おんかん芋洗選別法

先週の金曜に取材しに行った木下式音感教育法(取材に関係ない鍋焼きうどんから先に書いてしまいましたが)ですが・・・。
実は、今回はじめて創業者である木下達也先生の指導を目の当たりにして・・・いや驚きでした。

行った先は名古屋市のお隣、尾張旭市にある「しらぎく幼稚園」というところ。
地域の生徒数が減る中、そこには生徒が大勢集まってきているという評判な幼稚園だけあって、子どものレベルはすこぶる高いのですが、驚いたのはそういうことだけではありません。

園内にある体育館に106人もの年長組をすべて集め、それぞれ子どもに声を出させて独唱者の子と、合唱隊の子を、およそ4つほどのランキングに分けるのですが、感心したのは、その水際だった手法と、根底にある教育理念でした。
(もちろん独唱の子は、一番レベルの高いランキング)。

ライオン先生こと木下先生は、子どもたちを睥睨するように眺めながら・・・

「うーん。今日は寒いのかな、暑いのかな。どっちだ?」

「寒いです!」

「よーし。じゃあ、『今日は寒い』と言うてみい。ほら、きみからな」

「きょうはさむい」

「きょうはさむい!」

「きょーは、サムイ!」

「よし、きみときみは座れ。あんたはあっちな、ホレ、早う行け!
じゃあ、お前。言うてみ」

「・・・・」

「よっしゃ。あなたはええわ。ここ座っとれ。ほい、次きみ」

「今日は寒い」

「キョウハサムイ」

「きょーは、サムイ!」

「きょうはさむい!」

・・・と、こんな具合にまるで芋の選別するごとく。

美味しい芋はステージの近くに集合し、未熟な芋はその場に座らせれ、わずか15分ほどで、あっと言う間に106ものお芋・・・じゃない、子どもたちが選別されました。

いったん大まかに分けられたお芋さんたちは、今度は歌を歌ったり、発声や発音をチェックさせられたりと、細かいチェックを受けながら、誰がどのパーツを歌うか決められるのです。

短いチェック時間ながら、独唱に選ばれた子どもたちの声は、そうでない子どもたちの声とは雲泥の違いです。
年長のクラスはそれぞれ4クラスあるのですが、麻奈先生が指導を最も評価した先生のクラスから、独唱に選ばれた子が最も多く選ばれたのもお見事でした。やっぱり子どもって、教育で違ってくるんだよね。

「せんせー、マリちゃんがないてるー」(幼稚園の先生に言う)

「どうしたの?」

「どくしょうにえらばれなかったからだってー」

このチェック、前にもこのブログで取り上げたおんかんの東京公演のオーディションに当たるわけですが、まだ幼稚園児ながら子どもたちも、そのあたりはわかっているようですね。さて。
選ばれない子どもが泣いてしまう教育法・・・。
今の学校教育から言うと、真逆だよね。

木下先生の子どもの扱いも、芋扱いでぞんざい(でも、そのあとで子どもたちが大勢、先生のとこに寄ってきます)。

だって今の学校教育は、徒競走ではビリの子がかわいそうだから、みんなで手をつないでゴールするわけですよね。

でも、独唱に選ばれなかった子は、自分ももっと上手くなろうと短い間に声を出そうとしていました。上を選ぶことによって、下の子どもをレベルアップさせることができるのです。

もともと、しらぎく幼稚園はレベルの高い子が集まっていることは確かですが、それにしても歌う時の姿勢や声が素晴らしい。

これ見て、元教員だった経験からつくづく思いましたが、校内暴力とか学級崩壊というのは、明らかに「ゆとり」をはじめとする、人間を甘やかす教育から来た弊害です。

帰りに鍋焼きうどんを食べながら、わたくしは「今の教育というのは、日本を内側から崩壊させようとしてるんでしょうか?」と申し上げたところ、先生は「まさに、そう思われても仕方ないね」と仰ってました。

その子がより良い人生を歩むためには、生きるための能力をつけないといけません。

そんな意味で、おんかん芋洗選別法を目の当たりにしながら、やはり能力によって選んで上に上げる、というのは教育の基本だと思いました。

この様子は、次回おんかんの機関誌でイラストに起こしますが、ブログにもその後で掲載する予定です。お楽しみに!

