▲まだ仕上げが必要ですが、九分九厘出来上がった音譜なまけカエルくんです。
こちらのクライアントさんは、7年ほど前に亡くなられた音楽プロデューサーの奥様です。ぜひ楽譜を入れてくださいとのリクエストに応えたものです。
関わったミュージシャンの中には中島みゆきさんのような大物もいらしたそうで、最初はそちらの楽譜をと考えたのですが、考えてみたら音楽業界は著作権に厳しい世界です。
ましてや音楽プロデューサーに捧げる作品に、無断で著作権のあるスコアを使うわけにもいきません。(ま、著作権料を払えばいいのですが)♪
クライアントの奥様からは「すべてお任せします」ということだったので、ポップス系は断念し、バッハやベートーベンのようなクラシックの楽譜を考えてみました。
ただベートーベンの「悲愴」や「運命」は芸術的に美しくても、飾るにはふさわしいものではありません。第九の歓喜の歌も何か違う。
そこでビジュアル的に楽譜の美しいJ・S・バッハのものと考えたのですが、さて何が良いのかな〜?
▲こちら、選んだ楽譜はヨハン・セバスチャン・バッハのカンタータ147番からのコラール「主よ、人の望みよ喜びよ」です。
原曲はオーケストラ伴奏の合唱曲ですが、カエルくんのお腹の面積の関係で、何段もあるような楽譜は使えません。
そこでマイラ・ヘスによるピアノ編曲版を選んでみました。
ところが、いざ描き始めたらこれが意外に大変!
バッハは音楽技術的にも難易度が高いので有名ですが、一見シンプルに見える楽譜をきれいに描くは大変だと気づきました。
いや〜、これは“なまけカエルくん”史上、二番目に手間のかかった作品かもしれません。
▼手間のかかったカエルちゃん、堂々の一位はこちら。
ピンクの虹彩箔のカエルちゃんで、これはともかく箔を貼るのが大変でした。
▲ANAフロッグくんはロゴをきれいに描くのが大変でした(ANAのロゴは、個人で楽しむ分には自由に使って良いのだそうです)。
さて、まだ出来かけの楽譜をSNSにアップしたところ、なんとプロのピアニストさんからのご指摘がきました!
▲赤字部分の拍子のヌケと、 下向きの棒と羽の位置が逆になっているとのこと。
いや〜、剣呑剣呑!
それにしても、よく音楽家が「楽譜に忠実に」と言っている意味が少しだけわかりました。楽譜はただのオタマジャクシなどではなく、そこに作曲家や編曲者が伝えたかったメッセージがすべて集約されているのですね。
「おんかん」の木下麻奈先生からもメッセージをいただき、楽譜をきれいに描くコツも少しわかりました。
「主よ、人の望みよ喜びよ」は震災の翌年に、おんかんの音楽祭で披露した曲だそうですが、音楽家はすぐにバッハだってわかるのね。まあ当たり前か(笑)。