日本の伝統色 ~ 色彩談義 PART3


一昨日からの色彩談義の続き、今日は「日本の伝統色」についてお話いたします。

DICカラーガイド「日本の伝統色」は、画家和田三造の弟子、細野尚志によって編纂された色見本帳です。

和田三造はリンク先にもあるように、教科書にも出ている「南風」で有名ですが、
この人は日本色彩研究所を創設した人でもあります。
日本の伝統色は選色、文章ともにその意志を引き継いだ細野先生の手によるもので、
蘇枋色(すおういろ)のように源氏物語に出てくる色から、
カーキー色、チョコレート色といった明治以降、西洋文明が入ってきてからの色名もあります。

フランスの伝統色が食べ物にちなんだ色名が多いのたいして、
日本の伝統色は染色を由来にした色が多いのが特徴です。

ただ、布地の色を印刷インキで出すのは至難の技。
特に黄櫨染(こうろぜん)や麹塵(きくじん)のような陛下がお召しになる色は、
禁色と呼ばれ、何種類かの染色を混染することによって、
メタメリック効果(見る角度により色が変わる)を発します。

これを単色の印刷インキで表現することは不可能なので、落とし所というか、
まあこの辺で良いだろう、というピンポイントで色の座標を定めています。

したがって、同じ藤色なら藤色でも、ほかのところが出している色見本帳以外のものと、
DIC日本の伝統色を比べると、かなりの色差があったりします。
(さすがに日本色彩研究所が出している色見本とはドンピシャで同じ色。
 まあ、色研の色見本帳を元に作っているので、当たり前ですが)。

私たち日本人は日本古来の色と言われると、渋いグレーや茶色を想像する人が少なくないと思いますが、
それは江戸時代に水野忠邦の贅沢禁止令が出された以降の話です。
たしかにグレーや茶は、俗に「四十八茶百鼠」と呼ばれるほど色名の種類も豊富ですが、
お金持ちの商人は、裏地に贅沢な赤や金糸(きんし)をほどこしていたのですから、
意外に日本人は派手好きだったのだと思います。

その証拠に平安は源氏物語の時代の色は、壮麗な赤や紫のオンパレード。

「ちはやぶる神代もきかず竜田川 からくれなゐに水くくるとは」

落語でも有名な「千早振る」ですが(意味が違うが)、
唐紅花(からくれない)は紅花で染めた壮麗な赤。
色材が少なかった時代にこれは高価なものだったのでしょう。

平安から鎌倉になると武士の時代になるので、
紺や藍など、お武家らしい色が好まれるようになります。
特に紺は褐色(”かっしょく”と書いて”かちいろ”)、勝色と呼ばれ、縁起の良い色とされました。

次回はまたのちほど。

写真はアル・ケッチァーノのクリスマスケーキ、ズコット。
ズコットとはイタリア語で「法王の帽子」。
クリームベースのふんわりした生地に、パリッとした木の実が入っていて、食感のコントラストがたまりません。

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