尊敬する映画作家クリント・イーストウッド監督、御年91歳の新作「クライ・マッチョ」を見てきました。
本当にこの人の最近の作品、歳を重ねるごとに素晴らしいのですが、今回の作品もその期待を裏切らないものでした。
イーストウッド作品は「ミスティック・リバー」や「ミリオンダラー・ベイビー」のような絶望的なものを多く撮っていた時代から、一歩脱却したものに変わっていった気がします。
作品の年譜を見ると、「チェンジリング」と「グラン・トリノ」が同じ2008年の作品なのですが、この2本を境に傾向が変化したように思えます。
今回の作品はまったく予備知識なしで見に行ったのですが、意外だったのはロードムービーだったことでしょう。
この映画の内容をよく表現したサイトを見つけたので、知りたい方はこちらをお読みくださいませ。
↓ 以下このサイトからの抜粋、ネタバレなしのストーリーです。
年老いたカウボーイのマイク。かつての雇用主に「メキシコで元妻と暮らす10代の息子・ラフォを連れ戻してほしい」と懇願され、過去の恩義を返すべくこの難題を引き受ける。
メキシコに赴き、闘鶏用のニワトリ“マッチョ”だけを抱えてストリートで生きてきたラフォを半ば誘拐のような形で拾う。警察やラフォの母親が放った追手をくぐり抜け、マイクはアメリカに向かう。
つまり、イーストウッド演じるマイクとラフォという10代の少年と90代に差し掛かった2人のロードムービーなのですが、それだけでなくビルドゥングスロマンの要素、そしておとぎ話の要素も持った映画でした。
ビルドゥングスロマンとは若者が成長していく姿を描いた、いわば教養小説ですが、ここでは10代ラフォだけでなく、90代になったマイク自身も成長していく姿が描かれています。
そしてもうひとつ、王様に命ぜられた家臣が宝物を運ぶという、おとぎ話の要素もあるというわけです。最後はめでたし、めでたしというわけで。
まさに見ると最後に幸せになる映画、それが91歳のクリント・イーストウッドが撮った「クライ・マッチョ」ですね。