上野の東京都美術館で開催中のマティス展、行ってきました。
素晴らしかったです!
若い頃、マティスはどちらかと言うと、苦手というより理解できない画家のひとりでした。今回の展覧会でも、年配の方などが「これで完成なの?」なんて声を上げてる人がおりましたが、それとほぼ同意見だったからです。
若い頃の自分は、とことん描き込む足し算のタイプだったので、そんな風に思ったのかもしれません。
そんな、アンリ・マティスは引き算のアートでしょうか?
いえいえ、勝手に私はそう思っていたのですが、展覧会を見て少し考えが変わりました。マティスは最小の線や色彩によって、究極の引き算をしたようで、実はその過程には徹底した足し算をした画家だったように思えます。
まず驚いたのが、マティスが作った彫刻のボリウムです。
▲撮影可だった彫刻はこれだけですが、実際はもっともっとボリューミーな彫刻がいっぱい展示されていました。
マティスのアートを一言で言えば、人や物の本質を追求した画家だったように思えます。そして彼の絵画は未完成のように見えて、その完成品です。
すごいですね。
女性がまさにこちらを見ている一瞬を一枚の紙に封じ込めています。
どちらかというとマティスの彫刻は、この単純な線や面、色彩に至るための試作品です。肉を次々に盛り上げ、人体の中身に肉薄する作業とでも言いましょうか。
マティスの単純なドローイングと、肉の盛り上がった彫刻を見比べ、私はウルトラマンに出てくる二次元怪獣ガヴァドンを思い出しました。
少年ムシバが土管に描いた怪獣の落書き(いかにも昭和な表現)が、謎の宇宙船によって実際の怪獣に変化するという話ですが、あの落書きと怪獣の立体感は何かマティスとリンクしますね。
余談ながら、四次元怪獣ブルトンは詩人のアンドレ・ブルトン。
三面怪人ダダは、ダダイズム。バルタン星人はシャンソン歌手のシルビー・バルタンから来てるそうで、二次元怪獣ガヴァドンもマティスと関係が…ないか(笑)?
8月20日(日)まで、東京都美術館で開催中、ぜひ足をお運びくださいませ!