魁皇引退・なでしこジャパン、その他力本願


台風のニュースでNHKは放送しませんでしたが、大関・魁皇関が引退しました。

あ@花さんとも本場所を見に行くたび、
「この人は良い親方になるね」なんて話してましたが、
とうとうその日が来てしまったわけです。

以前、魁皇の自伝「怪力」を読んだことがあるのですが、これがなかなか面白い。
もともと相撲界に進んだきっかけが、地元で有名な怪力を買われ、
気がついたら角界に入れられていたという、典型的な「他力本願」が魁皇関らしいです。

この経緯は、ちばてつや先生の名作「のたり松太郎」に通じるものがあり、
(主人公の坂口松太郎は怪力粗暴の大男。気はやさしくて力持ちの魁皇関とは違いますが)
松太郎は巡業先の十両力士にケンカを売って、
親方衆が見ている前で叩きのめしてしまうことで、角界入りするのであります。

横綱に上がれるほどの、ありあまる素質を持ちながら、
ムラ気が多く、雑な相撲でのたりのたりと出世が足踏みするところは、
魁皇関というより、むしろ茨城県出身の某関脇でしょうか。
(相撲ファン必読の名作です。まだの方は、ぜひ一度!)

面白いもので力士に限らず、長く現役を続ける人というのは、
若い頃は、意外にちゃらんぽらんだったり、伸び悩んでいた人に多いというのは、
拙ブログにも書いた通りです。

繰り返すけれど、これが本当の他力本願だと思います。

誰の人生でも、人ひとりの力ではどうにもならないことが多く、
「凡夫はひたすら阿弥陀さまにおすがりするしかない」というのが、
法然さんの説いた「他力本願」です。

個人的には、なでしこジャパンの優勝さえも「他力本願」のなせる技だと思ってます。
いや・・・なでしこが死力を振り絞ってプレーしたのは、誰の目にもわかることですが、
それでも勝てない時は、どんな死に物狂いになっても勝てません。

でも、前半に3点入れられてもおかしくなかった流れに、米国選手が決められなかったこと、
延長残り3分で、追いついた澤選手のシュート。
自力を尽くしてからの「他力」じゃないかな。

魁皇関の相撲で一番印象的だったのは、貴ノ浪と一番で大けがしたことですね。
テレビで見てても、一瞬で大けがだとわかる一番でした。

あれから魁皇の相撲は変わったというのは、自伝にも書いてある通りですが、
私は白鵬に勝った1044勝目を含む、引退直前の何番かが素晴らしいと思ってます。

柔道で言う”空気投げ”に通じる、最小の力で最大の力を発揮する相撲は、
若い頃、怪力に頼っていた相撲とは明らかに違いますが、
23年取り続けて到達した境地ではないかと思います。

それにしても23年!
私の子供の時分には、長谷川とか麒麟児がずっと取り続けてすごいなと思った覚えがありますが、
7歳の子が30歳、高校生が四十路を迎えるまで取り続けてきたのですから、
相撲=魁皇と思ってる若い人も多いんじゃないかな。

こんな力士はもう二度と出ないでしょう。
魁皇関、お疲れさまでした。
一日も早く良い親方になって、今の相撲界を巻き返してくださいませ。

写真は石見銀山の羅漢寺にある五百羅漢の一部です。

魁皇引退・なでしこジャパン、その他力本願” への2件のコメント

  1. 空気投げ
    画伯おはようございます。来ましたよ。
    相撲部はお通夜みたいでしたね。私もなんだか沈み込みました。
    おっしゃるとおり最後のほうの魁皇の「空気投げ」みたいな勝ち方、なんか仙人の境地に見えました。もう魁皇しかできないっていうか。

    某関脇については、あんだけもたもたしていてなお多くの人をひきつける(含私)あの魅力はなんなんでしょうか。勝つときのあの強さとつねに感じさせる伸びしろですかね。
    怪我しないし、あの人も引っ張ると思いますね。

    なでしこさんたちについては、私は全然心配しませんでした。
    圧倒的に地力では向こうでした。でも前半の猛攻撃が点に結びつかなかったとき、今日は勝つなあと思っていました。
    延長で逆転されたとき、ああこれが順当かなと思いましたがそのあと澤選手のあの得点。
    PKになったときにはもう安心してみていました。PKは体格関係ないしね。

  2. がぶがぶ
    あ@花さん、おはようございます!

    仙人の境地とは言い得て妙ですね。
    ふわりと相手の体が浮いてしまう相撲、あれを継承する力士は生まれるのかな。

    >某関脇については、あんだけもたもたしていてなお多くの人をひきつける(含私)あの魅力はなんなんでしょうか。

    たしかにね~。

    昨日の琴奨菊が白鵬を破った一番、あれでほぼ大関取りは成されるでしょう。
    まあ、魁皇のいなくなったあとの日本人大関を埋めるには良いかもしれませんが、菊の相撲はのびしろがないもんね。

    相撲界も言わないけど、期待してるのはあの人でしょう。
    来場所から期待ですね。
    魁皇じゃないけど、遅咲きでも良いと思ってます。

    >延長で逆転されたとき、ああこれが順当かなと思いましたがそのあと澤選手のあの得点。

    そうなんです。
    ニャンバック、じゃないワンバック(・・・なんて、ウフッ♪)の1点が入った時はそう思いましたが、
    何となく追いつく空気もありましたね。

    ともかく、Wカップのオーストラリア戦みたいに、5分で3点も入れられる逆の立場を見てきてましたから、実に溜飲の下る思いでした。

    PKは海堀が足で防いだ最初のセーブですね。
    私は最後までドキドキしてましたけどね~。

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