「上村松園と美人画の世界」展、今週いっぱい3月1日(日)までと聞き、重い腰を上げ、アクセスのよくない山種美術館まで行ってきました。
コロナの影響もどこ吹く風。
高齢者の多いだから、そんなに人はいないだろうとタカをくくっていましたが、けっこうな人の入り。若い人、特に女性を中心にしたギャラリーでいっぱいでした。
それにしてもこの展覧会、上村松園にはじまり上村松園に終わるといった感じで、その素晴らしさを心ゆくまで堪能できるものでした。
作品の大半は背景が描かれていない女性像。
実にシンプルな構図で、肌や服、背景に陰影はなく、ほぼ一色が平坦に塗られており、その輪郭は細い一本の線で描かれています。
その線は女性ならではの厳しさとでも言いましょうか。
「繊細」という言葉にすると単純ですが、そこには余人には到達できない張り詰めた厳しさがあります。
男性には決して入ることのできない女性の内面のようなものが、そこにあるような気がしました。もっとも、それが何だか私もちっともわかってないのですが(笑)。
画壇に女性がいなかった時代、松園先生が賞を取るたびに男性の画家から「女を利用している」と揶揄されたそうですが、ほかの画家の嫉妬がすごかったのでしょうね。鏑木清方や伊東深水の日本画も展示されていますが、美人画としての格が違うという感じでした(清方や深水が嫉妬してたかは知りません。画家なので、“自分がこうは描けない”とは思ったとは考えられますが)。
また、一枚の絵を完成させるために、何枚の素描を描いたのでしょう。
じっと絵を見ていると、描かれていない背景もそこに浮かんでくるような気がしてきます。ひたすら優雅で美しく厳しい美人画の世界でした。
あと1週間の展示。ご興味ある方はくれぐれもお見逃しなく!
余談ながら、伊東深水の絵に描かれて美人は、娘の朝丘雪路さんそっくりでした。娘をモデルにしたわけでもないでしょうが、お母様似だったのかな?