巨匠タルコフスキー、詩的宇宙の極致が4Kレストアで蘇る
/映画『ノスタルジア 4K修復版』
アンドレイ・タルコフスキー監督作品、『ノスタルジア』の4K修復版がリバイバルされるというので、矢も盾もたまらず見に行きました。
タルコフスキーの映画はいわば面白いという映画ではなく、人によっては寝ること必至。でも、その映像は深く美しく、いったん入り込むと何度でも見たくなる不思議な魅力を持っていて、若い頃の私に大きな影響を与えてくれた作家でした。
妻を誘ったら「行く」というので一緒に行ってきました。
どんな話と聞かれたのですが、話はあってないようなものなので、「とにかく見て」と言いました。
さて、多くの人は芸術に正解を求めたがります。
国語のテストの問題のように「この作者は何を言いたかったのか?」という問いに対する答えですね。
しかしながら、その問いに対する正解は無数にあります。中には明らかな不正解もありますが、微妙な正解、正鵠を射た正解など、それは様々。
タルコフスキーも、彼自身の言葉にあるように、作者は正解を自分自身の作品に記しているわけではありません。
妻は『ノスタルジア』の前半、「どんな意味なんだろう? どんなストーリーなんだろう」と真剣に考えながら見たのですが途中で疲れて、考えるのをやめたら、映画の中に入り込むことができたそうです。
そうなんだよね。
私も何十回と、この映画見てるのですが、 ホームページの「あらすじ」を読んで、ストーリーの内容をはじめて知りました(笑)。
以下、あらすじです。
モスクワからイタリア・トスカーナ地方にやってきた詩人アンドレイと通訳の女性エウジェニア。ふたりは、ロシアの音楽家サスノフスキーの足跡を辿る旅をしていたが、アンドレイは病に冒されていた。そんな中、二人は世界の終末が訪れたと信じ、人々に狂信者と噂されるドメニコに出会う。
▲こちらは、拙作「カンピドリオ広場」にて。
『ノスタルジア』のラスト、ドメニコが焼身する場面がローマのカンピドリオ広場で、それに触発された作品です。