石見銀山~世界遺産の課題


松江出張では焼けつくような猛暑の中、ついでに石見銀山に行きました。

いや・・・実は石見銀山、ついでに行くようなところではないのですが、
知らないというのはおそろしいものです。

こちらも行きの飛行機で”るるぶ”を見ながら行こうと決めた程度の、軽いノリ。
どんどんの専務に聞いても地元の人じゃない上、家と店の往復の毎日でわからず、
ホテルのフロントも行き方をよく知らなかったので、レンタカーを借りて行くことにしました。

石見銀山資料館の電話番号をカーナビにセットして出発。
じつに簡単だ。

と、思いきや。
車はグングンと出雲大社の方に向っていくではありませんか。
石見銀山の地理を少しも把握してなかったので、それだけでびっくりしましたが、
やがて出雲を通り過ぎ、1時間ほどで「石見銀山」という標識が出てきました。

年に1~2度の運転というペーパードライバーに、知らない土地のドライブはけっこうな重荷です。
おまけに、この日は早い便に乗るため、朝の4時起きでたちまち睡魔が襲ってきます。
路肩に車を停めて仮眠をとりながら、松江から2時間。
ようやく石見銀山に到着しました。

石見銀山は採掘場から長~い町並みが南北に伸びており、
そこに銀で栄えた豪商の家々や、五百羅漢といったお寺や神社が建ち並んでいます。

河村家、熊谷家といった豪商跡には、造り酒屋も兼ねていた様子が展示されていて、
なかなか趣深い。
また資料館には「灰吹法」という、銀の抽出法の工程が展示されていて、
当時の最先端技術を垣間見ることができました。

空海が高野山を拠点に鉱山採掘を行い、それによって入唐する資金を捻出したという説がありますが、
鉱山もまた、エネルギーや食糧と並ぶ国の財産であることを再認識です。

それらを立ちよりながら、
間歩(まぶ)と呼ばれる鉱道跡まで辿り着くのがモデルコースですが、
なんせ、この日は最高気温が35度に到達する猛暑です。

日差しの最も強い午後2時くらいの時間、全長3kmほどの道のりを歩けば、
首の後ろから、例によってガマの油のような大汗が、たら~りたら~りと流れ落ちます。
やがて鉱道跡の間歩が近づくにつれ、緑が深く涼しくなり良い感じ。

鉱道そのものは採掘場跡ですから、見るだけならどうってことはありませんが、
人力でこのような道を堀り進んでいった労力がすごいですね。

当時の坑夫たちは、粉塵などの鉱毒で30歳まで生きれば長生きと言われた激務だったそうです。
この穴ひとつ掘るのに、どれだけの人たちが礎となったことか・・・。

しかしながら、それよりも驚いたのは、その観光客の少ないことです。

おそらくは猛暑をはずして人が来ない、というのもあるのでしょう。
その証拠に、少し涼しくなる夕方には人出がまばらながら増えてきましたが、
私が歩いた2時くらいは、まるで白日夢のようなゴーストタウンでした。

石見銀山は世界遺産に登録された当初は、雲霞のごとく人が押し寄せたそうです。
その反面、環境がだいぶわるくなり、車などの入山制限をしたところ、
それから人の入りも悪くなったとかで・・・痛し痒しというところでしょうか。

たしかに世界遺産に登録されたとはいえ、松江の人から見ると、
ほとんど東京から山梨県くらいの感覚で、ホテルの人でも行き方を知らないほど。
(明らかに東急インのおねえさん、不勉強ではありますが)。

またリピーターを生み出すには、世界遺産というブランドだけではダメで、
美食の里とか、温泉保養地だとか(それも月並みな発想なんだけど)、
何か観光地として、もう一度行きたいと思わせるプラスアルファがないといけません。

観光地としての環境を保つことは大切ですが、
短絡的に入山制限をして、簡単にお客さんを失うのも如何なものかと思いました。
とにかく飯が食えなくなっては仕方ないのに、
なんか土地の人の間で、色々な軋轢があるのかな。
そんなことまで考えてしましました。

出雲大社周辺を合わせれば、海外からも大勢引き寄せられる一大観光地になるのにね。
日本全国、そんな場所は山のようにあるだろうに勿体ない。

帰りは、松江まで再び2時間の道のり。
あとでガイドブックをよく読んだら、山陰本線で太田市駅~バスで石見銀山まで行った方が、
本数は少ないものの、安く済んで楽だったことが判明しました。

あ~あ。宍道湖ほとりを走る山陰本線にも乗りたかったし、ちょっと失敗したかな。
とはいえ、こういう機会でもないと、なかなか行けない石見銀山です。
有難く堪能させていただきました。

写真は石見銀山の豪商・河村家の炊事場。
大勢の使用人をここでまかなったそうで、その財力がしのばれます。

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