ムンク展で思い出した「自傷・他害・パニックは防げますか?」〜おーちゃん画伯のカバー絵

「自傷・他害・パニックは防げますか?」(花風社刊)。

みなさま、もうご存知だと思いますが、このカバー絵を描いたのは、実は私ではありません。この本の著者の一人・廣木道心師範のご子息、おーちゃん画伯によるイラストです。もしかして私より上手かも(笑)♪

いや、上手いかどうかはというより、実に穏やかな良い絵ですよね。
廣木師範もそっくりで、親に対する愛情と信頼が線に出ています。

昨年の10月でしたか。
横浜大倉山で行われた花風社講演の後、花風社浅見社長からこのカバー絵について、ブログに書いてくださいと言われ、早や3か月、いや4ヶ月?(笑)

締め切りのない依頼にルーズなもので……いや、それもありますが、何かこの絵にピタリとしたものが書けなかったというのが本音でしょうか。

以前のおーちゃんは、いわゆる他害をする子だったようです。
廣木師範が、誰も傷つけない“引き分け”の武道「護道」を編み出したのは、まさにそこが原点だったわけです。

おーちゃんの他害時代の作品が記憶にないので、その時と比較することが出来ないのですが、少なくともこのカバー絵は、心の平安に満ちたものに違いありません。

なぜ、今になってこの記事を書こうかと思ったかというと、先日足を運んだ「ムンク展」を見て、それとは真逆のものを感じたからなのです。

絵を描くことによる治癒効果は、古くから言われてきたことです。
それはなぜ効果があるかというと、絵を描くことによって人の心に棲みつく怪物を吐き出せるからでしょう。

職業画家で、しかも生前も成功していたムンクの絵が、どの程度心の中の怪物を吐き出していたのかはわかりません。
かのサルバドール・ダリも、そんな心中の怪物を吐き出していた画家ですが、ある時期から心の中にいた連中を吐きつくしてしまい、 デザイン的に組み合わせた絵ばかりを発表するようになりました。ムンクは“うつ”があったからこそ、最後まで心の怪物たちは残っていたような気がします。

もっと言えば、絵を描くためにムンクは心の中に怪物を残しておいたのでしょう。ストイックなムンクは、画家は孤独でないといけないと一生独身でいたのも、心の中の怪物を完全に追い出したら、あのような絵が描けなくなってしまうからでしょう。

じゃあ、今のおーちゃん画伯の心にあるものって何だろうって考えた時、それはもっと天真爛漫な仏性なのではないかと思いました。
おーちゃん画伯に孤独は必要ありませんしね。

花風社読者ならご存知のように、おーちゃんは仏画を描くのが得意です。
不動明王や弥勒菩薩を描いた絵などは、なかなか味わいがありますよね。
でも、実は本当の意味で「仏画」になっているのは、上の 「自傷・他害・パニックは防げますか?」のカバー絵じゃないかと思うのです。

面白いことに不動明王を描いたおーちゃんの絵は、仏性というより、まだ心の中から離れていない怪物の一部に見えなくもありません(おーちゃん、廣木師範、ゴメンなさい!)

でも、あのカバー絵にあるものは、本当に穏やかな心を持っていないと描けない仏性に思えます。

障害に苦しんでいる方とその家族の方々に、どうか穏やかな心と日常が得られることを願います。いや、障害者だけじゃなく、どの人間でもそうかな。

▼こちらは江戸時代の名もなき絵師が描いた線画に色をつけたものですが、 仏性という意味であのカバー絵と共通したものを感じました。

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