アレキサンドル・タローのゴールベルグ変奏曲

ゴールベルグ変奏曲のヘビロテ。
脳みそがまだ求めているようで、アレキサンドル・タローというフランスのピアニストの演奏を買ってみました。

この録音のために1年、活動を休止しただけあってか、これまた見事な出来であります。

ゴールベルグ変奏曲は、バッハがカイザーリンク伯爵の不眠症を解消するため書いたというエピソードがあります。毎晩伯爵のために演奏したのが、当時14歳だったバッハの弟子ゴールベルグだったため、この名がついたとか。

もっとも鍵盤楽器指折りの難曲が、14歳のゴールベルグに弾けたのかとか、とても不眠症のための柔らかい音楽ではないことから、このエピソードは疑問視されてはいます。

最も有名なのが、かのグレン・グールドが1985年に発表したもので、当時物議をかもしたスリリングな演奏は、 逆に現在この曲のスタンダードになっています。

グールドから30年あまり経った今、この演奏のカラを破るゴールベルグが次々に発表されているようで、タローの演奏もまさにそれです。

バッハの作品は単純に見えるスコアの中に何通りもの旋律が隠れていることがあり、この演奏もまた、グールドやシフの演奏とは違った歌が聞こえてきます。
このあたりがバッハの奥深いところでしょうか。

音の美しさ、完璧なテクニックは言うまでもありませんが、自分のピアノを持たず、友人やコンサート会場のピアノを渡り歩くピアニスト、アレクサンダー・タローならではのフレッシュな演奏でした。

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