ところで私のダジャレさながら、勝手に名付けた『おんかん芋洗選別法」という親爺ネーミングですが、実はこれは大変な技であります。

それは僅かな時間の中で、一人ひとりの持つ声を「話す言葉」の声質と高さ、輝きを一瞬で聴き分ける技術で、その後ピアノでメロディーを実際に歌わせても、音程がほぼ正確になっているという超絶技巧なことを加えておきましょう。

おんかん芋洗選別法” への6件のコメント

  1. こんにちわ。

    >校内暴力とか学級崩壊というのは、明らかに「ゆとり」をはじめとする、人間を甘やかす教育から来た弊害です。

    百拍手です。

    昔の陸軍軍楽隊、一応音楽経験者(?)を並べて、
    隊長(尉官?)が、外観で判別して楽器を与えたそうです。
    それがドンピシャリであった、魂消た、と團伊玖磨が書いてましたっけ。
    そういう指導者、教育者が居ませんなあ???

  2. イモ洗い選別法ですかぁ。そういう風に見えるんですね。
    少ない時間の中で、一人ひとりの持つ声を「話す言葉」の声質と、声の高さ、輝きで、一瞬で見分けて、その後に、ピアノでメロディーを実際に、歌わせても、音程の良さは、ほぼ間違いが無いというすごい技なんですがね・・・。^^;
    いくつか、訂正があります。
    おいもくんたちは、200ではなく、106人でした。
    また、木下先生は、ぞんざいに見えますが、子供を相手にするというより、対等な人間として扱っていますので、あとから先生のところに寄ってくるのだと思います。

    もう一点、実は、今年のしらぎく幼稚園は確かに、行儀もよく、素晴らしかったと思います。が、「しらぎく」は、特別に優秀な人材を集める受験幼稚園ではなく、3年間の教育成果であることを忘れられると、困ります。

  3. お頭さん、おはようございます!

    >百拍手です。

    ありがとうございます。
    校内暴力も学級崩壊も子どもに過剰な自由を与えた結果です。今朝のNHKでは、自由を与えない教育に「かたさ」という言葉を用いていましたが、とんでもない。

    私も小学校4年だかに今で言う学級崩壊を経験しましたが、学校好きだった人生の中で、唯一行くのがイヤだった時期でした。
    小学校は担任の先生が丸々授業を担当するわけですが、授業にならない授業を1日中受けるのは実に苦痛でした。日教組はすぐにでも解体すべきです。

    >それがドンピシャリであった、魂消た

    おお、納得の行く話ですが、この『魂消えた』の意味や如何に?

  4. 麻奈先生。ようこそ、おはようございます!

    >イモ洗い選別法ですかぁ。そういう風に見えるんですね。

    えー、それ以外にどう見えるんですか〜?

    >音程の良さは、ほぼ間違いが無いというすごい技なんですがね・・・。

    フレッド・アステアのダンスが、見てると自分が踊ってる気分になるように、どんな分野でも本当の達人というのは、やすやすと行っているように見えるものですが、木下先生の技術はまさにそれでしょうね。

    あまりに一瞬で選んでいますから、簡単に分けてるように見えますが、余人にできないのは自明の理。
    素人から見ると、まさに芋を洗うようにやすやす行ってるように見えるのだと思います。

    >「しらぎく」は、特別に優秀な人材を集める受験幼稚園ではなく、
    >3年間の教育成果であることを忘れられると、困ります。

    おお、まさにそうでした。
    あそこにいた子はみな年長組。3年間の教育の成果であることは言うまでもありませんね。

    それが選ばれた子のように見えるのが、しらぎく幼稚園、ひいては木下式のすごさだと思いました。

  5. おはようございます。

    >『魂消えた』の意味や如何に?

    はいっ、単に タマゲタ の変換です。
    そう言われると、変だな?
    アー、魂消た、うん、これが正しい。
    変換ミスでした。
    ご容赦下され。

  6. お頭さん、おはようございます!

    >はいっ、単に タマゲタ の変換です。

    おおお、そりゃ魂消た!(あ、ホントに変換された)
    タマゲタって、魂が消えるって書くんですな。

    なんか少し違うような・・・?

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