「それでも私はピアノを弾く〜天才ピアニスト・ブーニン 9年の空白を越えて」
〜しかしながら芸術は必ずしも自由なものではありません。
一昨日の記事で「芸術は必ずしも自由なものではない」ということを述べましたが、これは「芸術」という分野だけでなく、アーチストという個人でも同じだと思います。
私見ですが「芸術家が自由な心を持つべし」、というのは、欧州においては18世紀末に起こったフランス革命以降の考え方だと思っています。
詳細は省きますがフランス革命以降に、史上初のフリーランス音楽家として、モーツァルトやベートーベンが活躍。絵画においては19世紀後半の印象派が勃興する。
それ以前、音楽も絵画も貴族や王様のものでした。
印象派はフランス絵画界で権威を持っていた“サロン・ド・パリ”に落選した、マネを中心とした画家が、ナポレオン三世の命で落選展を開催したのがはじまりです。
もちろん音楽や美術、文学、舞踊や演劇など、芸術に関わる人というのは、とかく自己主張が強くわがままになりがちです。
しかしながら、簡単にその分野で飯が食べられるわけでないので、一方で権威に弱くなりがちで、利権に目ざとくなるというジレンマがあると思います。もちろん、そのあり方は人それぞれですが、そのバランスの取り方はなかなか難しいものがあります。
ともかくもアーチストの職業は不安定そのもの。
モーツァルトのような大天才でも、ザルツブルグ大司教と衝突したおかげで解雇…なんてことがありますから推して知るべしでしょう。
▲生きていれば避けられないトラブル。
そこから脱け出す知恵がこの本には詰まっています
そういえば先日、花風社の浅見社長が今回のコロナ禍において、「アーティスト系が意外とコロナ脳」だとおっしゃていましたが、私はそんなに意外でもありませんでした。
アーチストは以上の理由で、わりと権威に従順な傾向があります。もちろん人によりけりですが、失うものが大きな人ほど、その傾向はあるかもしれません。加えて言うとアーチスト系は左系の人が多いこともあるのかな。
普段は反戦だ平和だというアーチストが、コロナ禍でまったく役に立たなかったのは、そんな理由だと思います。まあ自分が役に立ったかといえば、食うに精一杯で何も出来ませんでしたけどね。
ともかくも先に申し上げた通り、自由な考えを持てた方が、モノづくりは良い仕事ができるだけの話で、心だけはアーチストという人ほどハタ迷惑なものはありませんか。あ、自分がそうならないよう気をつけんと!(笑)
個人的にはアーチストに必要なものの一つが、飲食店における接客だと思っていますが、その話はまた次回ということで。
今回も▼古代オリエント博物館「ヒンドゥーの神々の物語」のアップは続きます。