絵の完成ってどこで決めるか、ご存知ですか?


絵描きも個展前とはいえ、自分の作品ばかり作っているわけにはいきません。
私も絵を生活の糧にしていることは間違いありませんが、
収入の多くはイラストなどいわゆる商業美術の仕事、
あるいは書籍の印税によるものです。

どれも好きな仕事なので、忙しくてもあまり苦にはならないのですが、
(そのかわりヒマは苦しいぞお~~~)。
難しいのは商業美術からファインアートへの切り替えです。
書籍の挿画というのは、総じてあまり描き込まない方が良かったりする。
複雑な色合いは印刷で再現するのが難しいからです。

ところが絵画というのは、そこが困りもの。
特に油彩画はいくらでも塗り直しが効くから、
ルオーのように30年くらい塗り重ね、
出来上がった時は持ち上げることもできないくらい重たくなってしまう。

で、みなさん。
絵画はどこを以て完成と成すか、ご存知ですか?

正解は”画家が完成と思ったら、完成”です。

だから、ほとんど絵具がのってない段階で発表されるものもあれば、
10年20年経っても出来上がらない作品もある。
まあ、明らかな手抜き作品は論外として、
ある程度手間をかけた、密度のある絵の場合、
適当なところで筆を擱かないと、かえって絵がわるくなることが多いのです。
なぜって、同じ表現は2度できないからですね。
塗り重ねると、良いところまで封じ込めてしまう。

そんな絵画の世界と、イラストの世界というのは
ルールの違うスポーツどうしのようなもの。
不思議なもんで、絵から文字原稿に切り替える時は、
自然に脳がスイッチするんだけど、
油絵からイラスト、イラストから油絵は、それが難しいのです。

画像は花風社さんの新刊本(12月刊行予定)
「ぼく、アスペルガーかもしれない。」のイラストです。
8歳の著者・大地くんのキャラクターで、
内輪では”くりぼう”とか”くりくりぼうず”と勝手に呼ばれているみたい。

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