたのお」

「いやあ、生きてるうちは気のきかんやつだとおもうちょりましたが、
 こうなったら、もうちと色々しとったらと良かったと思うております」

この会話を聞いて驚く外国人は多いそうで、
どうして身内が亡くなったあと、そこまで淡々としていられるのだ、とのことです。

「泣きなさい、笑いなさい」の歌詞にあるように、己に素直になるのも大切ですが、
何か大事があった時に、素直に淡々とふるまえるのも一つの能力ですね。

もうひとつ、こういう時は同情しないのもひとつの礼儀でしょう。

仕事をなくした時や、大病をした時など、人生さまざまな試練はありますが、
そんな時に「大丈夫?」「大変ね~」「これから、どうするの?」
なんて言われても、本人にとってはね~。

拙ブログをお読みの方で、知り合いに同じ境遇の方がいれば、
くれぐれも「大変ね~」などと尋ねない方がよいでしょう。

ともあれ、びびらず、うろたえずという人はこんな時に強いもの。
我が身をふくめて勇往邁進、何とかなることでしょう。

写真は拙作「夜明けのボデゴン」。
ボデゴンとはスペイン語で厨房画のことで、静物画の一部になりましょうか。
最近はわりと風景画、静物画など、フツーの作品を好んで描くことが少なくありません。

火事場の「淡々力」” への4件のコメント

  1. 同情するなら金をくれ
    ってドラマありましたが、同情は本人の為になりません。
    職業を与えたり、家を与えても、そのうち裏切られるだけです。
    ならば普通に酒でも飲みに誘って上げて下さい。来るか来ないかは本人次第だし、来たら話を聞いてあげてうなずいてあげるだけでよいのです。
    コレが私がしてきた事ですが、今回は自分から率先して酒誘って真っ先に話しだして…
    そんなこと知らずか、察知したか、深く悩まず集まれる仲間が親友でしょう。
    沖縄の親友はもちろん「なんくるなぃさぁ」の一言のメール。それも珍しく沖縄タイムではなく、リアルタイムでした。

    無用な同情は本人の為にならない事を知っている、そんな親友達が近くにイルだけで宝です。次回もまた愚痴りますよ~

    覚悟!!

  2. 日本人
    >小津安二郎の名作「東京物語」

    ビビビ、っときました、昔話で恐縮です、22年前。
    典型的なアメリカン白人弁護士、当時30歳前後、とマジな会話で、
    「あんな真っ正直な人達が日本には本当に居るのか?」
    「そうさねぇ、今は(当時)は絶滅危惧種かなぁ???」
    (ふーん、こんな非情なアメリカンアトーニーなくせに、
    東京物語の本質を掴んでるね~、ナカナカ。)
    と、心で呟いてました。
    この作品に、アッシ半端者ですが、誇りを感じてました。

    どーしてるかなあ、血も涙も無い彼???
    奥さんがトビキリの美女でね、メロディーさん、
    その名のとおり、幸せ請負人の、やはり、弁護士です。

    二人で我慢しながら、アッシの拙い英語力アップに、
    付き合ってくれて、見守ってくれていました。

    見守る、とは、母なる心ですかね。
    年寄りの方の健さんも言ってます、
    「あなたに褒められたくて」
    って。

    絶滅危惧種は、どっこい、まだまだマスオさんの身近に棲息中ですね。

    しんづれいしますた。

  3. また一杯
    すぎさん、おはようございます!

    ご本人による連日の米、恐縮です。
    愚痴りますと言いつつ、そうでもなのがすぎさんですね。

    同情というのは、言い方を変えると侮蔑になることも少なくありません。
    すぎさんの場合は、まさしくそうしてほしくないタイプなので、あえて同情はいたしません。

    私も3年前に、たよりにしていたクライアントの仕事がなくなった時には、いったいこれからどうするかと思ったものですが、未だ何とかなっています。
    今でもあんまり良くなってはいませんが、チャンスは以前より増えた気がしますし、何より心についた贅肉がとれて(肉体の贅肉は増えましたが)作品自体は向上したと、勝手に思い込んでいます。

    また一杯やりましょう。

  4. 軍人なら
    お頭さん、おはようございます!

    小津作品は外国では大変な人気ですが、今のコメントでそのワケが少しわかったような気がいたします。

    たぶん、その血も涙もない弁護士・・・仕事で割り切ってるんでしょうね。
    そんな悪い人には思えませんが、きっと仕事ではすごいのだと思います。

    軍人だって、いざとなれば人を殺さないといけない仕事。
    しかしながら、優秀な軍人はだからこそ人格者でないといけません。

    その弁護士がどうだったかわかりませんが、少なくともそんな気がしました。

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