宇田川敬介「震災後の不思議な話」読了しました!

宇田川敬介「震災後の不思議な話」読了しました。

いつも私はこの人の本は書店か通販で買うのですが、この本に関してはご本人からの献本。拙宅で一杯やる前に「読んで」と言われて、1冊分けてもらいました。

いや、読んで納得。入魂の一冊です!
宇田川くん!
わが友ながら、実にええ仕事しはりましたな〜(東北なのにニセ関西人)♪

阪神大震災やニューヨークの911でもそうだったけど、 あのような大災害、大事件のあと、それを元にした話というのは5年は経過しないと出来るようにならないもの。
しかしながら、現実に被害にあった人や遺族の多くは健在なので、どういうものを書くかは難しいところですが、社会的にも意義のある素晴らしい本を残してくれました。

執筆中に彼が言ってたのは「震災後の怪談を書く」という、なにやら元(?)ジャーナリストらしい触れ込みを申しておりましたが、実際に出来たものを読んでみると、「ホラー」とか「怪談」といったものではありません。
(それは被災地にとっていちばん忌まわしいもののひとつですから)。

内容はタイトル通りの「不思議な話」です。
それも震災で命を落とした人たちが、生き残った人たちの幸せを願って姿をあらわすといった、実に不思議で美しい話が数多く描かれておりました。

たとえば、婚約していた彼が、生き残った彼女の前にATMの前で姿をあらわす話。しかも並んでいた人たちがすべて死者だった話は(ネタバレではありません)、はからずしも涙をそそります。それは、わたしにとってはインドの古代叙事詩「ラーマヤナ」の中には、シーター姫が風になって王子ラーマを見守るという一説を思い起こさせました。

宇田川氏は震災後に彼自身が取材した話を、その博覧強記な知識から東北地方の民話「オシラサマ」などになぞらえ、「ああ、昔からの話はこういう意味があったのだな。でも、現実に起った震災とは多くの違いがあるな」ということを、論理的かつ優しい視点で描いています。

「死ぬとは体がなくなってしまうこと」と言いますが、体が消えたことに気づかない人たちや、自分が死んだことに気づきながら生き残った家族や友だちの幸せを願う人たちの話がここにありました。

必読の一冊であります。

 

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