一昨日は拙宅のマンションがタンクの清掃で断水だったので、ちょうど六本木のTOHOシネマズで時間帯に合う『グラディエーターⅡ 英雄を呼ぶ声』を見に行きました。
時間合わせで見に行ったくらいなので、そんなに期待はしていなかったのですが、さすがはリドリー・スコット。御年86歳というのに、力強く面白い映画が見られました。
前作『グラディエーター』の正式な続編ということですが、なにせ24年も前に作られた映画ですから、完全に独立した作品という感じでした。
前作では主人公マキシマス(ラッセル・クロウ)が亡くなっていたので、続編では息子のルシウス(ポール・メスカル)が主人公という設定ですが、あまりに間が空きすぎていたので、見ながら「そういえばそうだったのか」という感じでした。
デンゼル・ワシントンの悪役・奴隷商マクリヌスは堂に入っていて、見ていて楽しかったのですが、私が面白かったのは共同皇帝の兄弟カラカラとゲタでした。
ええええ、共同皇帝?…なんじゃそりゃ?
日本でいうと天皇陛下が二人いた南北朝時代を思わせますが(実際はかなり違う)、共同皇帝は史実だったようです。
二体とも美大の受験時代に、さんざん描いた石膏像で、なんとなく懐かしさを覚えた次第です。史実では映画の中以上に仲がわるく、実際にカラカラはゲタを粛清していますから、共同皇帝なんてうまくいくはずないよな、って感じかな。
映画はエンターテイメントとして、もちろん面白かったですが、民衆による暴力がいかにもリアルに描かれていたことでしょうか。
フランス革命しかり、肉片にされたイタリアのムッソリーニ、民衆に惨殺されたルーマニアのニコラエ・チャウシェスクしかり。いかなる権力を持ってしても、暴動に走る民衆の無軌道なエネルギーは抑えがきかないことが、実によく描かれていました。
ローマのコロッセオは民衆のガス抜きに使われてみたいですが、ガス爆発したこともけっこうあったのでしょうね。暴動の集団心理は、どさくさにまぎれて好き勝手暴れるのが一番恐ろしいです。
悪役の皇帝ふたりが、さらに悪役のデンゼル・ワシントンに殺されるのはなんとも面白い。史実とは少し違うようですが、そこは映画なので面白ければ良いという感じです。
それにしても、主人公は死んでないし、これは『グラディエーター3』の製作もあるかもです。