鳴く蝉の声は絶えずして、しかももとの蝉にはあらず


先週末、PHP研究所で動物本のイラストについて詰めの打ち合わせをしました。
著者は動物商をいとなむ白輪さんという方で、キングコブラのような危険動物も輸入する、そのスジでは有名な人。
動物商というだけあって、ゲラを読んだだけで子どもの頃からの動物好きだったことが伺えますが、
一方で、生き物を扱う以上「死」ということは避けて通れません。
どんなに大切に育てようと、生き物である以上、死ぬ時は死ぬ。
お客さんに売ったものを含めれば、関わった動物が死ぬのはほとんど毎日だと言いますから、
いちいち悲しんでいては身が持ちません。

白輪さんに言わせると、先日の岸に上がったクジラなどはニュースになるけど、
あれは人がいるところに紛れ込んできたから話題になるだけ。
そもそも岸にやってきた段階で、そのクジラの寿命が残りわずかということ。
かりに岸から出して上げたとしても、そのクジラがその後どうなるかはわからない。
ニュースでは「無事、クジラは岸から元気に出ていきました」と報道されるだろうけど、
おそらく弱ったクジラはすぐに死んでしまう。
要するに、死ぬとこ見なきゃ、他人はそれで良いってことなんですな~。
そこまで見られるようになるまでに、
白輪さんもずいぶん多くの涙を流したのでしょうけれど。

そういえば、今年もミンミンゼミが賑やかに鳴きはじめてますが、
当然ながらあの中に去年鳴いていたセミはいません。
「方丈記」の”行く川のながれは絶えずして、しかも本の水にあらず”ではありませんが、
生き物を含めた森羅万象みな同じ。
だから何だと言われればそれまでですが、
最近年のせいかそんなことを考えるようになってます。はい。
写真は実家のキッチン。先週末の写真なので、今はもっと進んでいることでしょう。

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