ムンクの「叫び」~凄さの秘密とは?


今日も気分を変えて、またまたアートの話題です。

本日は昨日の南京事件の続きをUPするつもりでしたが、
今朝方、NHKでムンクの「叫び」がサザビーズのオークションにかけられる、
というニュースをやっていたので、自分の専門に近いそちらの話をいたしましょう。

南京事件の検証については、
昨日のコメント「胡錦濤国家主席閣下への公開質問状」にしてありますので、
そちらをご覧いただければ幸いです。

さて、その番組の中でムンクの「叫び」を動画にした「Scream」というアニメ作品が、
あまりに面白かったので、ネットから探してここにUPしました。

しかもクリスマスバージョンまである!

BGMは何と、あのピンクフロイドの”The Great Gig in the Sky”(邦題・虚空のスキャット)。
以前からムンクの「叫び」を思わせると言われていた曲ですが、
あまりにマッチしているので、かえって笑えます。
両方会わせて5分そこそこの動画なので、ぜひご覧くださいませ!

ミュージアムショップなどでは、ムンクの叫び人形が人気だったとか、
こういうスピンアウト作品ができてしまうのが、この絵のすごいとこですね。

武蔵野美術大学の教授も「わかりやすい」のが魅力の絵だと言ってましたが、
まさにその通り。
(途中、お不浄に行って見てないので、
 以下テレビと同じことを言っていたらご容赦のほど)。

さらにスピンアウト作品でも、原画の持ち味がそのまま生かされるのが「叫び」の持つ魅力です。

私の知り合いで絵の好きな方が、
「叫び」を模して、同じような空の線、
同じような人物や橋を試しに描いたところ(もちろん同じ絵にはならないのですが)、
この絵の持つ不安感や空気はそのまま出せた、というのです。

最初は「まさか」と思いましたが、
実際にその絵を見せてもらったら、たしかにその通り。
そのままムンクの原画の雰囲気が出てたので、びっくりした覚えがあります。

これはどういうことかというと、
ムンクの「叫び」はデザインとしてもひじょうに上手く出来ているのです。

つまり「叫び」の中で構築された線や色を使うだけで、
すぐさま、この絵の持ち味を出すことができるのですね。

ムンク自身が描いたものとしては、一番有名な「叫び」を含め、油彩が4点。
(オークションに出されるのは、そのうちの1点だそうです)。
そして多くの版画作品を残しています。

これは、ピエロ・デルラ・フランチェスカのような、
原画を見ないとその神秘性が伝わらないという絵とは大きく異なります。
またモナリザのように、どんなに真似をして描いても、その絵に近づけない作品とは
なおさら違うのですね。

フランチェスカの絵は本人以外に、描くことのできないものなのですが、
ムンクの「叫び」は、実は似たようなコピーは誰でもできる
「デザイン性」「記号的」な作品なのです。

コピーできるというと、言い方は良くないですが、
ある意味、ドラえもんは誰が描いてもドラえもんに見えるように、そこに記号としての凄さがあります。
つまり、見ている方と描き手の距離が近いとでも言いましょうか。

ただ、いちばん有名な原画にある凄さは、原画にしかあり得ないもの。
あとのコピーはどちらかというと、「怖いけど笑ってしまう怖さ」というところでしょうか。

写真はムンクの「叫び」とは似ても似つかぬ拙作「招き猫孔明」。
おなかの石は諸葛亮孔明が祀られてる四川省で購入したものです。

ムンクの「叫び」~凄さの秘密とは?” への4件のコメント

  1. 聞きかじり
    知ったかぶりでお里が知れますが...。

    ムンクの叫びは、登場人物が叫んでいるのではなく、
    誰かの叫びを聞いてしまったので、それで怖くなり、
    耳を塞いで、恐怖の表情(心)に成った人を描いたのです、ネ?


  2. 招き猫の石、いいね~。
    私の中の「石心」をくすぐりますわ。
    私、この手の石が大好きで。
    宝石、ってのにはそう、興味ないが。

    画伯実家のお隣のお寺さんの参道に
    石がたくさん、敷き詰められていました。
    まあ今もそうだろうけど。
    この石を小さなプラスチックの子供用バケツに
    夢中になって拾って山盛りにした子供のころを思い出します。
    私と石との衝撃的な出会いは
    あの参道であります。

  3. 叫びが叫びたる所以
    お頭さん、おはようございます!

    >耳を塞いで、恐怖の表情(心)に成った人を描いたのです、ネ?

    知らないと、このミイラみたいな人が叫んでるように見えますが、
    わたしはそれで良いと思うのです。

    絵の中に「叫び」が満ちてることは間違いありませんから。

    それにしてもアニメ、面白いでしょ。

  4. Unknown
    かなこさん、おはようございます!

    ああ、浄土寺の石ですね。
    今は、細かい石はありませんし、
    土だったところは、だいぶ前にアスファルトになりました。

    昔は冬になると、あの土に霜柱ができて、
    溶けたあと道がぐちゃぐちゃになったものです。

    正確に言うと、この石は四川省と言っても、
    成都ではなく、奥地である九寨溝にいた物売りのチベット女性から買ったものです。

    頭痛に効く石だと言われて、だまされて買った日本人女性がいたのですが、
    この石の形が気に入って同じ値段で買った愚か者であります。

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